仕事中や通勤中のケガ・病気を補償してくれる制度が「労災保険(労働者災害補償保険)」です。
聞いたことはあっても、実際にどんなときに使えるのか、どんな給付があるのか、会社が協力してくれない場合はどうなるのかなど、詳しく理解している方は少ないのではないでしょうか。
この記事では、労災保険の仕組みから受け取れる給付内容、申請の流れ、注意点までをまとめて解説します。
目次
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労災保険とは?制度の基本を整理
仕事中や通勤中のケガや病気は、誰にでも起こり得るものです。
そんなときに労働者を守るのが「労災保険(労働者災害補償保険)」です。
医療費の自己負担がなくなり、休業中の生活費も補償されるなど安心を支える制度ですが、仕組みを詳しく知らない方も多いでしょう。
ここでは労災保険の基本を整理します。
労災保険の目的と仕組み
労災保険は、労働者が仕事中や通勤中にケガや病気を負ったときに、その治療費や休業期間中の生活を補償するための制度です。
労働者を守るために国が運営しており、保険料はすべて会社が負担します。
対象者は誰?
労災保険の対象は正社員に限らず、パート・アルバイト・契約社員なども含まれます。
雇用形態に関係なく「労働者」として働いていれば、基本的に労災保険の対象になります。
労災保険と健康保険の違い
健康保険は「私的な病気やケガ」が対象ですが、労災保険は「業務や通勤が原因で起きた病気やケガ」が対象です。
たとえば同じ骨折でも、業務中に起きた場合は労災保険、私生活でのケガなら健康保険と使い分けることになります。
業務に関係する傷病であれば、健康保険よりも労災保険を優先して利用するのが原則です。
労災で受け取れる給付の種類
労災保険では、ケガや病気の状況に応じてさまざまな給付を受けることができます。
ここでは代表的な補償内容を紹介します。
療養補償給付(医療費の補償)
労災による治療を受ける場合、労災指定の医療機関であれば原則自己負担はありません。
健康保険のように3割を支払う必要がなく、治療費はすべて労災保険から支払われます。
休業補償給付(休業中の生活費)
ケガや病気で働けなくなった場合、休業4日目から給料の約8割にあたる金額が補償されます。
長期的に休まざるを得ないケースでも、生活を支える仕組みが整っています。
障害補償給付(後遺障害への補償)
治療を終えても後遺障害が残った場合は、その程度に応じて一時金や年金が支給されます。
障害の等級によって補償額が大きく変わるのが特徴です。
遺族補償給付(万が一の場合の補償)
業務災害により労働者が亡くなった場合、遺族に対して年金や一時金が支給されます。
また、葬祭料も合わせて支給されるため、残された家族の生活を支える制度となっています。
その他の給付
上記以外にも、以下のような給付が用意されています。
- 介護補償給付:重度の障害で介護が必要になった場合に支給
- 傷病補償年金:治療が長期化し、1年6か月を経過しても治らない場合に支給
労災保険の申請方法と流れ
労災保険は申請しなければ給付を受け取ることができません。
制度自体は手厚いものですが、書類や手続きが複雑で、会社の対応によってはスムーズに進まないこともあります。
ここでは、申請の基本的な流れと注意点を整理しておきましょう。
労働基準監督署への申請が必要
労災を利用するには、会社を通じて労働基準監督署に申請書類を提出します。
医師の証明や勤務先の証明が必要となるため、手続きはやや複雑です。
会社が手続きをしてくれない場合
一部では「労災隠し」と呼ばれるように、会社が申請に協力してくれないケースもあります。
しかしその場合でも、労働者本人が直接労働基準監督署に申請することが可能です。
会社に遠慮して諦める必要はありません。
必要書類と申請先
労災の給付内容によって提出書類は異なります。代表的なものとしては以下の通りです。
- 療養補償給付:様式5号(病院提出用)
- 休業補償給付:様式8号(会社・病院・本人の記入が必要)
- 障害補償給付:様式10号
給付の種類ごとに書式が異なるため、事前に確認して準備しておくことが大切です。
支給までのスケジュール
申請から実際に給付金が振り込まれるまでには、数週間から数か月かかる場合があります。
提出書類に不備があるとさらに時間が延びてしまうため、正確に記入し、必要書類を漏れなく揃えることが重要です。
労災が認められないケースとは?
労災保険は幅広い補償がある一方で、すべてのケガや病気が対象になるわけではありません。
申請しても認められないケースもあるため、あらかじめ知っておくことが大切です。
- 業務に関係のないケガや事故
私的な外出や業務と無関係の行動によるケガは、労災の対象外です。
たとえば休憩中の私的な買い物や、業務とは関係のない運動中のケガなどは認められません。 - 通勤ルートを大きく外れた場合
通勤災害が認められるのは、原則として「合理的な経路」を使っている場合です。
寄り道や大きな迂回をした際の事故は、労災として扱われないことがあります。
ただし、日用品の購入や子どもの送迎といった一定の寄り道は認められるケースもあります。 - 精神疾患のケース
過労やパワハラなどが原因で発症した精神疾患も労災の対象になり得ます。
ただし、労働時間のデータや職場環境との因果関係を示す証拠が不十分だと認定されないことがあります。
精神的な不調を感じたら、早めに記録を残すことが大切です。 - 申請が遅れた場合
労災保険には時効があり、療養補償給付や休業補償給付は原則2年以内に申請しなければなりません。
期限を過ぎると本来受け取れるはずの補償が失われてしまうため、速やかに手続きを行う必要があります。
労災と他の制度の違い・併用ルール
労災保険は幅広い補償がありますが、他の制度との関係を理解しておくことも大切です。
同じ傷病で二重に受け取れる場合は限られており、制度ごとにルールが決まっています。
ここでは代表的な制度との違いと併用の可否を整理します。
労災と傷病手当金
業務中や通勤中のケガ・病気は労災保険が優先されます。
そのため、同じ傷病について健康保険の「傷病手当金」と労災を二重に受け取ることはできません。
私的な病気やケガなら健康保険、仕事に起因するものであれば労災保険と使い分けます。
労災と失業保険
退職後に労災による後遺障害が残っていても、求職活動ができる状態であれば失業保険を受給できます。
さらに、労災による障害補償年金と失業手当を同時に受け取ることも可能です。
仕事を探しながら生活を支えるうえで、両方を組み合わせられる点は大きな安心につながります。
労災と障害年金
労災による後遺障害が「障害年金」の等級に該当する場合、労災の障害補償年金と障害年金の両方を受け取れる可能性があります。
ただし、給付の一部については併給調整が行われる場合もあるため、具体的な金額や可否は事前に確認が必要です。
労災を申請する際の注意点
労災保険は労働者を守る大切な制度ですが、申請の仕方を誤ると本来受け取れるはずの給付を逃してしまうことがあります。
ここでは申請にあたって特に注意したいポイントをまとめます。
医師の診断書の重要性
労災認定では、医師が作成する診断書の内容が大きな判断材料になります。
労働と傷病との因果関係がしっかり記載されているかを確認することが重要です。
診断内容が不十分だと、認定が難しくなるケースもあります。
会社に遠慮せず申請する
「会社に迷惑をかけてしまうのでは」と心配して、労災申請をためらう人も少なくありません。
しかし労災保険は労働者の権利として保障されている制度です。
会社に遠慮する必要はなく、安心して申請することが大切です。
損を防ぐためのチェックポイント
労災の申請では、以下の点を押さえておくことで不支給や遅延のリスクを減らせます。
- 初診日を明確に記録しておく
- 必要書類を漏れなく準備する
- 時効があるため、できるだけ早めに申請する
まとめ:困ったときは一人で悩まず相談を
労災保険は、業務中や通勤中のケガや病気を補償する働く人にとって重要な制度です。
医療費や休業中の生活費、障害や遺族への給付など幅広い補償が用意されています。
ただし、すべてのケースで労災が認められるわけではなく、因果関係の証明が難しい場合や、申請の不備によって不支給になることもあります。
そんなときでも、健康保険の傷病手当金や障害年金、失業保険など、他の公的制度を組み合わせて生活を支えることが可能です。
申請の順序や制度の選び方を誤ると、本来受け取れるはずの給付を逃してしまうリスクもあるため、不安な場合は専門機関や相談窓口を活用することをおすすめします。
当社でも関連制度についてのご質問に対応していますので、気になる方はぜひご相談ください。