障害年金と傷病手当金は、どちらも「働けないときに生活を支える大切な制度」です。
会社員や公務員として健康保険に加入していれば、病気やケガで働けなくなったときに一定期間の収入を補うのが傷病手当金であり、長期的に労働が難しい場合には公的年金から障害年金を受け取れる仕組みがあります。
しかし実際には、「両方を同時にもらえるのか?」「どちらを優先すべきなのか?」「金額的にどちらが得なのか?」といった疑問を持つ方が非常に多く、制度を正しく理解していないと受け取れるはずのお金を逃してしまうこともあります。
本記事では、それぞれの制度の特徴と併用ルール、注意点を整理し、損をしないための考え方を解説します。
目次
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障害年金と傷病手当金の基本を整理
まずは、障害年金と傷病手当金がどのような制度なのかを整理しておきましょう。
どちらも「働けないときに生活を支えるための制度」ですが、対象や支給期間、金額などに違いがあります。
傷病手当金とは
傷病手当金は、健康保険に加入している人が病気やケガで働けなくなったときに受け取れる給付金です。
支給額は給与の約3分の2で、最長1年6か月(18か月)まで受け取ることができます。
主に現役世代を対象とした制度で、休職中だけでなく退職後でも条件を満たせば受給できるのが特徴です。
短期間の収入減をカバーする「つなぎ」の役割を果たします。
障害年金とは
障害年金は、公的年金制度(国民年金・厚生年金)から支給される給付です。
病気やケガによって長期的に働くことが難しいと判断された場合に受給でき、障害等級(1級~3級)に応じて金額が決まります。
よく誤解されるのが「働いていたら障害年金はもらえないのでは?」という点です。
しかし、障害年金は 「働けるかどうか」ではなく「障害の程度」 によって判定されます。
たとえパートやアルバイトなど制限付きで就労していても、障害の状態が基準に該当すれば受給可能です。
例えば、人工透析を受けている方や、うつ病などでフルタイム勤務は難しいが軽作業はできる方も、条件を満たせば障害年金を受け取れます。
特に2級以上の認定を受ければ、生涯にわたって支給される可能性があり、生活の基盤を長期的に支える制度といえるでしょう。
共通点と違い
- 共通点:どちらも「働けないときの生活を保障する制度」
- 違い:傷病手当金は短期的な生活費補填、障害年金は長期的な生活保障
このように、同じ「働けないときの支援」でも、目的やカバーできる期間が異なります。
したがって「どちらを優先すべきか」や「両方はもらえるのか」という疑問が出てくるのです。
障害年金と傷病手当金は同時に受給できる?
障害年金と傷病手当金は、どちらも「働けないときの生活を支える制度」です。
では、この2つを同時に受け取ることはできるのでしょうか?
ここではそのルールと例外について解説します。
原則は「併給調整」がある
障害年金と傷病手当金は、どちらも「働けないときに生活を保障する制度」ですが、同じ病気やケガについては原則として同時に受給することはできません。
これは「二重給付による過剰な保障を避ける」という制度上の考え方によるものです。
たとえば、うつ病で休職している場合には、傷病手当金と障害年金を同時に受け取ることはできません。
どちらか一方が優先される仕組みです。
別の傷病であれば同時受給できるケースも
一方で、まったく別の病気やケガであれば、同時に受給できる可能性もあります。
例えば、精神疾患によって障害年金を受け取りながら、交通事故による骨折で一時的に傷病手当金を受ける、といったケースです。
ただし、実際にはこのようなケースはかなり稀であり、健康保険組合や日本年金機構による審査も厳格に行われます。
どちらが得か?金額と期間で比較
障害年金と傷病手当金は「同時にはもらえない」ケースが多いため、実際には「どちらを優先して申請すべきか」が重要になります。
ここでは金額や受給できる期間の違いを整理してみましょう。
傷病手当金の特徴
- 金額:標準報酬月額の3分の2
- 期間:最長1年6か月(18か月)
- 制度の役割:会社員や公務員が病気やケガで働けなくなったときに、短期的な生活費を補う制度
傷病手当金は、休職や退職直後の「収入が途絶える時期」を支えるために設けられています。
期限があるため、あくまで一時的な補償という位置づけです。
障害年金の特徴
- 金額:障害等級によって異なる
(例:障害基礎年金2級なら月額約6万5千円+子どもの加算あり) - 期間:原則として長期(場合によっては生涯支給)
- 制度の役割:長期的に働けない人の生活を支える制度
障害年金は一度認定を受ければ、状態が続く限り長期にわたって支給されます。
特に2級以上の認定なら、生涯にわたり生活の基盤になる可能性があります。
使い分けの目安
- 一時的に働けないとき → 傷病手当金で収入をカバー
- 長期的に働けないとき → 障害年金で生活を安定させる
併用する際の注意点
障害年金と傷病手当金は、それぞれ制度の仕組みや窓口が異なるため、申請のやり方を間違えると本来受け取れるはずのお金を逃してしまうことがあります。
ここでは特に注意しておきたいポイントをまとめます。
申請の順序が重要
障害年金は 日本年金機構、傷病手当金は 健康保険組合 が窓口です。
別々の機関に申請するため、どちらを先に進めるかによって受給結果が変わるケースもあります。
誤った順序で申請してしまうと、支給が遅れたり一部がもらえなくなるリスクがあるため注意が必要です。
認定日の取り扱いに注意
障害年金は「初診日」や「認定日」に基づいて審査されます。
その際に提出する診断書の内容が極めて重要で、医師が「働けない状態」を十分に記載していなければ不支給となることもあります。
申請前には、医師に自分の症状や生活の制限をしっかり伝えておくことが大切です。
ありがちな損失パターン
- 事後重症で請求した場合
→ 本来はさかのぼって受け取れたはずの期間がカットされてしまう。 - 傷病手当金を受けた後、障害年金を申請しなかった場合
→ 長期的な給付を受けられず、18か月で収入補填が終わってしまう。
制度を組み合わせて最大限活用する方法
傷病手当金から障害年金へスムーズに移行
実際のケースでは、「まずは傷病手当金で収入を補い、その後に障害年金に切り替える」という流れが多く見られます。
特にうつ病などの精神疾患では、最初は一時的な休職を前提に傷病手当金を受け取り、その後長期療養が必要と判断されれば障害年金に移行するのが一般的です。
無収入の空白期間を作らないためにも、申請の順序を意識して進めることが重要です。
他の制度との併用も可能
障害年金や傷病手当金に加えて、状況に応じてほかの制度を組み合わせることで、生活をより安定させることができます。
失業手当との関係
失業手当(雇用保険の基本手当)は「求職活動ができる=働ける」と判断された場合に受給できます。
一方、障害年金は「障害の程度」によって判定されるため、働けるかどうかにかかわらず対象になれば受給可能です。
そのため、条件を満たせば失業手当と障害年金は同時に受け取ることができます。
ただし、働けないほど重い障害の場合には失業手当は支給されないため、その場合は障害年金のみの受給となります。
生活支援制度との組み合わせ
また、生活費や住居費の負担を軽減できる制度をあわせて活用することも可能です。
- 住居確保給付金:家賃相当額を一定期間支給
- 生活福祉資金貸付制度:低所得者向けに生活費を貸し付け
- 自治体独自の支援制度:医療費助成や生活困窮者支援など
これらを組み合わせることで、経済的な不安を和らげながら生活を立て直すことができます。
専門サポートを受けるメリット
障害年金と傷病手当金は仕組みが複雑で、申請書類の不備や診断書の記載内容によって不支給になるケースも少なくありません。
そのため、自力で申請を進めるよりも専門的なサポートを受ける方が安心です。
当社「社会保険給付金アシスト」では、主に傷病手当金や失業手当の申請サポートを行っています。
複数の制度をどのように組み合わせるとよいか、申請の順序などについてもご案内できますので、安心してご相談ください。
まとめ
障害年金と傷病手当金は、原則として同時には受け取れません。
別の傷病なら併用できる可能性もありますが、実際には稀です。
短期的な収入補填には傷病手当金、長期的な生活保障には障害年金が適しており、申請の順序や診断書の内容によって結果が変わることもあります。
制度を正しく理解し、自分に合った形で活用することが、働けない期間の生活を守るためのポイントです。