傷病手当金と失業手当、両方もらえるって本当?
退職後の生活費をどう確保するか——。
病気やうつで退職する方にとって、傷病手当金と失業手当(失業保険)は大きな助けとなる制度です。
「両方もらえる?どっちを先に申請するべき?順番を間違えると損をするって聞いたけど……」
そんな不安を持つ方も多いのではないでしょうか。
結論から言うと、両制度は併用可能ですが、同時には受け取れません(併給禁止)。
そして、受給の順番を間違えると、どちらかがもらえなくなる可能性もあるのです。
この記事では、「傷病手当金 失業手当 順番」や「どっちが先」などの検索ニーズに応えつつ、受給額を最大化するための考え方や手続きを解説します。
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制度の違いを簡単に整理しよう
以下の3つの制度は、名前が似ていたり併用するタイミングが重なったりするため混同されがちですが、まったく別の制度です。
それぞれの支給条件・支給額・期間をしっかり理解しておくことが大切です。
傷病手当金(健康保険)とは
- 管轄:健康保険(協会けんぽ・健保組合など)
- 対象者:会社員・公務員など健康保険加入者(または退職者で要件を満たす場合)
- 支給条件:病気やケガで労務不能/連続する4日以上の休業/医師の証明
- 支給額:標準報酬日額の約2/3
- 支給期間:最長1年6ヶ月
失業手当(基本手当・雇用保険)とは
- 管轄:ハローワーク(雇用保険)
- 対象者:退職後、働く意思と能力があり求職活動している人
- 支給条件:求職申込済み/就労可能な状態/定期的な認定日への出頭
- 支給額:退職前6ヶ月の平均賃金日額の50〜80%(年齢と賃金により変動)
- 支給期間:90〜330日(年齢・雇用保険の加入期間・退職理由で異なる)
傷病手当(雇用保険の特例給付)とは
- 管轄:ハローワーク(雇用保険)
- 対象者:失業手当の受給資格があるが、病気やケガで求職活動ができなくなった人
- 支給条件:求職申込後に就労不能/医師の診断書が必要
- 支給額:失業手当と同額(日数は消化扱い)
- 支給期間:失業手当の所定給付日数の範囲内(最大330日)
傷病手当金=「働けないこと」が前提 失業手当=「働ける状態で求職していること」が前提
両制度は「前提条件」がまったく違います
-
傷病手当金 =「働けないこと」が前提
-
失業手当 =「働ける状態で求職活動していること」が前提
つまりこの2つは、同時にもらうことはできないのです。
順番によって受給額・期間はどう変わる?
傷病手当金と失業手当は、それぞれに支給条件があり、受給する“順番”によって手元に入る金額や期間が大きく変わることがあります。
ここでは、代表的な2つのケースを比較しながら、どちらを先に申請すべきかを検討していきましょう。
ケース1|先に傷病手当金→回復後に失業手当
このケースは、「退職後しばらく療養したあと、元気になってから就職活動をする」パターンです。
- まず療養中は傷病手当金を受給(最長1年6ヶ月)
- 回復後、求職活動を開始し、失業手当を申請
- 退職日の翌日から1年以内に「受給期間延長申請」を出しておけばOK
メリット:
- 傷病手当金+失業手当の両方を最大限受給できる王道ルート
- 就労可能になるまで療養に専念でき、焦らず復職準備ができる
-
支給額・支給期間ともに最大化しやすい
ケース2|先に失業手当→体調悪化
このケースでは、体調は一時的に問題なかったものの、失業手当の受給中に体調を崩してしまった場合です。
- 原則、失業手当の受給中に「傷病手当金」へ切り替えることはできません。
- 「傷病手当金」ではなく「雇用保険の傷病手当(特例給付)」を使うことになります。
健康保険の傷病手当金と「雇用保険の傷病手当」は別物です
「傷病手当金」と「傷病手当」は名前が似ていますが、別の制度です。
制度名 | 管轄 | 対象 | 支給内容 |
---|---|---|---|
健康保険の「傷病手当金」 | 健康保険(協会けんぽなど) | 病気やケガで働けない在職者・退職者 | 賃金の約2/3(最長1年6ヶ月) |
雇用保険の「傷病手当(特例給付)」 | ハローワーク(雇用保険) | 失業手当の受給資格があるが、病気で求職できない人 | 失業手当と同額(傷病証明が必要) |
つまり、「失業手当から傷病手当金に切り替える」という表現は制度上不可能であり、実際にはハローワークでの特例給付(傷病手当)を利用することになります。
⚠ 注意点:誤って申請や手続きを進めると、どちらの制度も受けられないリスクがあります
- 「初診日が退職後だった」
- 「受給期間延長をしていなかった」
-
「就労可能かどうかを曖昧にしたまま申請した」
このようなケースでは、傷病手当金も失業手当も受け取れなくなる可能性があります。
申請の順番とタイミングは非常に重要です。
制度をフルに活用したい方は、必ず退職前からの準備・計画が必要になります。
どちらを先にもらった方が「金額的に得」なのか?
傷病手当金と失業手当、どちらを先に受給した方が金額的に有利なのか――。
これは退職を控えた多くの方が気になるポイントです。
結論から言うと、体調が優れずすぐに働けない場合は「傷病手当金を先にもらう方が得になる」ケースがほとんどです。
理由1:支給期間が長い(最長1年6ヶ月)
傷病手当金は最大1年6ヶ月間にわたり、月収の約2/3が支給されます。
一方、失業手当の支給期間は90〜330日(=約3〜11ヶ月)と限られています。
仮に両方をフル活用する場合でも、「先に傷病手当金 → 後から失業手当」と順番を組むことで、両方の期間を最大限確保できます。
理由2:支給額が多くなる
傷病手当金の金額は「標準報酬日額の約2/3」が目安です。
一方、失業手当は「退職前6ヶ月の賃金日額の50〜80%」で、若年層や高収入の人ほど割合が低くなりやすいのが特徴です。
例えば、月給30万円の人の場合:
制度名 | 月額の目安 | 支給期間 |
---|---|---|
傷病手当金 | 約20万円/月(2/3) | 最長18ヶ月 |
失業手当 | 約13〜18万円/月(50〜60%) | 3〜11ヶ月 |
このように、金額面でも「傷病手当金の方が有利」になるケースは多く見られます。
どちらを優先すべき?判断ポイントまとめ
傷病手当金と失業手当、どちらを先にもらうべきか悩んだとき、判断の軸は非常にシンプルです。
- 医師に「労務不能」と診断されている=傷病手当金を優先
- 既に回復して求職活動できる=失業手当を申請
順番を間違えると:
- 傷病手当金が通らない(初診日が退職後など)
- 失業手当の延長申請をし忘れて受け取れなくなる
→ 申請の順番やタイミングを間違えると、本来受け取れるはずだった給付が受け取れなくなることがあります。
傷病手当金と失業手当、それぞれいくら受け取れる?
退職後の生活費を考えるときに、
「傷病手当金と失業手当、実際いくらくらいもらえるの?」
「どれくらいで振り込まれるの?」
と気になる方は多いはずです。
今回は、月給30万円の方をモデルケースに、それぞれの支給額と支給タイミングの違いをわかりやすく解説します。
傷病手当金の金額の目安(月給30万円の場合)
傷病手当金は、標準報酬日額の約2/3が支給されます。
ここでの“標準報酬月額”とは、健康保険上の等級に基づく金額であり、
月給30万円の方であれば「標準報酬月額30万円」と想定して問題ありません。
計算式
30万円 ÷ 30日 ≒ 標準報酬日額 10,000円
→ その約2/3 → 1日あたり 約6,667円
これを1ヶ月(30日)分にすると:月あたり 約20万円(6,667円 × 30日)
つまり、給与の約66%が支給されるイメージです。
また、支給期間は最長で1年6ヶ月(18ヶ月)と非常に長く、経済的な安心感があります。
支給までにかかる期間
-
健康保険への書類提出後、およそ2〜4週間で振込されることが多いです。
-
初回申請は1ヶ月分まとめて行うことが多いため、実際の入金は退職後1.5〜2ヶ月後になることも。
失業手当(基本手当)の金額の目安(月給30万円の場合)
失業手当の支給額は、「退職前6ヶ月の平均賃金日額 × 給付率(50〜80%)」で決まります。
月給30万円の場合、給付率は年齢や状況によって変動しますが、一般的には50〜60%前後です。
概算目安(月給30万円 → 日額換算)
30万円 ÷ 30日 ≒ 賃金日額 10,000円
→ 給付率を60%とすると → 1日あたり 約6,000円
これを1ヶ月(30日)分にすると:月あたり 約18万円(6,000円 × 30日)
失業手当の支給期間は、最短90日〜最長330日(約3ヶ月〜11ヶ月)です。
傷病手当金に比べて支給期間が短く、支給率もやや低い傾向があります。
支給までにかかる期間
-
ハローワークで離職票を提出 → 受給資格決定
-
7日間の待期期間+3ヶ月の給付制限(自己都合退職の場合)があるため、実際の振込は退職後3〜4ヶ月後になるケースが多いです。
退職後に「傷病手当金→ 失業手当」の順で受給するには?
「まずは体調の回復を優先して、それから就職活動を始めたい」
そんな方にとって最も現実的で安心なルートが、「傷病手当金 → 失業手当」という受給の流れです。
この順番で制度を使えば、傷病手当金で最大18ヶ月、失業手当でさらに最大10~12ヶ月の給付を受けられる可能性もあり、トータルで最大28~30ヶ月間給付金を確保することができます。
ただし、この制度の恩恵をフルに活かすには、退職前からの「準備」と「タイミング」がカギになります。
ここでは、退職日を見据えた具体的なスケジュールの組み立て方を、ステップごとにわかりやすく解説していきます。
スケジュール例:退職後に傷病手当金 → 失業手当の流れ
【退職前】
-
病院を受診し、在職中に初診を受ける
-
連続3日以上の休業(待期期間)を確保
※有給消化中でもOK -
医師から「労務不能」の証明を得る
-
退職日当日は出勤せず、休むこと
→この時点で「傷病手当金の継続給付」の条件を満たします。
【退職後】
-
傷病手当金の申請を継続(月ごとに支給申請)
-
療養期間中は就労せず、通院またはオンライン診療を継続
-
💡 この間、ハローワークで“失業手当の受給期間延長”を申請しておく
※退職の翌日から1年以内に申請すればOK
【回復後】
-
医師から「就労可能」の診断をもらう
-
ハローワークで「求職申込」を行い、失業手当の受給スタート
※傷病手当金が終了してからでも間に合います(延長手続き済みなら) -
以降は通常通り、認定日ごとに失業手当を受け取る
注意点:
傷病手当金を退職後に受給するには、
-
在職中に初診を受けていること
-
待期3日が退職日前に完了していること
-
退職日当日を「欠勤」にすること
など、細かい条件を1つでも満たせていないと、不支給になる可能性もあります。
また、失業手当の「受給期間延長申請」は、退職の翌日から1年以内にしないと無効になります。
体調がすぐに回復しない場合でも、忘れずに延長手続きだけは済ませておくことが非常に重要です。
制度の切り替えに失敗しないために
- 医師の初診日を退職前に設定できるよう、早めの受診が重要
- ハローワークでは「いまは求職活動できない=延長申請が必要」と伝える
- 離職票の「退職理由」が自己都合 or 会社都合かで支給日数も変わる
→ 関連記事:医師にどう伝える?傷病手当金申請用紙を通りやすくする方法
まとめ|“順番設計”こそが給付額最大化の鍵
傷病手当金と失業手当はどちらも頼れる制度です。
しかし「どちらが先か」を間違えると、そもそも片方が使えなくなったり、もらえるはずの金額を大幅に失うリスクがあります。
療養が必要な人はまず傷病手当金→回復後に失業手当、これが王道パターンです。
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