失業保険は一度もらうとどうなる?「リセット」の仕組みと次に受給できる条件|年金・再就職手当・育休・障害者雇用への影響も解説

失業保険について調べると、「一度もらうと次は受けられない」「年金が減る」などの情報をよく見かけます。

しかし実際には、失業保険は一度受給しても条件を満たせば何度でも利用でき、年金が減るわけでもありません。

ただし、受給後に雇用保険の加入期間がリセットされることや、60〜64歳の特別支給の老齢厚生年金が一時的に支給停止となる点など、押さえておくべき注意点があります。
また、再就職手当や育児休業給付、就職困難者の認定などは「過去の受給歴」によって扱いが変わることもあります。

本記事では、こうした“一度受給したあとの影響”に絞って、次に受給できる条件から年金・再就職手当・育休手当・障害者雇用への影響までを分かりやすく解説します。

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※本記事は、雇用保険制度・年金制度に精通した編集チームが、厚生労働省・ハローワーク・日本年金機構などの公的情報を参照して作成しています。

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【結論】失業保険は一度もらっても“何度でも”受給できます

失業保険(基本手当)は一度限りの制度ではありません
一度受給しても、次の退職時にあらためて受給資格を満たせば、2回目以降も通常どおり受給できます

ポイントは以下のシンプルな2つです。

① 毎回「受給資格」を取り直す必要がある

次に受給できるかどうかは、過去の受給歴ではなく、

  • 離職前の雇用保険加入期間
  • 働く意思と能力
  • 求職活動の実施

といった基本条件を満たしているかで判断されます。
2回目だから不利になる、といった扱いはありません。

② 「一度もらうとリセット」とは“加入期間のカウントがリセットされる”という意味

失業保険を受給すると、それまでの雇用保険の加入期間(被保険者期間)は一度リセットされ、
次回の受給資格は 新しい会社で働いた期間のみ で判定されます。

この仕組みの詳細や転職時の取り扱いは、以下の記事で分かりやすく解説しています。

雇用保険は転職したらリセットされる?受給期間や加入期間のルールをわかりやすく解説

「次」はいつもらえる?一度受給後、再び失業したときの条件

一度失業保険を受給した後でも、次に受給できるタイミングは“前回の受給歴”ではなく“次の会社での雇用状況”で決まります。
つまり、過去に何回受給したかは影響せず、次の退職時に受給資格を満たしていれば問題なく受給できます。

再び受給できるかどうかは、次の退職理由によって必要な加入期間が異なります。

  • 自己都合退職:原則として、離職前の 12か月以上 の雇用保険加入が必要
  • 会社都合退職:原則 6か月以上 の加入期間があれば受給できることがある

このように、受給資格は「過去にもらったかどうか」ではなく、次に働いた会社でどれだけ被保険者期間があるかでシンプルに判断されます。

より詳しい受給条件や“2回目以降の扱い”については、以下の記事で解説しています。

失業保険は2回目ももらえる?自己都合・会社都合・再就職の条件を徹底解説!

一度失業保険をもらうと「年金」はどうなる?

失業保険を一度受給したことで、将来の年金が減ってしまうのではないかと心配する人は多いですが、結論として「受給歴そのものが将来の年金額を減らすことはありません」。
ただし、年齢や受け取る給付によって取り扱いが変わるため、以下の仕組みを押さえておく必要があります。

参照:日本年金機構「年金と雇用保険の失業給付との調整」

60〜64歳は「特別支給の老齢厚生年金」が一時的に支給停止される

日本年金機構の定めでは、
60〜64歳の特別支給の老齢厚生年金と失業給付(基本手当)は同時に受け取れません。
ハローワークで求職の申込みをした月の翌月から、失業手当の受給が終わる月までのあいだ、特別支給の年金が“支給停止”となります。

重要なのは、

  • 年金が「減る」のではなく
  • 対象期間だけ「一時停止」される

という点です。

※60歳未満の人には関係のない仕組みです。

【定年退職】失業保険はいくら?受給額の計算式と振込日を解説【令和8年対応版】

65歳以降は基本的に「年金と失業給付を併給できる」

65歳以上になると、受け取るのは「高年齢求職者給付金」などであり、
原則として老齢年金と同時に受け取ることができます。
60〜64歳のような支給停止の仕組みはありません。

65歳以上の定年退職でも失業保険はもらえる?「高年齢求職者給付金」の条件と金額

一度失業給付を受けても、将来の年金額は減らない

失業保険を受給したこと自体は、老齢年金の計算式に影響しません。
ただし、年金額に影響する可能性があるケースは以下のとおりです。

  • 離職して厚生年金に加入しない期間が増えた場合
    → 加入期間が短くなれば将来の年金額に影響
  • 国民年金を未納のまま放置した場合
    → 未納期間がそのまま反映されるため将来額が減る可能性

つまり「失業保険を一度もらったから年金が減る」のではなく、
働いていない期間の扱いや国民年金の納付状況が影響するというのが正しい理解です。

年金の未納や免除の扱いは以下の記事で詳しく解説しています。

退職後の国民年金、払えないなら免除できる?条件や手続きまとめ

一度失業保険をもらうと会社都合退職になりにくい?

結論から言うと、過去に失業保険を受給したことと、次の退職が「会社都合」になるか「自己都合」になるかは一切関係ありません。
会社都合かどうかは、あくまで “次の会社でどのような事情で退職するのか” によってのみ判断されます。

たとえば以下のようなケースは、一般的に会社都合退職に該当します。

  • 契約期間の満了(更新なし)
  • 会社からの解雇・雇止め
  • 退職勧奨(強い圧力がある場合)
  • パワハラ・セクハラなど会社側に問題があるケース

これらは「会社側の理由」があるかどうかで判断されるもので、
“前回失業保険をもらっているかどうか”は全く影響しません。

「次の退職理由がどう扱われるか」や、「自己都合から会社都合へ変更できるケース」については、以下の記事で詳しく解説しています。

会社都合退職にするにはどうすればいい?パワハラや残業を理由に自己都合から変更する方法

育休手当・再就職手当・障害者(就職困難者)認定への影響

失業保険を一度受給したことで、ほかの給付金や制度に影響が出るのではないかと不安に感じる方もいます。
しかし、制度ごとに扱いは異なり、正しく理解しておけば過度に心配する必要はありません。

育児休業給付(育休手当)は「そのときの会社で判断される」

過去に失業保険を受け取っていても、育児休業給付の可否には影響しません。
育休手当は 現在勤めている会社での雇用保険加入期間や働き方 に基づいて決まります。

育休後に退職しても失業手当はもらえる?復職せずに辞めたい人のための制度ガイド

再就職手当は「過去3年以内に受給していないこと」が条件

厚生労働省の就職促進給付Q&Aでは、次のように定められています。

過去3年以内に再就職手当または常用就職支度手当を受給している場合、次の再就職手当は原則支給されない。

つまり、一度受給した後に短期間で転職を繰り返す場合は、支給要件に注意が必要です。

参照:ハローワークインターネットサービス「雇用保険受給資格者のみなさまへ 再就職手当のご案内」

再就職手当を「もらわない方がいい」人とは?残日数で変わる最適判断をわかりやすく解説

障害者(就職困難者)認定は“受給歴ではなく現在の状態”で決まる

就職困難者の扱いや給付日数の延長は、失業保険を過去に受けたかどうかとは無関係です。

認定されるかどうかは、

  • 現在の障害や病状の程度
  • 主治医の診断内容
  • 就労がどれほど困難か

といった“現在の状況”によって判断されます。

詳細は以下の記事で丁寧に解説しています。

就職困難者と認定されると失業保険が長くもらえる?条件・手続き・診断書の出し方まで徹底解説

よくある質問(FAQ)

Q1. 失業保険は一度受給すると次はもらえないのですか?
いいえ、そんなことはありません。
失業保険は回数制限がなく、次の退職時に受給資格を満たしていれば何度でも受け取れます。

Q2. 失業保険を一度受給すると年金が減ると聞きました。本当ですか?
“年金が減る”のではありません。
60〜64歳の特別支給の老齢厚生年金については、失業手当の受給期間中だけ一時的に支給停止になる仕組みがあるだけです。
受給歴が将来の年金額を下げることはありません。

Q3. 一度失業保険を受けた後、再就職手当ももらえますか?
可能です。ただし、過去3年以内に再就職手当または常用就職支度手当を受給していないことが条件になります。
3年以内に受給している場合は、次回は支給されません。

再就職手当(就職祝い金)とは? 受給条件と申請手続きの全て|早く働いた方が得?

まとめ:一度受給しても制度は何度でも使える。状況に合わせて最適な選択を

失業保険は、一度受給したからといって不利になる制度ではありません。
次に受け取れるかどうかは、その時点の雇用保険加入期間・退職理由・求職状況によって決まり、受給歴そのものが不利益につながることはありません。

ただし、

  • 加入期間のリセット
  • 年金との支給調整
  • 再就職手当の「3年ルール」

など、一度受給したあとの判断には専門的な知識が必要な場面もあります。

社会保険給付金アシストでは、こうした複雑な条件を踏まえ、
「今の状況でいくらもらえる可能性があるのか」「どのタイミングで申請すべきか」 を個別に整理し、最適な受給方法をアドバイスしています。

  • 雇用保険加入1年未満で退職してしまった方
  • 定年退職後の申請に不安がある方
  • 失業保険・再就職手当・傷病手当金などを組み合わせて少しでも多く受け取りたい方

こうしたケースにも幅広く対応しています。

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