退職後、失業保険を受給しようとしても、すぐに受け取れるとは限りません。病気や妊娠出産などで働けない場合、失業保険は支給されないからです。
そんなときには失業保険の受給期限を「延長」しましょう。
今回は失業保険の「延長手続き」について解説します。失業保険を確実に、なるべくたくさん受け取りたい方はぜひ参考にしてみてください。
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目次
1.失業保険の受給期限とは
1-1.失業保険の受給期限は「退職後1年間」
失業保険には「受給期限」がもうけられています。受給期限とは「退職後、失業保険を受け取れる期間の限度」です。
基本的に失業保険は「退職後1年以内」にしか支給されません。退職後1年が経過したとき、まだ受け取っていない失業保険の給付金が残っていても、受け取ることができないのです。
失業保険は早めに申請し、受給を開始する必要があります。
1-2.失業保険をすぐに受け取れないケース
すべての離職者が退職後すぐに失業保険を受け取れるとは限りません。失業保険を受け取るには「就職の意思と能力」が必要だからです。
失業保険は雇用保険から給付される「基本手当」であり、あくまで「働く意欲と能力があっても就職できていない労働者」へと支給されるものです。働きたくても働けない方へは支給されません。
たとえば以下のような方は、退職後すぐに失業保険を受け取るのは難しくなるでしょう。
- 病気やけがで退職した人
- 妊婦ですぐに働けない人
- 親族の介護のため退職し、すぐに働けない人
就職活動を開始してから失業保険を申請しようとしても、退職後1年の受給期限を経過していると受け取れなくなってしまいます。
2.失業保険の受給期限は延長できる
退職後、すぐに失業保険の申請をできない場合には「受給期限」を延長しましょう。
延長すると、失業保険の受給を止めた日数分、支給期間を延ばしてもらえます。たとえば病気療養のために50日間失業保険の受給を止めたら、1年と50日後まで失業保険を受け取れます。
受給期限を延長期間できるは最長で3年間です。本来の受給期限は退職後1年間なので、合計して「退職後4年間」まで失業保険を受給できる計算となります。
2-1.失業保険の受給期限延長の注意点
失業保険の受給期限を延長するときには、以下の点に注意しましょう。
延長期間中は失業保険をもらえない
1つは、延長期間中の生活の問題です。延長すると「失業保険の受給期限」が伸びますが、延長中は失業保険をもらえません。他の方法で生活を維持する必要があります。
失業保険の受給額は増えない
失業保険の受給期限を延長しても、失業保険の受給額が増えるわけではありません。単に「受給を先延ばしにする」だけの制度です。勘違いしないようにしましょう。
延長日数を過ぎると受給額が減る
失業保険の受給延長をしたとき、うっかり延長日数を超えてしまうと受給額を減らされる可能性があります。
受給期限を延長するときには「3か月間」など延長日数を決定されます。延長されるのはその日数だけなので、定まった日数を過ぎても失業保険受給を開始しないと、受給日数が減ってしまう可能性があるのです。
たとえば50日間受給期間を延長した場合、失業保険をもらえるのは1年と50日後までです。50日を過ぎてもすぐに受給を開始せず、60日後に失業保険を受け取り始めたら、10日分もらえなくなる可能性があります。
この問題を回避するため、早めに「再受給」の申請をしましょう。再受給を申請すると、そのときから失業保険を受給できるので権利を失うリスクがなくなります。再受給の手続き方法については後の項目でご説明します。
2-2.延長期間は扶養に入れる
失業保険の受給期限を延長すると、失業保険を受け取れない無職の状態になるので、収入がなくなります。すると家族の「扶養」に入れるので、ぜひうまく利用しましょう。
本来、失業保険を受け取っていると扶養の上限年収を超えてしまうので、扶養には入れません。しかし失業保険の受給期限延長中は年収が0となるので、扶養に入る要件を満たします。
家族の扶養に入れば、健康保険料や年金保険料を負担する必要がなくなり、家計が楽になるでしょう。延長期間中、会社員の家族がいるなら扶養に入れてもらってください。
3.受給期限を延長できる条件
3-1.受給期限を延長できる人
失業保険を延長できるのは、以下のような人です。
- ケガ・病気で就職活動ができない人
健康保険の傷病手当金を受け取っている方、労災保険の休業補償を受給している方も受給期限の延長が可能です。
- 妊娠・出産や3歳未満の子どもの育児により就職活動できない人
- 親族(配偶者、6親等以内の血族、3親等以内の姻族)の介護や看護により、就職活動ができない人
- 60歳以上で定年退職し、一時休養したい人
- 海外勤務する配偶者に同行するので日本で働けない人
- 青年海外協力隊などによる海外派遣、派遣前の研修のために働けない人
3-2.受給期限延長の申請期限
受給期間延長には申請期限がありますが、以前より随分要件が緩和されているので正しい知識を持っておきましょう。
かつて、失業保険の受給期限を延長申請できる期間は「仕事ができなくなった日(通常は退職日)の30日後から1か月以内」と限定されていました。
しかし2017年4月1日にルールが変わり、「仕事ができなくなった日の30日後から延長後の受給期間の最終日」まで申請が可能となりました。わかりにくいので具体例を示します。
たとえば2017年5月31日に仕事ができなくなって退職した場合、30日後の6月30日が期限延長の申請開始日となります。半年間受給期限を延長してもらう予定であれば、退職日から1年半後である2018年11月30日までに申請をすれば良いことになります。つまり「2017年6月30日から2018年11月30日まで」が申請期間です。
また失業保険の期限は延長可能な期間内であれば何度でも再延長できます。ただし退職後4年を超えることはできません。
60歳以上での定年退職による延長申請の場合
60歳以上で定年退職した場合、働ける状態でも失業保険を受け取らず、受給期限を延長申請できます。ただしこの場合、延長できる期間が限定されるので注意しましょう。
延長申請できる期間は「退職日の翌日から2か月後まで」になります。
また「延長できる期間は1年まで」です。本来の失業保険受給期限が1年なので、これと足して「2年」が失業保険受給の最長限度となります。
定年退職後に失業保険の受給期限を延長する場合には、あまり長い期間の余裕を与えられません。他の理由の場合と比較して、早めに申請する方が良いでしょう。
4.受給期限を延長する方法
失業保険の受給期間を延長する手続きは、以下の段取りで進めましょう。
4-1.失業保険の延長申請方法
まずは必要書類をハローワークへ提出します。申請の際、以下の3種類の方法から選択できます。
- 本人が窓口で申請する
- 代理人が申請する
- 郵便で書類を提出する
ただし60歳以上の方が定年退職による一時休養として受給期限を延長したい場合、原則的に本人の来所による申請が必要です。
4-2.失業保険の延長申請に必要な書類
失業保険の延長申請の際、以下の書類が必要です。
- 受給期間延長申請書
書式をもらって自分で作成します。
- 延長理由を証明できる資料
診断書や母子手帳など。定年退職の場合は証明不要です。
- 雇用保険受給資格者証
会社から受け取ります。
- 離職票-2
会社から受け取ります。
- 印鑑
スタンプ印やシャチハタ以外。認印も可。
- 預金通帳やキャッシュカード
失業保険の入金先を確認する資料です。
代理人を通じて申請する場合、上記に足して「委任状」も必要です。
4-3.失業保険の受給期間延長申請書の入手方法
「受給期間延長申請書」の書式は、以下の2つの方法で入手できます。
- ハローワークの窓口で受け取る
家族などの代理人に受け取ってきてもらうことも可能です。
- 郵送で送ってもらう
ハローワークの「雇用保険給付・教育訓練給付窓口」に電話をして住所や氏名など情報を伝え「申請書を送って下さい」と言えば、郵送してもらえます。
4-4.失業保険の受給期間延長申請書の書き方
受給延長申請書の記載方法を逐一ご説明します。

1.申請者
雇用保険を受け取る本人の氏名や住所、電話番号、性別を書きましょう。
2.3.離職年月日と被保険者番号
「2.離職年月日」「3.被保険者番号」の欄には会社から受け取った「離職票-2」や「雇用保険被保険者証」を見ながら正確に記入しましょう。
4.支給番号
「4.支給番号」の欄は、何も書かなくてかまいません。支給番号は失業保険の受給申請をしてからハローワーク側で決定されるので、申請段階では決まっていません。
5.この申請書を提出する理由
受給期限を延長したい理由を書きましょう。
「イ 妊娠、出産、育児、疾病、負傷等により職業に就くことができないため」と「ロ 定年等の理由により離職し、一定期間求職の申込をしないことを希望するため」の2種類があるので、どちらかを選びます。親族の介護や海外派遣などの選択肢にない事情の場合には、「イ」を選んでください。そして「具体的な事情」の欄に詳細を記入しましょう。
6..職業に就くことができない期間又は求職の申し込みをしないことを希望する期間
ここには「仕事ができないので受給期限を延長してほしい期間」を記入します。
医師の指示などによって休みたい期間がわかっているなら書き込みましょう。わからない場合、空欄でもかまいません。
7.5のイの理由が病気又は負傷の場合
受給延長したい理由が病気や負傷の場合、病気の名称と診療担当者の名前を書きます。診断書を見て、診断名と医師の名称を記入しましょう。
申請日記入、署名押印
最後の欄に申請日と管轄のハローワークの名称を書き、署名押印をすれば申請書が完成します。
上記の書類を揃えて提出すると、ハローワークで書類の審査があり、要件を満たしていれば受給期限が延長されます。その際、いつまで延長されるかも決まります。期限までに状況が変わらなければ再延長申請しましょう。
4-5.働ける状態になったときの再受給の申請方法
失業保険の受給期間延長を終了して基本手当を受け取るには、受給申請をしなければなりません。以下の流れで手続きを進めましょう。
- 求職の申込み
まずはハローワークで求職の申込みを行います。このとき、受給資格も決定されます。
- 待機期間(7日間)
求職の申込み後、7日間の待機期間をもうけられます。この期間に就職すると失業保険をもらえなくなります。
- 雇用保険説明会への出席
待機期間終了後、雇用保険説明会へ出席します。
- 給付制限期間(3か月)
自己都合退職の場合、3か月の給付制限期間が課されます。ただ受給延長期間も給付制限期間にカウントされるので、3か月以上受給期間を延長した場合には給付制限期間が適用されません。
会社都合退職、病気やけが、介護などのためにやむなく離職した方等の場合、給付制限期間は適用されないのですぐに失業保険を受け取れます。
- 失業認定と失業保険の入金
その後就職活動を続け、ハローワークで「失業の認定」を受ければ日数分の失業保険が入金されます。
失業保険を受給するには、その後も1か月に1回ハローワークで就職活動の状況を報告し、失業の認定を受ける必要があります。
5.新型コロナ特例による失業保険受給延長
上記の通常時の取扱いとは別に、現在は「新型コロナウイルス感染症特例」によって失業保険の受給期間が延長されているので、押さえておきましょう。
6-1.延長される日数
延長される日数は基本的に60日です。ただし以下の人は、30日の延長となります。
- 35歳以上45歳未満で所定の給付日数が270日の人
- 45歳以上60歳未満で所定の給付日数が330日の人
6-2.延長対象となる失業者
延長の対象となるのは、以下の失業者です。
2020年4月7日までに離職した人
離職理由にかかわらず、すべての失業者の受給期間が延長されます。
2020年4月8日から5月25日までに離職した人
- 会社の倒産や解雇、リストラなど、会社都合退職した人
- 病気、ケガ、妊娠や親族の介護などでやむなく退職した人
2020年5月26日以降に離職した人
- 自分が新型コロナウイルス感染症にかかったり、親族が新型コロナウイルス感染症にかかって看護対応しなければならなくなったりして離職した人
- 雇い止めによって離職を余儀なくされた人
妊娠や出産、コロナウイルスと無関係な病気、けがなどによる退職の場合、新型コロナ特例の対象になりません。
また特例によって受給期間が延長される場合、受給者が行うべき手続きはありません。不安な場合にはハローワークへ確認してみてください。
7.受給期限延長で迷ったときにはご相談ください
病気やけが、妊娠、出産や育児、介護などで離職した場合、失業保険の受給期限を延長しておかないと受け取れる金額を大きく減らされてしまうおそれがあります。ただ、自分ではなかなか動きを取れない方や、方法が分からない方もおられるでしょう。
お困りの際には、社会保険給付サポートの専門会社までご相談ください。親身になってアドバイスさせていただきますし、申請書の書き方もご説明いたします。1人で抱え込まず、周囲のサポートを頼りましょう。