失業保険の受給中に「ボランティア活動」をしたら、給付を受けられなくなってしまうのでしょうか?
基本的に無償ボランティアであれば失業保険の減額は行われませんが、ボランティアであってもハローワークへ申告しなければなりません。
今回は失業保険の受給中に無給や少ない謝礼でボランティア活動に参加した場合の対処方法や注意点を解説します。
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1.ボランティアと失業保険の関係
災害支援や身寄りのない子どもの支援、捨て犬や捨て猫の里親探しなど、さまざまなボランティア活動に参加する機会があるものです。
失業保険受給中にこうしたボランティア活動に参加したら、失業保険を減らされたり受給停止にされたりするのでしょうか?
実はボランティア活動の時間や謝礼の額によっては、失業保険の支給額に影響する可能性があります。
一般的には「ボランティアは報酬をもらえないから失業保険と関係ない」と思われているかもしれませんが、そうとも限りません。
ボランティアであってもハローワークへ申告が必要です。失業保険の制度においては、ボランティアは「アルバイト」と同じような扱いとなるためです。
たとえばボランティア活動とはいっても、「謝礼」などのお金が支払われるケースもあるでしょう。一定以上の時間ボランティア活動をすると「就労」とみなされる可能性もあります。
その場合、失業保険の支給を繰り延べられてしまうおそれもあるので、注意しましょう。
2.ボランティアの重要ポイントは「1日4時間以上」になるかどうか
ボランティア活動をするときには「1日4時間以上働くかどうか」が重要です。
ボランティアやアルバイトをしたときには、「失業認定」の際にハローワークへ報告しなければなりません。
このとき「1日4時間以上」働いたら「失業認定報告書」の「就労」の欄に○をつける必要があります。
「1日4時間未満」であれば「内職または手伝い」となります。
就労になった場合と内職または手伝いになった場合、失業保険の給付方法が大きく変わってきます。
2-1.就労になった場合
1日4時間以上活動して「就労した」とみなされると、その日の失業保険は給付されません。
ただし取消になるのではなく、将来に繰り延べられます。
失業保険の給付期間内であれば後で全額が支払われるので、支給額が減ることはありません。
ただしすぐには受け取れなくなるので、失業保険によってギリギリの生活を送っている方などは、注意が必要です。
また失業保険の受給期間(原則として退職後1年)を過ぎると繰り延べられた失業保険を受け取れなくなる可能性もあります。
たとえばボランティア活動を30日行った場合、30日間分の失業保険が将来に繰り延べられてしまいます。その間に退職日から1年が過ぎてしまったら、まだ全額受け取っていなくても失業保険を打ち切られてしまうのです。
長時間のボランティア活動をするときには、失業保険の受給期間にも注意してください。
2-2.ボランティア活動で失業保険が繰り延べられる理由は?
なぜ社会貢献としてのボランティア活動なのに、このような不合理な扱いになるのでしょうか?不思議に思う方もおられるでしょう。
この点について、詳細な理由が公表されているわけではありません。おそらくハローワークでは、「あまりボランティア活動に精を出しすぎて就職活動をしていないのは好ましくない」ととらえているのでしょう。
失業保険は「熱心に求職活動をしている」方に支給されるものなので、無給で働いて就職活動をおざなりにしていると支給されにくくなるのです。失業保険受給中にボランティア活動をするときには、あまり精を出さないようにしてください。
2-3.内職または手伝いとなった場合
ボランティア活動を行った時間が1日4時間未満で「内職または手伝い」となった場合、失業保険が繰り延べられることはありません。
ただし報酬額が一定以上になると、失業保険が減額されてしまいます。
具体的にどのようなケースでどの程度減額されるのかは、次の項目でご説明します。
3.ボランティア活動で失業保険が減額される?計算方法を解説
ボランティア活動で失業保険が減額されるかどうかは「無償」か「有償」かで異なります。以下でそれぞれみていきましょう。
3-1.無償ボランティアの場合
無償ボランティアであれば、報酬はもらえないので失業保険は減額されません。
なお交通費などの「実費」は謝礼ではないので、もらっても失業保険の受給額に影響しません。
3-2.有償ボランティアの場合
ボランティア活動に参加すると、少額ではあっても謝礼が支払われるケースがあります。
交通費などの実費以外にお金が支払われたら、アルバイトをしたのと同じような扱いになって失業保険を減額される可能性があります。
ただしボランティア活動の場合、一定額までの控除が認められます。以下で具体的な計算方法を確認しましょう。
3-3.ボランティア活動で受け取った謝礼が1日1306円まで(令和元年の場合)
有償ボランティアであっても、謝礼額が1日1306円までであれば失業保険は減額されません(令和元年の場合)。満額受け取ることが可能です。
3-4.ボランティア活動で受け取った謝礼が1日1307円以上
ボランティア活動により、1日1307円以上のお金を受け取ったら失業保険が減額される可能性があります。
(ボランティア活動の謝礼-1306円)と基本手当日額の合計額が、「在職時の賃金日額(平均賃金)の80%」を超えていると、超過分に応じて失業保険が減額されてしまうのです。
(ボランティア活動の謝礼-1306円)が「在職時の賃金日額の80%」以上になったら失業保険はまったく支給されません。
まとめると以下の通りです。
- (ボランティア活動の謝礼-1306円)+基本手当日額 ≦ 賃金日額の80% …失業保険が全額支給される
- (ボランティア活動の謝礼-1306円)+基本手当日額 > 賃金日額の80% …超過分だけ失業保険が減額される
- (ボランティア活動の謝礼-1306円)≧賃金日額の80% …失業保険はまったく支給されない
なお「賃金日額(在職時の平均賃金)」と「基本手当日額(1日あたりの失業保険支給額)」は「雇用保険受給資格者証」に記載されています。
また、1日当たりの控除額(令和元年は1306円)は毎年8月に見直されます。上記の1306円は令和元年に適用される数字ですので、今は変更されている可能性があります。
現在適用される数字については、個別にハローワークへ問い合わせをしてみてください。
減額された分は受け取れない!
ボランティア活動はアルバイトとは異なりますし「社会貢献」なので、参加しても問題はないと考える方が多いでしょう。
しかし有償の場合、失業保険を減額される可能性があります。
1日4時間以内のボランティア活動によって失業保険が減額された場合、そのお金は将来にわたって支給されません。つまり失業保険の総支給額が減ってしまいます。
有償のボランティア活動をするときには、失業保険との関係で注意してください。場合によっては謝礼を辞退したほうがよいでしょう。
4.ボランティアも申告しなければならない
失業保険受給中にボランティア活動をした場合には、ハローワークへ申告しなければなりません。
アルバイトなどと同じ扱いとなり、1日4時間以上働いたら給付の繰り延べ、1日4時間未満でも給付額の減額対象になる可能性があるためです。
有償のケースだけではなく無償のケースでも申告は必要です。
「無償のボランティア活動なので申告しなくてもかまわない」と考えていると、場合によっては「不正受給」を疑われる可能性もあります。
5.ハローワークへボランティア活動を申告する方法
失業保険受給中のボランティア活動を申告するときには、以下の手順で行いましょう。
5-1.失業認定日に申告
ハローワークへボランティア活動を報告するのは、4週間1回行われる「失業認定」のタイミングです。
失業認定日には「失業認定申告書」という書類を作成して提出しなければなりません。ここにボランティアをした日付や報酬の有無などを書いて提出する必要があります。
5-2.失業認定申告書の書き方
失業認定申告書の具体的な書き方をみてみましょう。
ボランティア活動をした場合には、一番上の「1失業の認定を受けようとする期間中に就職、就労または内職、手伝いをしましたか」の横の欄で「ア した」に丸をします。
次に右横のカレンダーの日付をみましょう。
1日4時間以上働いた日に○を、1日4時間未満だった日に☓をつけます。
何もしていない日は印をつけなくてかまいません。
次にその下の「2内職または手伝いをして収入を得た人は、収入のあった日、その額(何日分か)などを記入してください」とある欄をみましょう。
こちらは「1日4時間未満のボランティア活動」を行った方が対象です。有償ボランティアの場合、2の横に「受け取った報酬額」「受け取った日にち」「何日分か」を記載しましょう。
無償ボランティアで報酬を受けとっていない場合や交通費などの実費しかもらっていない場合「収入」に関する記載は不要です。
失業認定申告書ができあがったら、失業認定日にハローワークへ提出しましょう。これで申告の手続きは完了します。
6.ボランティアを申告しなかったらどうなる?
もしも失業保険の受給中にボランティア活動をしたのに失業認定日に申告しなかった場合、どうなるのでしょうか?
失業保険の受給中、失業者は求職活動を行わねばならず、就労したり内職・手伝いをしたりしたらハローワークへ報告しなければなりません。
それにもかかわらず報告しないまま失業保険の受給を続けると「不正受給」となってしまう可能性があります。
確かに無償ボランティアで収入がない場合や謝礼が少額な場合にまで、わざわざ申告したくないかもしれません。しかし万が一ハローワークへ知られると、トラブルが発生する可能性もあるため注意が必要です。
不正受給のペナルティは以下のようなものです。
- 受給停止
- 返還命令(3倍返し)
ボランティアで実際に上記のようなペナルティが課される可能性は低いとは思われますが、万が一の可能性もあります。面倒でもきちんとハローワークへ報告しましょう。
ボランティアはバレるのか?
ボランティアをしてもハローワークへ申告しなかった場合、ハローワークに知られてしまう可能性はあるのでしょうか?
ハローワークでは各機関と連携してコンピュータも駆使して不正受給の調査をしています。
また、周囲の人やネットでボランティア活動を見つけた第三者がハローワークへ密告する可能性もないとは言えません。悪意を持った人であれば、無償ボランティアにもかかわらず「お金をもらっているようです」などと虚偽の告発を行う可能性も考えられるでしょう。
ボランティア活動であっても「絶対バレない」とは言い切れません。
失業保険受給中にボランティア活動をするなら、やはり隠さずに申告するほうが安心です。
7.ボランティア活動をするときの注意点
失業保険受給中に安全にボランティアをするには、以下のような点に注意してみてください。
7-1.1日4時間未満にする
ボランティア活動が1日4時間以上になると、「就労」したとみなされて失業保険の支給を停止されてしまうおそれがあります。
奉仕活動をするとしても、働く時間は1日4時間未満に抑えましょう。
7-2.高額な謝礼をもらわない
ボランティアで一定額以上の報酬をもらったら失業保険を減額されてしまいます。
いったん減額されると将来にわたって支給は受けられません。
ボランティアをする場合、あまり報酬はもらわない方がよいでしょう。
ただし交通費などの実費であれば受け取っても問題ありません。
7-3.あまり精を出さず就職活動を優先する
ボランティア活動を行って社会貢献したくても「失業保険をもらいながら求職活動をしている身」であることを忘れてはなりません。
まずは再就職を優先し、無事に就職が決まってからボランティア活動を行うのが正しい順序といえるでしょう。
ボランティア活動に精を出しすぎず、就職活動を優先する態度をみせましょう。
8.失業保険のご相談は「社会保険金給付サポート」を利用しよう!
失業保険の受給に関しては、一般の感覚では理解し難いルールがたくさんあります。
ボランティア活動によって失業保険の受給を繰り延べられたり受給額を減額されたりするなど、予想できない方も多いでしょう。
しかし制度的にはそういったルールになっているので、従わねばなりません。自己判断で対応すると、予想外の不利益を受けてしまうリスクが高まります。
そうならない様に、失業保険受給の際は、「社会保険金給付サポート」を利用すると安心です。専門家が相談に乗ってくれて、手続の進め方についてもアドバイスをもらえます。1人では面倒な手続きも、サポートを受ければスムーズに進められるでしょう。
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