失業保険をもらわないとどうなる?もらわないときのメリットとデメリットを徹底解説

「失業保険はもらったほうがいいのかな?」
「離職理由によってどう違うのか知りたい」
「気軽に相談できるところがあればいいのに」

といったお悩みを抱えていませんか?失業保険は、離職理由や年齢によってもらえるタイミングや額が異なります。自分にとって「今は失業保険を申請するのがベストなタイミングなのか」を見極めることが大切です。

そこで、本記事では以下のポイントについて解説します。

  • 失業保険をもらうことによるデメリット・もらわないメリット
  • 失業保険と再就職手当との関係
  • 失業保険をもらわない方がよい例
  • 失業保険をもらう方がメリットが大きいケース
  • 失業保険をもらうべきケース

失業保険は一度申請すると、最大でもらえる日数(所定給付日数)がリセットされます。申請した後に後悔しないためにも、ぜひ本記事を参考にしてみてください。

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失業保険とは

失業保険とは雇用保険に加入している被保険者が離職した場合に、失業中の生活を安定させ次の新しい仕事が見つかるまでに支給されるものです。離職時の年齢や雇用保険の被保険者期間に応じて、失業保険をもらえる日数は90〜330日と異なります。

また、自己都合退職であるか会社都合退職であるかによって失業保険をもらえるタイミングは異なります。自己都合退職の場合は、待機期間の7日間と支給制限期間(原則2ヶ月)が経過しないと失業保険をもらえません。

一方、会社都合退職の場合には待機期間7日間を経過すると失業保険がもらえます。そのため、どういった理由で退職したのかが重要です。

1.失業保険の受給資格

失業保険をもらうためには、以下の2つの条件を満たす必要があります。

  • 雇用保険に一定期間加入している
  • 失業状態である

1つずつ詳しくみていきましょう。

まず、失業保険を受けるためには離職日以前の2年の間に雇用保険に12ヶ月以上(通算)加入していることが必要です。ただし、解雇や会社の倒産などの理由で離職した場合には離職日以前の1年間に雇用保険に6ヶ月以上(通算)加入していれば条件を満たします。そして、2つ目の条件として失業状態であることが必要です。

「失業状態」と認定されるためには、単に仕事をしていないだけではなく、就職したいという明確な意思や能力があり、すぐにでも働ける状態を指します。たとえ仕事につきたいと思っていても、育児で手が回らなかったり病気で入院している場合には、条件を満たしません。

このように、雇用保険の加入期間と失業状態であることの2つを満たして失業保険の受給資格が得られるのです。

2.失業保険の受給期間

失業保険の受給期間は、大きく会社都合退職の場合と自己都合退職の場合に分けられます。失業保険を受けられる期間(日数)を所定給付日数と呼び、会社都合退職の場合は以下の表のとおりです。

  雇用保険の被保険者であった期間
1年未満 1年以上5年未満 5年以上10年未満 10年以上20年未満 20年以上
30歳未満  

 

 

90日

90日 120日 180日
30歳以上35歳未満 120日  

 

180日

210日 240日
35歳以上45歳未満 150日 240日 270日
45歳以上60歳未満 180日 240日 270日 330日
60歳以上65際未満 150日 180日 210日 240日

所定給付日数には90日〜330日と大きな差がみられます。一方、自己都合退職の場合の所定給付日数は以下のとおりです。

  雇用保険の被保険者であった期間
10年未満 10年以上20年未満 20年以上
全年齢 90日 120日 150日

所定給付日数は90〜150日と、会社都合退職に比べて少ないのがわかります。また、会社都合退職の場合には年齢も考慮されていましたが、自己都合退職の場合には年齢に関係なく雇用保険の加入期間で決まります。

失業保険をもらうことことによる3つのデメリット

失業保険をもらうことによるデメリットが存在します。

  1. 雇用保険の加入期間がリセットされる
  2. 空白期間が長くなってしまう
  3. 不正受給のリスクがある

失業保険の給付を受けることは、よいことばかりではないことをぜひ知っておきましょう。

1.雇用保険の加入期間がリセットされる

失業保険をもらうと、雇用保険の加入期間がリセットされてしまいます。雇用保険に加入していた期間に応じて所定給付日数は変わりますが、どんなに加入期間が長くても、失業保険の給付を一度受けると、次に退職した際にはゼロからのスタートとなってしまいます。

2.空白期間が長くなってしまう

失業保険をもらうと、職についていないいわゆる「空白期間」が長くなってしまいます。特に自己都合退職の場合には、失業保険をもらうまでには、待期期間7日に加えて2か月の給付制限期間があるため、失業保険をもらう頃には3か月近く経過してしまいます。

そこから失業保険をもらい始めると、空白期間がさらに長くなってしまい就職活動に悪影響が出る可能性があります。

3.不正受給のリスクがある

失業保険を受けると不正受給につながることがあります。受給要件を満たさなくなっても失業保険を受け続けると不正受給とみなされますが、悪意なく受給してしまうこともあるでしょう。

アルバイトなどで短期間働いた場合でも、申告が必要です。ペナルティが課されることがあるので、受給資格で悩んだらハローワークなどに相談しましょう。

失業保険をもわらないメリット3選

失業保険をもらわないことで、逆にメリットになることもあります。

  1. 次に離職した時の給付金額が大きい
  2. 就職活動が自由にできる
  3. 早く就職するためにモチベーションが上がる

損をしないために、1つずつ詳しくみていきましょう。

1.次に離職した時の給付金額が大きい

失業保険をもらわなかった場合、所定給付日数はリセットされません。失業保険をもらわずに再就職してすぐに辞めてしまった場合でも、所定給付日数が通算されます。万が一の場合に備えて、所定給付日数を貯めておくことで一度に手厚い補償を受けられます。

2.就職活動が自由にできる

失業保険をもらわないと、自由に就職活動ができます。失業保険を受けるためには、定期的に就職活動を行い28日ごとにハローワークに赴き、失業認定を受ける必要があります。就職活動の実績がないと、失業状態であると認められないからです。

そのため、定期的に就職活動をして報告するのが面倒くさいという人は、失業保険をもらわないことで自分のペースで就職活動ができます。

3.早く就職するためにモチベーションが上がる

失業保険をもらわないことで、就職活動に対するモチベーションアップが期待できます。人によっては、失業中の生活保障のための失業保険をあえて受けないことで、自分を追い込み「1日も早く就職しよう」と自分を奮い立たせられるでしょう。

ダラダラと就職活動をして空白期間が長期化するよりも、短期間で集中して就活をして早期の就職を目指せるのがメリットです。

再就職手当と失業保険の比較

失業保険と似たものに、再就職手当があります。再就職手当とは、失業保険の受給資格のある人が早期に就職した場合に、一定日数以上の所定給付日数(支給残日数)を残していると支給される給付金です。

失業保険を受けるためには、定期的にハローワークに行き認定を受ける必要がありますが、再就職手当は一時金として支給されます。ただ、支給額は失業保険の60%または70%であるのがデメリットです。

再就職手当は失業保険と金額に差があるため、早期に就職する場合には失業保険と再就職手当はもらわずに、次回の退職時にまとめて失業保険をもらう方がメリットは大きいです。

失業保険をもらわない方が得な例

以下のような設定の男性が、失業保険をもらう場合について具体的に考えてみましょう。

  • 40歳の男性
  • 前職の勤続年数が10年
  • 自己都合で退職
  • 基本手当日額は5,000円
  • 退職後に失業保険を申請してから1ヶ月で再就職した
  • さらに再就職先を1年で会社都合退職

この男性は、最初の退職時には失業保険を最大で所定給付日数120日分受給できるため、仮にもらいきった場合には合計5,000✖️120=60万円支給されます。しかし、自己都合退職のため給付制限期間があり、それを待たずに再就職しているので失業保険は全く受け取っていません。

そして、再就職先の会社も1年で辞めてしまっており、最初の退職で失業保険の申請をしたために、所定給付日数はリセットされてしまいました。2度目の退職時の所定給付日数は150日です。

再就職することを見越して最初の退職時に失業保険を申請していなければ、2度目の退職時には所定給付日数は240日で、待機期間7日を待つだけで失業保険を受けられるはずでした。この男性は1回目の失業時に、失業保険を申請しない方が得だったといえます。

失業保険をもらわない方がメリットが大きい5つのケース

失業保険をもらわない方がメリットが大きいケースは、以下の5つです。

  1. 自己都合退職した
  2. 早期に再就職する
  3. 雇用保険に長期間加入していた
  4. 失業保険がなくても十分に生活できる
  5. 当分就職活動をしたくない

退職事由や生活環境によって、失業保険をもらわない方がメリットにもデメリットにもなりえます。

1.自己都合退職した

自己都合退職の場合、失業保険をもらわない方がメリットが大きいです。自己都合退職の場合、失業保険がもらえるのは待機期間7日と給付制限期間2ヶ月が明けてからです。

その間は、給付がないので貯金を切り崩すなどして生活する必要があります。その間に、新たな就職先を見つける方が、キャリア形成の面からもメリットはあるでしょう。

2.早期に再就職する

失業保険をもらわずに早期の再就職を目指している人は、失業保険をもらわない方がメリットになります。早期に再就職する場合には、失業保険をもらえる期間がわずかです。

失業保険を一度受けると、所定給付日数はゼロにリセットされるため、次に退職した時のために消化せずに繰り越すという選択をする方がよいでしょう。

3.雇用保険に長期間加入していた

雇用保険に長期間加入しており、所定給付日数の多い人は失業保険を受けないことのメリットは大きいです。確かに所定給付日数が多いと、受け取れるトータルの金額は多くなりますが、全てをもらいきるまでには時間を要します。

一度、所定給付日数がリセットされると再度同じ日数を得るまでには年月を要します。失業保険を受けるかどうかは、慎重に判断する必要があります。

4.失業保険がなくても十分に生活できる

失業保険に頼らなくても生活に支障はないという人は、失業保険を受けない方がメリットは大きいです。生活に余裕のある人が、失業中に失業保険を受けるとかえって無駄遣いしてしまう可能性もあります。

失業保険は受給せずに、将来万が一お金に困った時のために所定給付日数をセーブしておくという選択も検討してみましょう。

5.当分就職活動をしたくない

就職活動をしばらく休みたいという人にとっても、失業保険をもらわないことはメリットになるでしょう。失業保険をもらい続けるためには、定期的な就職活動の実績とハローワークへの報告が必要です。家庭の事情や身体的な理由で、就職活動を休みたいという人もいます。

このように、しばらくはゆっくりしたいという人は、失業保険をもらわないという選択もありです。

失業保険をもらうべき3つのケース

失業保険をもらうべきケースは以下の3つです。

  1. すぐにでもお金が欲しい
  2. 会社都合で退職した
  3. 早期の再就職が難しい

失業時の生活支援である失業保険の恩恵を受けたいという人は、失業保険をもらったほうがメリットが大きいです。

1.すぐにでもお金が欲しい

すぐにでもお金が欲しいという人は、失業保険をもらったほうがよいでしょう。ただし、失業保険は退職理由によってもらえるタイミングが異なります。自己都合退職の場合は、もらえるまでの数ヶ月は自分で生活費をやりくりする必要があります。

そのため、自己都合で退職を考えている人は退職後の生活費についても考えておくことが大切です。

2.会社都合で退職した

会社都合で退職する人は、失業保険をもらうメリットが大きいです。自己都合退職の場合と違って、会社都合退職は給付制限期間がないため、待機期間の7日間が経過すると失業保険をもらえます。自己都合退職よりも失業保険をもらえる期間が長いのは大きなメリットといえるでしょう。

3.早期の再就職が難しい

早期に再就職をするのが難しいという人は、失業保険をもらう方がよいでしょう。年齢や共住地域によっては、次の仕事がなかなか決まらないという人もいます。そのような人は、就職活動が長期戦になる覚悟を持つ必要があります。

長期を想定しているので、失業保険をその間受け続けられるのは生活を安定させるために大きなサポートになり得るでしょう。

失業保険のことで悩んだら専門家に相談しよう

失業保険は失業中の生活のサポートが大きな目的ですが、もらえるタイミングや期間は年齢や退職理由によって異なります。そのため、失業保険をもらうことが必ずしもメリットにつながるとは限りません。

失業保険を受けた方がよいのかどうか迷ったら、専門家に相談することをおすすめします。専門家に相談することで、失業保険で損をする可能性を下げられるでしょう。社会保険給付金サポートは、失業保険などの社会保険の申請のサポートを行なっています。失業保険でお悩みの方は、ぜひ一度ご相談ください。

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