会社員として一定期間雇用保険に加入していると、離職後に「失業保険」を受け取れます。
実は失業保険を受け取れる期間や受給条件は「会社都合退職」か「自己都合退職」かで大きく異なるのをご存知でしょうか?
会社都合退職になると、雇用保険への加入期間が短めでも失業保険を受け取れますし、早めに給付が開始されるなどメリットが大きくなります。
今回は会社都合退職で失業保険をもらうメリットとデメリット、自己都合退職とされていても会社都合退職に切り替えられるパターンをご紹介します。
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目次
会社都合退職とは
失業保険を受給するときには「会社都合退職」と「自己都合退職」により大きく取扱いが異なります。
会社都合退職とは、解雇やリストラなどの「会社側の理由」によって労働者が退職することです。
以下のような場合が会社都合退職の典型例です。
- 会社が倒産した
- リストラされた
- 解雇された
- 退職勧奨を受けた
- 夫の転勤などの家庭の事情
- 両親の介護や配偶者の看護が必要となった
- 通勤困難な場所へ転勤を命じられた
- 法定残業時間を超過する長時間労働をさせられた
- セクハラやパワハラを受けた
自己都合退職とは
自己都合退職は、労働者が自分の都合で退職することです。以下のようなケースが該当します。
- キャリアアップのために退職
- 職場が気に入らないので退職
- 著しい問題行為を起こして懲戒解雇された
- 自営業を始めるために退職
- 親の会社を継ぐために退職
まずはこれらの「2種類の退職理由」を確実に理解しましょう。
会社都合退職で失業保険が支給される条件
会社都合退職の場合、どういった条件を満たせば失業保険を受け取れるのでしょうか?
失業保険とは
失業保険とは、一定期間を超えて雇用保険に加入していた労働者が離職したときに受け取れる「雇用保険の基本手当」です。
離職後、再就職までの生活費を国が支給してくれます。
会社都合退職でも自己都合退職でも失業保険が給付されますが、支給条件が異なります。
会社都合退職の失業保険受給条件
以下の条件をすべて満たす必要があります。
- 雇用保険の加入期間
在職時、一定期間以上雇用保険に加入していたことが必要です。会社都合退職の場合には「離職前の1年間において6か月以上」の期間、雇用保険に加入していれば条件を満たします。
なお上記の加入月にカウントするには「賃金支払いの対象日数が1か月に11日以上」あることが条件となります。フルタイムの方なら問題ありませんが、パートやアルバイトの方の場合、稼働日数が少ないと日数が足りなくなる可能性があります。
- 働く意思と能力がある
「働く意思」と「能力」が必要です。病気やけがで療養中の場合、退職後にしばらくゆっくりしたい場合などには失業保険を受け取れません。
- 求職活動を行っている
ハローワークへの申請が必要です。具体的には「求職の申込み」をして実際に就職活動を継続しなければなりません。毎月一回ハローワークへ就職活動の状況報告をすれば、その都度失業保険が給付される仕組みです。
会社都合退職で受け取れる失業保険の金額
失業保険の給付金額は、離職前の平均給与額や労働者の年齢によって異なります。
計算式は以下の通りです。
- 失業保険の金額=基本手当日額×給付日数
「基本手当日額」は、1日あたりの失業保険給付額です。
- 基本手当日額=賃金日額×雇用保険の給付率
賃金日額は、離職前6か月間の給与額を180日で割って計算します。
雇用保険の給付率は賃金の金額や労働者の年齢によって異なり、50~80%の範囲で決まります。
また賃金日額、基本手当日額には「上限」と「下限」があります。
離職時の年齢 | 賃金日額の上限 | 基本手当日額の上限 |
29歳以下 | 13,630円 | 6,815円 |
30~44歳 | 15,140円 | 7,570円 |
45~59歳 | 16,670円 | 8,335円 |
60~64歳 | 15,890円 | 7,150円 |
上記の計算によって「上限」を超える金額が算定されても上限までしか支給されないので注意しましょう。
基本手当日額の下限は2,000円なので、計算上それを下回っても最低限1日2,000円までの支給は受けられます。
会社都合退職で失業保険を受け取れる期間、日数
失業保険を受け取れる期間(日数)は、雇用保険への加入期間と労働者の年齢によって異なります。
加入期間 | 1年未満 | 1年以上 5年未満 |
5年以上 10年未満 |
10年以上 20年未満 |
20年以上 |
30歳未満 | 90日間 | 90日 | 120日 | 180日 | – |
30歳以上 35歳未満 |
120日 | 180日 | 210日 | 240日 | |
35歳以上 45歳未満 |
150日 | 240日 | 270日 | ||
45歳以上 60歳未満 |
180日 | 240日 | 270日 | 330日 | |
60歳以上 65歳未満 |
150日 | 180日 | 210日 | 240日 |
会社都合退職の場合、退職時の年齢によって雇用保険を受けとれる日数が大きく変わります。60歳まではだんだんと受給日数が延びていきますが、60歳を過ぎると短くなります。
会社都合退職のメリット
失業保険を受け取るとき、会社都合退職にすると以下のようなメリットがあります。
失業保険をすぐ受け取れる
会社都合退職の場合、退職後すぐに失業保険の受給を開始できます。
失業保険を受け取るためにハローワークへ申請すると、「7日間」の待機期間が適用されます。会社都合退職の場合には、その7日間を過ぎると給付が開始されるので、1週間程度で失業保険を受け取れることになります。
一方自己都合退職の場合には、待機期間に加えて「給付制限期間」が適用されます。
給付制限期間は90日にも及ぶので、自己都合退職すると離職後3か月以上の間、失業保険を受け取れない状態が続きます。
退職後、3か月間も失業保険なしに生活や就職活動をするのは大変です。会社都合退職なら7日間の待機期間のみやり過ごせばすぐに支給を受けられるので、大きなメリットがあるといえるでしょう。
受給期間が長くなる
会社都合退職の場合、自己都合退職よりも失業保険を受給できる期間が長くなります。
- 会社都合退職の受給期間
会社都合退職の場合、年齢によっても異なりますが受給期間は以下の通りです。
加入期間 | 1年未満 | 1年以上 5年未満 |
5年以上 10年未満 |
10年以上 20年未満 |
20年以上 |
30歳未満 | 90日間 | 90日 | 120日 | 180日 | – |
30歳以上 35歳未満 |
120日 | 180日 | 210日 | 240日 | |
35歳以上 45歳未満 |
150日 | 240日 | 270日 | ||
45歳以上 60歳未満 |
180日 | 240日 | 270日 | 330日 | |
60歳以上 65歳未満 |
150日 | 180日 | 210日 | 240日 |
- 自己都合退職の受給期間
雇用保険加入年数 | 1年未満 | 1年以上5年未満 | 5年以上10年未満 | 10年以上20年未満 | 20年以上 |
なし | 90日 | 90日 | 120日 | 150日 |
自己都合退職の場合、年齢による差はなく全年齢共通で「雇用保険への加入年数」のみで失業保険の給付期間が決まります。
また最長でも150日にしかなりません。会社都合退職なら最長で330日にもなり、2倍以上の格差となります。
支給期間が異なると、当然総支給額にも大きな違いが発生します。離職後の就職活動に難航した場合、会社都合退職であれば長期にわたって失業保険を受け取れるので大きなメリットとなるでしょう。
受給資格を得やすい
会社都合退職と自己都合退職とでは、失業保険の受給資格も異なります。
会社都合退職の場合、「離職前の1年間に6か月以上、雇用保険に加入」していれば失業保険を給付されます。
一方会社都合退職の場合、「離職前の2年間に12か月以上、雇用保険に加入」している必要があります。
雇用保険への加入期間が短くても失業保険を給付してもらえる点も、会社都合退職のメリットといえるでしょう。
解雇予告手当を受け取れるケースがある
リストラや能力不足などの会社都合で従業員を解雇するときには、会社は労働者に対し「解雇予告手当」を払わねばなりません。
解雇予告手当とは、雇用者が労働者を解雇する際に30日の余裕をもった解雇予告をできなかったとき、払わねばならない給付金です。
企業が従業員を解雇するには、基本的に30日前に解雇予告しなければならないと労働基準法で定められています。ただ、急いで解雇したい場合にはどうしても余裕を持てないケースもあるでしょう。その場合、不足日数分の解雇予告手当を払わねばならないのです。
たとえば「即時解雇」されたら30日分の解雇予告手当をもらえるので、1か月分の給与くらいの金額になります。
すべての会社都合退職の事案にあてはまるわけではありませんが、「解雇」されたら解雇予告手当を請求できる可能性があるのはメリットとなるでしょう。
会社都合退職のデメリット
会社都合退職の場合、具体的な事情にもよりますが「転職に不利」になる可能性が考えられます。
求人に応募するときには、前職の退職理由を説明しなければなりません。
以前の勤務先で能力不足や成績不良などを理由に解雇や退職勧奨を受けた場合、応募先の担当者に「この人は能力が低いのではないか?」と思われるでしょう。企業側としては積極的に雇いたいとは考えないのが通常です。
履歴書に「会社都合の退職」と記載されていたり、面接時に「会社の都合で退職しました」と伝えたりすると、それだけで「能力や就労態度にも問題があったのでないか」と勘ぐられてしまうおそれもあります。
自分に責任のない会社都合退職の場合、求職先の企業へ具体的な事情を話し「能力不足」「勤務態度不良」などの不利な理由でないことを積極的に伝える努力をしましょう。
会社が「自己都合退職」としていても会社都合退職に変えられるケース
自己都合退職になると、失業保険の受給時期が先になり、受給日数も減らされるのでデメリットが大きくなります。
会社が「自己都合退職」としていても、ハローワークに失業保険を申請するときに「会社都合退職」へ変更してもらえる可能性があるので、どういったケースか押さえておきましょう。
長時間労働
退職前に3か月間連続して残業時間が月45時間を超えていた場合や1か月に100時間を超える残業をさせられた場合など、長時間労働をしていた場合には会社都合退職にしてもらえます。
給料の減額
従来よりも85%以下まで給料を減額された、または業務時間を短縮されて給与額が85%以下に落ち込んだ場合、会社都合退職にしてもらえます。
業務内容の大幅な変更
採用時の条件から大きく外れて業務内容を変更された場合、会社都合退職にできる可能性があります。たとえば「技術職」として入社したのに「営業」に回された場合などです。
パワハラやセクハラを受けた
パワハラやセクハラを受けてやむなく退職した場合、ハラスメント被害を証明できれば会社都合退職扱いにしてもらえます。
勤務地の変更
勤務地を変更されて通勤時間が大幅に長くなった場合、会社都合退職にしてもらえる可能性があります。たとえば通勤に3時間かかる場所にオフィスが移転したり、遠方に転勤命令を下されたりした場合などです。
雇止めの場合
3年以上はたらいてきた契約社員が雇い止めに遭うと、会社都合退職にしてもらえる可能性があります。
会社の法令違反
会社から命じられた業務が法令に違反する場合、会社都合退職にできます。
たとえば会社が提供する労働環境が劣悪で健康被害が発生しそうな場合、危険な業務を課されて労災に遭う不安が高い場合などにも会社都合退職扱いにしてもらえる可能性があります。
給料未払い
月給の3分の1以上が2か月連続して支給されなかった場合、会社都合退職にできます。
休職命令
経営が厳しいなどの会社側の事情で休職を命じられ、3か月以上給料が支払われなかったら会社都合退職にしてもらえます。
短期間に大量の離職者が発生した
1つの事業所において1か月に30人以上、あるいは全社員の3分の1を超える人が退職する事態が発生すると、会社都合退職として取り扱われます。会社側に大量の離職者を発生させる要因があったと考えられるからです。
身内の介護や死亡
自己都合退職でも「特定受給資格者」になれば会社都合退職と同じ扱いをしてもらえます。具体的には、父親や母親などの親族の介護をしなければならない場合や、親族が死亡したためその後の手続きなどが必要となり、退職せざるを得なくなった場合が該当します。
病気やけが
労働者本人の体力不足や精神障害、病気やけがで退職した場合にも、「特定受給資格者」として会社都合退職と同じ条件で失業保険を受け取れます。
会社都合退職で失業保険を申請するなら専門のサポーターへ相談
退職後、「会社都合退職」と「自己都合退職」のどちらになるかは労働者にとって非常に重要なポイントです。会社都合退職の方が、明らかに条件が良くなります。
会社側から自己都合退職とされていても、会社都合退職に変更できるケースが多いのであきらめる必要はありません。
自分では会社都合退職になるのかわからない場合、専門のサポーターへ相談しましょう。
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