傷病手当金の計算方法を完全解説|標準報酬月額の求め方・含まれる手当・手取り額・土日の扱いまで

傷病手当金はいくら受け取れるのかは、標準報酬月額・含まれる手当・入社1年未満の扱いなどで大きく変わります。
ネット上は情報がバラバラで、正しい計算方法がわかりにくいという声も多くあります。

この記事では、傷病手当金の正しい計算ルール・手取り額の目安・土日の扱いまで、初めての人でも迷わず理解できるように解説します。

より広く傷病手当金の制度全体を知りたい場合は、こちらの記事もご覧ください。

【2025年最新版】傷病手当金のすべて|退職後にもらえる条件・金額・申請・不支給対策・副業リスクまで完全ガイド

※本記事は、社会保険制度や労働法に精通した編集チームが、厚生労働省・協会けんぽ・日本年金機構などの公的資料をもとに執筆しています。

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傷病手当金はいくらもらえる?【基本の計算式】

傷病手当金の支給額は、加入している健康保険が決める 「標準報酬月額」 をもとに算出されます。
まずは、もっとも基本となる計算式を押さえておきましょう。

基本の計算式

支給額 = 標準報酬日額 × 2/3 × 支給日数

ここでいう「標準報酬日額」は、標準報酬月額 ÷ 30 で求める1日あたりの金額です。

たとえば、月給30万円の人なら、

300,000円 ÷ 30 × 2/3 = 約6,666円/日

となり、1か月あたりの支給目安は 約20万円前後
つまり、給与(額面)の約3分の2 が基本的なルールです。

参照:全国健康保険協会「健康保険給付金 支給額の計算方法について」

月給別の受給目安(1か月)

以下は、一般的な月給に対して「1か月受け取れる額の目安」です。

月給 標準報酬日額 1か月受給額(2/3)
200,000円 約6,667円 約133,000円
300,000円 約10,000円 約200,000円
400,000円 約13,333円 約266,000円
500,000円 約16,667円 約333,000円

「手取り額」との違いに注意

傷病手当金は 「手取り額」ではなく“総支給額(額面)”を基準に計算 されます。つまり、社会保険料や税引き前の金額です。

そのため、

  • 「手取りの2/3が支給される」→ 誤り
  • 「額面給与の2/3が支給される」→ 正しい

という点を必ず押さえておきましょう。

具体例(30万円の月給の場合)

  • 手取り:24万円
  • 計算の基準:30万円(額面)
  • 傷病手当金:約20万円/月

このように、計算の基準となるのは「額面」のため、
“手取りで考えると実際より少なく見積もってしまう” ケースが多いです。

支給額を見誤らないためにも、必ず額面ベースで計算しましょう。

標準報酬月額の求め方と確認方法

傷病手当金の計算の“土台”となるのが 標準報酬月額 です。
これは、支給開始日前の直近3か月間の平均報酬をもとに決まり、健康保険料の計算にも使われる重要な指標です。

平均額をそのまま使うのではなく、健康保険組合が定める「標準報酬月額の等級表」に当てはめて決定されます。
この等級に応じて、傷病手当金の支給額も自動的に決まる仕組みです。

参照:全国健康保険協会「令和7年度保険料額表」

含まれる手当・含まれない手当

標準報酬月額に入るもの・入らないものを整理すると以下の通りです。

手当名 含まれる 理由
基本給・役職手当・残業手当 継続的に支給される「給与」に該当
通勤手当 定期的に支給される報酬として扱われる
有給休暇中の賃金 通常の賃金と同じ扱い
ボーナス・賞与 × 臨時的な支給のため対象外
出張旅費・住宅手当・慶弔金 × 実費精算・福利厚生であり報酬に含めない

ポイントは、「継続して支払われるかどうか」で判断されることです。

標準報酬月額の確認方法

標準報酬月額は、次の方法で簡単に確認できます。

  • 健康保険証
    → 健康保険証に「標準報酬月額」が記載されている場合があります(協会けんぽは非表示の自治体もあり)。
  • 給与明細
    → 健康保険料や厚生年金保険料の等級から逆算できます。
  • 勤務先の総務・人事に確認
    → 最も確実。等級をそのまま教えてもらえる。
  • 健康保険組合に問い合わせる
    → 組合から直接教えてもらうことも可能。

自分で計算しても、等級に当てはめる際に誤差が出ることがあるため、正確に知りたい場合は会社または保険組合に確認するのが確実です。

参照:全国健康保険協会「標準報酬月額の決め方」

土日・祝日は支給対象になる?

傷病手当金は 「暦日ベース」 で支給されるため、土日や祝日も支給対象になります。
ポイントは、出勤日かどうかではなく、その日に“働けなかった事実があるか”で判断されることです。

また、支給開始前に必要な 「待期3日」も暦日で数えるため、土日・祝日も待期に含めることができます。

参照:全国健康保険協会「傷病手当金」

例:

  • 火曜〜金曜に休んだ場合
     火・水・木が待期となり、金曜から支給対象
  • 金曜〜月曜に休んだ場合
     土日も待期としてカウントされ、月曜から支給対象

なお、有給を使っている日は給与が出ている扱いになるため、その日は傷病手当金の対象外です。

入社1年未満の人の計算方法と注意点

結論から言うと、入社1年未満であっても加入期間に関係なく、傷病手当金は受給可能です。
健康保険の加入期間に「○か月以上」などの条件はありません。

受給の要件は、

  • 医師の判断で働けないこと
  • 連続した3日間の待期が成立していること
  • 賃金が支払われていない日であること

の3点であり、「加入して何か月」かは関係ありません。

計算方法(入社直後の場合)

入社して間もない場合、標準報酬月額は 会社が申告した“資格取得時の報酬” をもとに決まります。
そのため、入社1〜2か月でも、標準報酬月額は問題なく設定され、通常どおり計算されます。

※標準報酬月額は「実績」ではなく、入社時の給与見込みで決まるため、短期間の勤務でも算定可能です。

休職中に退職した場合の扱いや、退職後の支給条件もあわせて知りたい人はこちらをご覧ください。

休職中に退職すると傷病手当金はどうなる?失業手当はもらえる?制度の仕組みと損しない手続き方法を解説

退職後も受給したい場合は「通算1年以上」の条件に注意

ここで注意が必要なのは、「退職後も引き続き傷病手当金を受け取りたい場合」だけ別のルールがあるという点です。

退職後も継続受給するには、健康保険の被保険者期間が通算で1年以上あることが条件になります。

通算のルール

  • 「前職 → 現職」と 1日も途切れず加入している こと
  • 両方の加入期間を合計して 1年以上あればOK

ただし、退職日と次の入社日の間に1日でも空白期間があると通算できません。

参照:全国健康保険協会「傷病手当金(退職後の取扱い)」

通算の具体例

  • 前職10か月 + 現職2か月=合計12か月 → 通算1年以上でOK(退職後も受給可能)
  • 前職8か月 + 現職2か月=10か月 → 通算1年未満のため、退職後の継続受給は不可

制度の全体像を整理しておきたい方は、こちらの記事も参考になります。

入社1年未満でも傷病手当金はもらえる?条件や退職後の注意点を徹底解説

計算に影響する特殊ケース

傷病手当金は「標準報酬月額」を基準に計算されますが、状況によっては金額が変わるケースがあります。
ここでは、見落としやすい特殊パターンを整理しておきます。

有給休暇を取った場合

有給休暇を取得した日の賃金は “報酬として計算に含まれる” 一方で、
その日は傷病手当金の支給対象日にはなりません。

理由:有給の日は「給与が支払われた日」に該当するため、傷病手当金を受け取れない仕組みになっています。

給与変動が大きい場合(昇給・減給など)

急な昇給・減給などの 一時的・臨時的な給与変動 は、標準報酬月額の平均には反映されません。

健康保険では、

  • 通常の3か月間の平均 を基準に等級を決定
  • 臨時の増減は「標準報酬の固定的賃金」ではないため対象外

となります。

そのため、急な給与変動があっても、傷病手当金の金額がすぐに変わることはありません。

育児休業や短時間勤務の場合

育児休業や短時間勤務に入った直後は、
標準報酬月額の等級変更が実際の給与より“遅れて反映”される ことがあります。

これは健康保険の「月額変更」の判定が、

  • 3か月の平均
  • 4か月目から反映

というルールで動くためです。

その結果、
“実際の給与より高い(または低い)標準報酬月額が一時的に適用される”
というズレが発生することがあります。

複数の事業所で勤務している場合(ダブルワークなど)

複数の会社で同時に働いている場合、
すべての事業所の報酬を合算した金額 をもとに標準報酬月額が決まります。

そのため、片方での給与は少なくても、合計報酬が高ければ傷病手当金の基準額も高くなる点は知っておきましょう。

傷病手当金は、標準報酬月額や賃金の扱いによって金額が変わるだけでなく、提出時期や審査状況によって「振込が遅れる」ケースも少なくありません。
実際にどれくらい時間がかかるのか、遅延の理由や対処法も知っておきたい人はこちらを参考にしてください。

傷病手当金が遅い…生活できない!振込遅延の理由と対処法を徹底解説

よくある誤解と正しい理解【チェックリスト付き】

傷病手当金は制度が複雑なため、誤解されやすいポイントがいくつもあります。
間違った理解のまま申請すると、「思ったより金額が少ない」「支給されない」というトラブルにもつながります。

以下のチェックリストで、よくある誤解をまとめて確認しておきましょう。

よくある誤解 正しい解釈
ボーナスも含まれる 含まれない(賞与は臨時的な支給で報酬に算入されない)
土日は支給されない 支給される(労務不能日を暦日でカウント)
有給中も支給される 支給されない(給与が発生している日は対象外)
手取りの2/3だと思っていた 総支給額ベースの2/3が正しい
入社1年未満はもらえない 在職中は受給可。退職後は“通算1年以上”が必須

制度を正しく理解しておくことで、「申請したのに少ない」「もらえると思っていたのに対象外だった」という失敗を防ぐことができます。

傷病手当金の申請方法・手順を完全ガイド|必要書類・書き方・提出までの流れを解説

まとめ

傷病手当金の計算は、基本的に 「標準報酬月額(額面)の2/3」 を押さえておけば迷いません。

  • 計算は手取りではなく“総支給額ベース”
  • 土日・祝日も支給対象(暦日カウント)
  • 有給の日は対象外
  • 入社1年未満でも在職中なら受給OK
  • 退職後も続けて受け取るには「通算1年以上」が必要

まずはこのポイントだけ覚えておけば、見込み違いを防げます。

また、退職後の傷病手当金の申請や、失業手当との組み合わせは判断や手続きが特に複雑になりやすい部分です。

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