派遣社員が失業保険をもらえるケースと受給方法を解説

派遣社員は、どうしても雇用が安定しません。景気が悪化すると、すぐに派遣切りに遭って職を失ってしまいがちです。

派遣社員が失業した場合でも「失業保険」を受け取れる可能性があります。失業保険をもらえたら、生活が安定して転職活動もしやすくなるでしょう。

今回は派遣社員が失業保険をもらうための条件や受給方法を解説します。派遣社員としてはたらいている方は、ぜひ参考にしてみてください。

 

1.派遣社員が失業保険をもらうには「雇用保険」への加入が必要

派遣社員が失業保険をもらうには、基本的に在職中に「雇用保険」へ加入していたことが必要です。

1-1.失業保険とは

失業保険は「雇用保険から支給される基本手当」です。基本手当は、失業中の労働者が転職活動をする解き、生活を守るために支給されるお金。雇用保険に入っていなければ、そこからの手当である失業保険を受け取ることはできません。

 

1-2.雇用保険とは

雇用保険は、労働者が失業した場合に備えて加入する公的な保険です。法律により、一定の条件を満たす場合、事業者は従業員を雇用保険へ加入させなければなりません。

 

派遣社員でも、法律の要件を満たすなら必ず雇用保険に加入しているはずです。また義務がなくても、自分で手続きをすれば加入できるケースがあります。

 

以下で派遣社員が雇用保険に入るパターンを3種類に分けて解説します。

 

2.派遣社員が雇用保険に加入するパターンと条件

法律上、派遣社員が雇用保険へ加入しなければならない、あるいは自分で加入できるパターンは以下の3種類です。

 

2-1.雇用保険への加入が義務づけられるケース

労働者が以下の2つの条件を満たす場合、法律により、雇用者は従業員を雇用保険へ加入させなければなりません。

  • 1週間の所定労働時間が20時間以上
  • 31日以上、継続してはたらく見込みがある

派遣社員であっても、上記の条件を満たすなら雇用保険へ加入しているはずです。

確認するには給与明細書に「雇用保険の天引き」があるかどうかみてみましょう。天引きされていれば雇用保険へ加入していることを意味します。

正社員より勤務時間が短くても失業保険を受け取れるケースも多いので、「失業保険をもらえない」などと決めつけずに雇用保険への加入状況を確認してみてください。

 

2-2.日雇い労働者(日雇労働被保険者)の場合

派遣社員の場合、1つ1つの会社との契約期間が短く、日ごとに単発で仕事をしている方もおられるでしょう。日雇い労働者でも、雇用保険に加入できる可能性があります。

日雇い労働者や1つの勤務先での雇用期間が30日以下の方でも、勤務先が「雇用保険の適用事業所」であれば、自ら雇用保険に入って失業保険等の給付金を受け取れます。

 

この場合、雇用先は手続きしてくれないので、自分でハローワークへ行って加入手続を済ませ、日雇労働被保険者手帳の交付を受けましょう。

 

※雇用保険の適用事業所とは

労働者を雇用する事業所は、一部の農林水産業を除いて基本的にすべて「雇用保険の適用事業」となります。ただし「場所的に独立している」などの要件もあるので、状況によってはハローワークにより「適用事業所に該当しない」と判断される可能性もあります。詳細は、ハローワークで確認してみてください。

 

派遣社員は「日雇い労働者」にならないケースが多い

派遣社員は、勤務先がコロコロ変わる方が多数です。ただ、1つの派遣先企業での仕事が30日以下でも「日雇い労働者」になるとは限りません。

派遣社員の雇用主は「派遣先企業」ではなく「派遣元の会社」だからです。派遣先が次々に変わって1つ1つの派遣先での勤務期間が短くても、派遣会社との労働契約が31日以上あれば通常の労働者と同様に雇用保険へ加入させなければなりません。

 

派遣先を基準にするのではなく、派遣元との契約関係を基準に「日雇い労働者」か「通常の労働者」か、判定しましょう。

 

2-3.季節的労働者(短期雇用特例被保険者)の場合

派遣社員の場合、夏場や冬場などの特定の季節にのみ働く方も少なくありません。こういった方は「季節的労働者」として雇用保険に加入できる可能性があります。

季節的労働者となるのは、以下の条件を満たす場合です。

  • 雇用契約期間が1年未満
  • 季節の影響を強く受ける仕事内容

たとえば夏場の海やリゾート地の仕事、冬場にのみ需要のあるスキー場の仕事などが該当します。

 

季節的労働者の場合、以下の2つの条件を満たすと雇用保険へ加入できます。

  • 雇用契約期間が4ヶ月以上
  • 1週間の所定労働時間が30時間以上

 

季節的労働者の場合にも勤務先は手続きしてくれません。自分でハローワークへ行って雇用保険へ加入する手続きを行い、被保険者証の交付を受けましょう。

 

3.派遣社員が失業保険を受給できる条件、資格

雇用保険に加入していても、すべてのケースで失業保険を受給できるわけではありません。以下で受給資格が認められる条件をみてみましょう。

3-1.就職の意思、能力がある

失業保険をもらうには、就職の意思や能力が必要です。はたらく気持ちがない人、病気やけがなどではたらけない人は失業保険を受け取れません。

3-2.失業していて、就職活動をしている

失業保険を受給するには、就職活動を継続する必要があります。定期的にハローワークへ就職活動の内容を報告しなければなりません。また「現に失業している」必要があり、再就職先が決まっていれば失業保険は受け取れません。

3-3.一定期間以上、雇用保険に加入している

在職中に一定期間以上、雇用保険へ加入していたことが必要です。

基本的には「退職前の2年間に12ヶ月以上加入」が要件となりますが、会社都合退職や病気、けがによる退職などの場合には「退職前の1年間に6ヶ月以上加入」でも要件を満たします。

 

4.退職理由によって変わる失業保険

派遣社員が失業保険の申請をするとき「退職理由」によって申請できる要件や受給開始時期、受給期間が異なってきます。

「会社都合退職」と「自己都合退職」の2種類があるので、それぞれの違いをみてみましょう。

会社都合退職 自己都合退職
必要とされる雇用保険の加入期間 退職前1年間に6ヶ月以上 退職前2年間に12ヶ月以上
給付制限期間適用の有無 適用されない(7日の待機期間後、すぐに失業保険を受け取れる) 適用される(7日の待機期間後、3ヶ月間は失業保険を受け取れない)
失業保険の給付期間 90~240日 90~150日

4-1.会社都合退職

会社の倒産、解雇、リストラなどの「会社側の事情」によって職を失うパターンです。

以下のような場合が該当します。

  • 倒産
  • 解雇
  • リストラ
  • 長時間労働
  • パワハラやセクハラの被害を受けた
  • 配置転換や転勤でやむを得ず退職した
  • 退職勧奨を受けた

 

派遣社員の場合、以下のようなケースで「会社都合退職」となるケースがよくあります。

  • 3年以上同じ派遣会社ではたらいてきたのに、契約を更新してもらえなかった
  • 契約を更新すると説明されていたのに、更新してもらえなかった

 

会社都合退職になるメリット

会社都合退職になると、失業保険の受給資格を満たすための雇用保険加入期間は「退職前の1年間に6ヶ月以上」で足り、短くなります。

また3ヶ月の給付制限期間を適用されないので、失業保険を申請したら早期に受給を開始できます。

失業保険の受給可能日数は90日から240日となり、次にご紹介する自己都合退職のケースより長くなります。

 

会社都合退職にしてもらえたら、失業保険をもらうときに非常に有利になるといえるでしょう。

 

4-2.自己都合退職

労働者が自分の事情によって自ら退職する場合です。以下のようなケースが該当します。

  • ステップアップのための転職
  • 今の会社の仕事が気に入らないので退職
  • 雇用条件が気に入らないので転職
  • 引っ越しをするので退職

 

派遣社員の場合、以下のようなケースで「自己都合退職」となるケースが多数です。

  • 次の派遣就業先を紹介してもらったけれど、拒否して退職
  • これ以上同じ派遣会社からの紹介を希望しないので退職

 

自己都合退職になるデメリット

自己都合退職になると、失業保険の受給資格を満たすために「退職前2年間に12ヶ月以上の雇用保険加入期間」が必要となります。

また失業保険の申請後、3ヶ月の「給付制限期間」が適用されるので、失業保険をすぐに受け取れません。

受給期間は90日~150日となり、会社都合退職のケースよりもずいぶん短くなってしまいます。

 

4-3.自己都合退職でも会社都合退職と同様の取扱いを受けられるケース

労働者の都合による退職でも、会社都合退職と同じ扱いを受けられるケースがあります。

  • 病気やけが
  • 妊娠や出産
  • 親族の介護のため
  • 派遣社員、契約社員が契約を更新してもらえずに退職
  • 通勤困難な事業所への転勤を命じられて退職

 

上記に該当する場合、3ヶ月の給付制限期間を適用されません。すぐに失業保険を受け取れるでしょう。

 

また会社側から「自己都合退職」と通知されても、実際には会社都合退職扱いにしてもらえるケースがあります。たとえば長時間労働、セクハラやパワハラ、転勤、契約更新拒否、退職勧奨などの事情があれば、会社都合退職となります。

会社側からの説明内容を鵜呑みにせず、状況を分析してみてください。

 

5.派遣社員が失業保険を受け取る流れ

派遣社員が退職後に失業保険を申請するときには、以下のような手順で手続きを進めましょう。

5-1.会社から離職票を受け取る

退職したら、派遣会社から「離職票」を受け取りましょう。正確には「雇用保険被保険者離職票1・2」という書類です。通常は退職後10日が経過する頃までに送られてきます。

送ってもらえない場合、会社に連絡して督促してください。

 

離職票が届いたら、「離職理由」の欄を確認しましょう。特に「労働者からの契約の更新又は延長」の部分が重要です。

「延長を希望する旨の申出があった」にチェックがついていたら「会社都合退職扱い」となるので失業保険をすぐに受け取れます。

一方「延長を希望しない旨の申出があった」「延長の希望に関する申出はなかった」にチェックがついていると「自己都合退職扱い」となり、3ヶ月間失業保険を受け取れず給付日数も短くされてしまいます。

 

不審点があれば、派遣会社に連絡をして訂正してもらいましょう。派遣会社が話合いに応じない場合、ハローワークへ事情を話して相談してください。ハローワークが調査を行い、退職理由が訂正される可能性があります。

 

5-2.ハローワーク失業保険の申請をする

離職票が届いたら、ハローワークへ行って失業保険の申請をします。

必要書類

  • 離職票(雇用保険被保険者離職票1・2)
  • 写真つきの身分証明書(運転免許証、マイナンバーカード、住民基本台帳カードなど)
  • 写真2枚(縦3cm×横5cm 3か月以内に撮影したもの)
  • 印鑑
  • 本人名義の普通預金通帳(失業保険の振込先を確認します)
  • マイナンバーを確認できる書類(マイナンバーカードなど)

 

「求職の申込み」も同時に行いましょう。

5-3.雇用保険受給説明会に出席

求職の申込みをすると、7日間の待機期間が適用されます。この間にアルバイトやその他の仕事をすると、失業保険を受け取れなくなる可能性があるので注意しましょう。

その後「雇用保険受給説明会」に参加します。説明会が終わったら、初回の失業認定日が決まります。

5-4.失業認定と失業保険の振込

指定された失業認定日にハローワークに行き、失業の認定を受けましょう。すると1週間程度で失業保険が振り込まれます。

ただし自己都合退職の場合、雇用保険説明会から3ヶ月間の給付制限期間が適用されるので、その後の失業認定となります。

 

6.派遣社員の失業保険申請は難しい 専門会社に相談しよう

派遣社員が失業保険を申請するには、さまざまな準備が必要です。会社都合退職か自己都合退職かによっても大きく受給条件が異なるので、注意深く対応しなければなりません。

スムーズに申請を進め、できるだけ早く失業保険を受け取るには専門家によるサポートが必要です。

自分1人では不安な場合「社会保険給付金サポート」を利用してみてください。専門知識を持った担当者がアドバイスをしてくれるので、ベストな方法で失業保険を申請できるでしょう。

「派遣社員をやめるかもしれない、契約を更新してもらえないかも知れない」と不安のある方は、ぜひとも一度相談してみてください。