在職中は「社会保険」に加入しているものですが、退社すると脱退するのが原則です。保険の無い状態では過ごせないので、何らかの保険に入らなければなりません。
今回は社会保険とはそもそもどういった制度なのか、退社後に何をすればよいのか手順を追って解説します。退職を検討している方は、ぜひ参考にしてみてください。
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1.社会保険とは
社会保険とは、労働者の健康で安全な生活を補償するための保険をいいます。国が加入を義務づけているため、企業や労働者が自分で加入するかどうかを選べるものではありません。会社ではたらいている方は、要件を満たす限り必ず社会保険に加入しています。
社会保険には「狭義の社会保険」と「広義の社会保険」があるので、それぞれどういったものか、みてみましょう。
1-1.狭義の社会保険
狭義の社会保険は、会社で加入する医療保険(健康保険)、介護保険、年金保険の3種類です。
医療保険(健康保険)は、病気やけがをして医療機関にかかるときに健康保険組合が医療費を一部負担してくれる保険です。
介護保険は、介護を必要とする際に組合が介護料金を負担してくれる保険で、40歳以上の方が加入します。
年金保険は老後や障害者となったときなどに年金を受け取れる保険です。会社では「厚生年金」に加入している方が多数ですが、この厚生年金が「年金保険」となります。
一般的には会社で加入する健康保険、介護保険、年金保険をまとめて「社会保険」と呼ぶケースが多いので、まずは押さえておきましょう。
1-2.広義の社会保険
広義の社会保険では、上記の3種類に「雇用保険」「労災保険」が足されて5種類となります。
雇用保険とは、労働者が失業したときや就職のための教育訓練を受けるとき、再就職できたときなどに「手当(給付金)」を受け取れる保険です。
労災保険とは、労働者が業務に起因して、あるいは通勤退勤途中に病気やけがをしたり死亡したりしたときに給付を受けられる保険です。
以下では退社後の社会保険手続きについて、狭義の社会保険(健康保険、介護保険、年金保険)と雇用保険の手続きに分けてご説明します。なお労災保険については、退社後特に対応する必要はありません。
2.退社後の健康保険、介護保険と厚生年金の手続き

退社したら、狭義の社会保険である「健康保険」「年金保険」「介護保険」についての手続きが必要です。
以下で具体的な対処方法をご説明します。
2-1.3つの対処方法
日本ではすべての国民が健康保険や年金に加入しなければならないという「国民皆保険制度」が適用されます。40歳以上の方は介護保険にも加入しなければなりません。
しかし退社すると会社の社会保険から抜けて「保険に加入していない状態」になる可能性があります。そういった状況は認められないので、引き続いて別の保険に加入しなければならないのが原則です。
健康保険、年金保険、介護保険については、以下の3種類の対処方法があります。
- 国民健康保険、国民年金に加入する
- 任意継続する
- 家族の扶養に入る
2-2.国民健康保険、国民年金に加入する
国民健康保険と国民年金に加入する方法は、もっともオーソドックスな対処法です。
国民健康保険とは、市町村が運営する健康保険です。
国民年金は、国が運営する年金です。
国民健康保険や国民年金は、社会保険に加入できない自営業者やフリーランス、無職などの方が加入する制度となっています。退職して会社の社会保険から脱退したら、基本的に国民健康保険と国民年金に加入しなければなりません。
国民健康保険や国民年金に加入すると、保険料を支払う必要があります。国民健康保険料は、前年度の所得額に応じて決まるので、会社員時代に所得が高かった方は高額になるでしょう。国民年金保険料は所得に限らず一定です。
国民健康保険、国民年金への切り替える手順
国民健康保険に入るには、退職日の翌日から14日以内に市区町村役場の窓口に行って加入の手続きをする必要があります。その際、会社から交付された「資格喪失証明書」が必要なので、事前に発行を受けておきましょう。
本人確認書類と個人番号を確認できる書類も持参してください。
国民年金は、市町村役場または年金事務所で手続きできます。国民健康保険と同時に市区町村役場で切り替えをすると手間が省けるでしょう。
年金手帳など、基礎年金番号を確認できる書類を用意して市町村役場へ行けば手続きできます。
2-3.任意継続する
2つ目の方法は「任意継続」です。任意継続とは、退職後も一定期間、前の会社の社会保険に加入し続ける方法です。任意継続すると、会社員時代に加入していた健康保険を「退職後2年間」まで利用できます。
任意継続を利用できる要件は「退職までに継続して2か月以上の被保険者期間があること」です。また退職後20日以内に加入していた健康保険組合に任意継続を申請しなければなりません。その期間を過ぎると国民健康保険に加入せざるを得なくなるので注意しましょう。
任意継続のメリット
- 家族の扶養を継続できる
任意継続のメリットは、「扶養を継続できること」です。扶養されている家族は、自分で健康保険や年金に入る必要がなく、保険料を払う義務がありません。
奧さんや子どもなどの家族がいる場合、任意継続して本人のみの保険料支払いに抑えれば、保険料の支出を抑えられるでしょう。
任意継続のデメリット
- 自分で全額の保険料を負担する必要がある
任意継続すると、被保険者が自分で全額の保険料を負担する必要があります。実は会社員時代は、社会保険料の「半額」を会社が負担してくれるので、被保険者本人の負担額は少額に抑えられています。任意継続すると、保険料がアップする可能性があるので注意しましょう。
扶養家族がいない場合、国民健康保険に加入した方が得になる場合も少なくありません。
ただ任意継続の際の保険料には上限が設けられているので、所得が高額だった方は独身でも任意継続の方が保険料を安く抑えられる可能性もあります。
国民健康保険か任意継続か選択する際には、保険料のシミュレーションをしてから決めましょう。国民健康保険料は自治体によって異なるので、お住まいの地域の計算方法を調べて適用する必要があります。
厚生年金には任意継続がない
任意継続できるのは、社会保険の中でも「健康保険」と「介護保険」です。厚生年金には任意継続の制度がないので、必ず国民年金に加入する必要があります。
健康保険の任意継続をする手順
任意継続を利用したい場合、会社員時代に加入していた健康保険組合に申請が必要です。退職日の翌日から20日以内に手続きをしなければなりません。
必要書類は以下のとおりです。
- 任意継続被保険者資格取得申出書
- 住民票
- 扶養家族の収入証明書類
健康保険組合によっても必要書類が異なるので、事前に問い合わせてから手続きを進めましょう。
2-4.家族の扶養に入る
3つ目は、社会保険に加入している家族の「扶養」に入れてもらう方法です。同居家族はもちろんのこと、配偶者、親や子どもなどの社会保険なら、別居していても扶養に入れてもらえる可能性があります。
家族の保険の被扶養者となれば、自分で健康保険料や年金保険料を払う必要がありません。家計支出を大きく減らせるでしょう。
扶養に入るには、「扶養者によって生計を維持されている」ことが要件となるので、年収が一定以下である必要があります。基本的には年収が130万円以下、60歳以上の場合には年収180万円以下でなければ被扶養者になれません。
家族の扶養に入る手順
家族の社会保険の扶養に入りたい場合、家族の勤務先の健康保険組合へ届出をしましょう。
その際、以下の書類が必要です。
- 資格喪失証明書
- 収入証明書類
- 住民票
健康保険組合によって必要書類が異なるケースもあるので、詳細は問い合わせてから手続きを進めましょう。
2-5.退社後すぐに別の会社に就職する
退社後、無職の期間を作らずに別の会社へ就職するなら、新しい会社で社会保険に入れます。この場合、会社が社会保険加入の手続きをしてくれるので、自分では特に何もする必要がありません。
ただし以前の会社の健康保険組合へ「健康保険証」を返還する必要があるので、退職日に家族の分も含めて提出しましょう。
3.退職後の保険料を減額する制度がある
退職後、国民健康保険や国民年金に加入すると自分で保険料を払わねばなりません。市区町村役場から毎年6月頃に計算書と納付書が届くので、分割または一括で納付しましょう。
このとき国民健康保険料は「前年度の所得」によって金額が決定されるので注意が必要です。無職になって収入がなくなったのに高額な請求をされると、支払えない方が少なくありません。
健康保険料については、一定の要件を満たすと減額してもらえる制度が用意されています。
3-1.退職理由によって減額
退職理由が以下のように「本人の意思にもとづかない」場合、健康保険料が7割減額されます。
- 倒産
- 解雇
- 雇い止め
- 退職勧奨による退職
- 天災によって事業継続が不可能となった
いわゆる「会社都合退職」の場合には減額の対象となる可能性が高いので、自治体へ相談してみてください。
3-2.所得が一定以下の場合の減額
自己都合退職でも、前年度の所得が一定以下の場合には軽減措置を適用してもらえる可能性があります。収入額に応じて7割減、5割減、2割減とります。
3-3.国民年金の免除、猶予制度
国民年金保険料についても免除や猶予の制度が設けられています。
免除制度を適用すると、年金保険料の一部や全部を免除してもらえます。この場合、保険料を支払わなくても、「支払った場合の2分の1の金額」の年金を将来受け取れます。
猶予制度を適用すると、年金保険料の納付を繰り延べてもらえるので、未納状態を回避できます。ただし将来において、猶予期間中の年金は受け取れません。
免除制度も猶予制度も、失業や低所得で保険料の負担が困難な場合に適用できます。困ったときには市町村役場や年金事務所で相談してみてください。
4.雇用保険の手続き
退社後の社会保険の手続きとして「雇用保険」も忘れてはなりません。雇用保険とは、労働者が失業した場合に備えて加入している社会保険です。
一般に、退職すると「失業保険」を受け取れることが知られています。この失業保険は「雇用保険の基本手当」です。
4-1.失業保険の受給資格
会社都合退職の方は、退職前1年間に6か月以上雇用保険に入っていれば失業保険を受け取れます。自己都合退職の方の場合、退職前2年間に12か月以上雇用保険に加入していた必要があります。
また失業保険を受け取るには「就職の意思と能力」が必要です。働く意欲がない方、就職活動しない方、働きたくても働けない方は失業保険を受け取れないので、注意しましょう。
ただし退社後病気やけがでしばらく働けない方は、雇用保険から「傷病手当」を受け取れる可能性があります。
4-2.失業保険の申請方法
失業保険を受け取りたい場合、退職後にハローワークで申請しましょう。「失業の認定」を受けられたら、退職前の所得に応じて給付金を受け取れます。
4-3.失業保険申請の必要書類
- 離職票
- 雇用保険被保険者証
- 個人番号がわかる書類
- 本人確認書類
- 通帳
上記の書類をそろえて管轄のハローワークへ行き、求職の申込みと基本手当(失業保険)の給付申請をしましょう。
4-4.失業保険を受け取るときの注意点
家族の扶養には入れない
退社後に加入する保険の選択肢として「家族の扶養に入る」方法があります。ただ失業保険を受け取る場合、家族の社会保険の扶養には入れません。ほとんどのケースで「年収130万円」を超えてしまうからです。
一般的に失業保険と扶養を比べると、失業保険を受給した方が得になるケースが多数です。
退社後、就職活動する意思があるなら失業保険を申請しましょう。
就職活動を続ける必要がある
失業保険を受け取るには就職活動を継続しなければなりません。ハローワークへ定期的に通い、求職活動の報告をしなければ振込が行われないので注意しましょう。
まとめ
退職したら、社会保険に関する手続きを進めなければなりません。健康保険については任意継続するか国民健康保険に入るか、扶養に入るか決断する必要があります。
また失業保険の受給資格があるなら、できるだけ早めにハローワークで手続きしましょう。
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