退職したあとの健康保険、あなたはどちらを選びますか?
「任意継続」と「国民健康保険」、どちらを選ぶかで、年間数万円〜十万円以上の差が出ることもあります。
この記事では、両者の違いや保険料の決まり方、扶養の有無、さらに減免制度を活用する方法まで詳しく解説します。
目次
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退職後の健康保険の選択肢は3つ
会社を退職すると、健康保険は自動的に脱退となり、自分で新たに加入する必要があります。
退職後に選べる健康保険の選択肢は、主に以下の3つです。
- 任意継続被保険者制度
退職前に加入していた会社の健康保険を、最長2年間継続できる制度です。 - 国民健康保険(国保)
市区町村が運営する保険制度で、退職後に多くの方が選ぶ選択肢です。 - 配偶者の扶養に入る
配偶者が健康保険に加入している場合、一定の条件を満たせば扶養として保険に入ることができます。
この中でどれが一番有利かは、年収・扶養家族の有無・地域の保険料水準などによって変わります。
それぞれのメリット・デメリットを比較しながら、具体的にどんな人に向いているかを詳しく解説していきます。
任意継続被保険者制度とは?
退職後も在職中の健康保険をそのまま継続できる制度が「任意継続被保険者制度」です。
これは、会社を退職した人が最長2年間、これまで加入していた健康保険(協会けんぽや健康保険組合)に引き続き加入できる仕組みです。
通常、会社を辞めると健康保険の資格は退職日の翌日に失われますが、任意継続の手続きを行えば、保険証を引き続き使用することができます。
また、扶養家族の加入も継続できます。
手続き方法と期限
任意継続の申請は、退職日の翌日から20日以内に、元の保険者(協会けんぽや健康保険組合)に「任意継続被保険者資格取得申出書」を提出する必要があります。
この期限を過ぎると加入できませんので注意が必要です。
保険料の算出方法
任意継続の保険料は、退職時の標準報酬月額をもとに計算されます。
在職中は会社と折半で支払っていた保険料を、退職後は全額自己負担することになります。
また、保険料が高くなると思われがちですが、保険料には上限が設けられており、一定額以上にはなりません。
標準報酬月額が高かった人ほど任意継続の方が割安になるケースもあります(前年度の年収が500万円以上など)。
また、保険料の納付が1日でも遅れると即資格喪失となり、再加入はできません。
健康保険証も使えなくなるため、納付期限は必ず守るようにしましょう。
納付書が届かない場合は早めに保険者へ連絡を。
任意継続のメリット
任意継続には、以下のようなメリットがあります。
- 扶養家族を引き続き保険に入れられる
- 標準報酬月額が高かった人は、国民健康保険より安くなる可能性がある
- 歯科検診や人間ドックの補助などの付加サービスが継続利用できることも
こうしたメリットをうまく活かせば、保障内容を維持しながら保険料負担を抑えることができる場合もあります。
特に、扶養家族が多い方にとっては有力な選択肢となります。
任意継続のデメリット
任意継続にはデメリットと言われる部分もあります。
- 保険料は全額自己負担(在職中は会社が半額負担)
- 一度国民健康保険に切り替えると再加入できない
大きなポイントは、在職中に会社が負担してくれていた保険料の「会社負担分」も、退職後は自分で全額支払う必要があるという点です。
つまり、保険料は在職中の約2倍に増えるケースがほとんどで、金銭的な負担が一気に大きくなる可能性があります。
そのため、「任意継続は保険料が高く感じる」と言われるのは、この全額自己負担が理由です。
国民健康保険とは?
退職後に最も多くの方が選ぶ健康保険の選択肢が「国民健康保険(国保)」です。
これは、企業の健康保険を脱退したあとに、市区町村が運営する保険制度に加入する形となります。
会社員時代に加入していた「健康保険(協会けんぽや組合健保)」とは異なり、自営業者や退職者、フリーランス、無職の方などが加入する公的医療保険制度です。
手続き方法と期限
加入手続きは、住民票のある市区町村の役所(市役所・区役所など)で行います。
必要書類は以下の通りです。
- 健康保険資格喪失証明書
- マイナンバーが確認できる書類
- 本人確認書類(運転免許証など)
手続き期限は、資格喪失日から14日以内です。
保険料の算出方法
国民健康保険料は、以下の要素をもとに各自治体が独自に決定します。
- 前年の所得
- 所得割+均等割+平等割(自治体によって違う)
- 世帯の人数や年齢
つまり、退職後に無収入となったとしても、前年の収入が高ければ、その年の保険料も高くなるのが特徴です。
また、社会保険と違い、国民健康保険には「扶養」という概念がありません。
たとえ収入のない家族であっても、一人ひとりが「被保険者」としてカウントされ、保険料が課されることになります。
国保のメリット
国保には、以下のようなメリットがあります。
- 任意継続より保険料が安くなることも多い
- 収入が下がると翌年の保険料も下がる
- 一定の条件で減免制度が利用できる
国民健康保険は、収入の変動に応じて保険料が下がる仕組みや各種減免制度があり、退職後の生活に柔軟に対応できるのが大きなメリットです。
国保のデメリット
国保のデメリットとして、以下の点が挙げられます。
- 扶養家族がいると人数分保険料が加算される
- 自治体によって保険料や計算方法が異なる
特に「前年の所得」に基づいて算出されるため、退職後すぐのタイミングでは高額になるケースもあります。
配偶者の扶養に入るという選択肢も
退職後、もうひとつの選択肢が「配偶者の扶養に入る」ことです。
配偶者が会社員や公務員で社会保険に加入している場合、一定の条件を満たせばその健康保険に“扶養家族”として入ることができます。
扶養に入れる条件
- 年収が130万円未満(60歳以上または障害者は180万円未満)
- 配偶者の収入の半分未満であること
- 同居または生活費の援助を受けていること
- 原則として無職やパート勤務など、安定した収入がないこと
メリット
- 自分で保険料を払う必要がない(保険料は配偶者の給与から天引きされる)
- 任意継続や国民健康保険よりも金銭的負担が小さい
- 年金も第3号被保険者として国民年金に自動加入となる
デメリット
- 扶養に入れるかどうかは、勤務先の健保組合の審査による
- 収入が一定以上になると扶養から外れる
- 傷病手当金や失業手当を受給していると扶養に入れないケースがある
傷病手当金や失業手当を受給していると扶養に入れないケースも?
退職後、健康保険の選択肢として「配偶者の扶養に入る」ことを検討する方も多いですが、傷病手当金や失業手当を受給している場合、収入とみなされて扶養に入れないケースがあるため注意が必要です。
扶養に入れるかどうかは「収入基準」で決まる
健康保険の被扶養者となるには、以下の収入条件を満たす必要があります。
- 年収が130万円未満(60歳以上または障害者は180万円未満)
- かつ、扶養者(配偶者など)の年収の 1/2未満であること
この「年間収入」の判断基準には、給与収入だけでなく、傷病手当金や失業手当などの各種給付金も含まれることがあります。
傷病手当金を受給している場合の注意点
傷病手当金は「給与の約2/3」が支給される制度ですが、支給額が月額108,334円(=130万円 ÷ 12)を超える場合、年間収入が130万円を超えると判断される可能性があります。
特に長期間にわたって受給する場合は、健康保険の扶養には入れないと判断されるケースが多いです。
失業手当(基本手当)を受給している場合
失業手当を受給している間も、扶養には原則入れません。
これは以下のように明確な基準があります。
-
失業手当の基本手当日額が3,612円以上の場合、被扶養者として認められない
→ 年間換算で130万円を超えると判断されるため
失業手当の受給が終了し、収入がなくなってからであれば、扶養に入れる可能性が出てきます。
傷病手当金や失業手当は「非課税収入」ですが、健康保険上は収入として扱われることが多く、扶養に入れない要因になります。
「退職後、扶養に入ろう」と考えている場合は、以上の点に注意しましょう。
弊社では、傷病手当金や失業手当を活用しながら、最適な保険・給付プランを設計するサポートを行っています。
国民健康保険の減免制度とは?
退職後に加入することの多い「国民健康保険(国保)」ですが、その保険料は前年の所得をもとに決まるため、退職して収入がゼロになった後でも高額な請求が届くことがあります。
そんなときに知っておきたいのが「国民健康保険料の減免制度」です。
要件を満たせば、保険料が最大で7割以上軽減されるケースもあります。
減免制度の対象になる人は?
多くの市区町村では、以下のような事情に該当する方に対して減免制度を設けています。
主な対象者
- 会社都合による離職者(倒産・解雇・雇い止めなど)
- 雇用保険の「特定受給資格者」または「特定理由離職者」
- 病気・ケガ・災害等により収入が大幅に減少した人
単なる自己都合退職の場合は、このような減免制度の対象にはなりません。
「特定理由離職者」には、自己都合でも正当な理由(体調不良・家族の介護など)があれば該当することがあります。
減免の内容は自治体によって異なりますが、最大5~7割減額されるケースもあります。
たとえば、年間の保険料が30万円だった方が、減免により10万円以下に抑えられるケースもあります。
減免制度の申請方法
減免は自動的には適用されません。ご自身で市区町村の窓口に申請する必要があります。
申請に必要な書類
- 雇用保険受給資格者証(※離職理由が記載されている部分)
- 減収が確認できる書類(災害・病気の場合)
- 本人確認書類(マイナンバーカード、免許証など)
減免期間はいつまで?
多くの自治体では、退職の翌年度末まで(3月末)を減免の対象期間としています。
たとえば、2025年4月に退職した場合、2026年3月末までが減免の対象期間となるケースが一般的です。
ただし、収入や生活状況に変化があれば、再申請や見直しが必要なケースもあるため、定期的な確認をおすすめします。
弊社では、「特定理由離職者」認定を含めた減免制度の申請サポートも行っております。
さらに、「就職困難者」に認定されれば、失業手当の支給日数が大幅に延び、受け取れる金額も増やすことが可能です。
保険料を比較してみよう
退職後の保険の選択で悩んでいる方にとって、実際の金額がどれくらい違うのかは非常に気になるポイントです。
ここでは、以下の条件で「任意継続」と「国民健康保険(国保)」の保険料を比較してみましょう。
比較条件
- 年齢:40歳
- 月収:30万円
- 扶養なし
- 前年年収:360万円
区分 | 年間保険料(概算) | 加入可能な期間 | 備考 |
---|---|---|---|
任意継続 | 約36万円 | 最長2年 | 退職前の標準報酬に基づく。 保険料は全額自己負担で2倍になるが扶養適用可。 |
国民健康保険(通常) | 約32万円 | 制限なし | 前年所得に応じて計算。世帯人数で増額。市区町村により差がある。 |
国民健康保険(減免あり) | 約13万円 | 減免期間は退職の翌年度末まで | 特定理由離職者などが対象。 減額申請が必要。 |
このように、減免制度の対象になるかどうかで保険料に大きな差が生まれます。
どちらを選ぶべき?判断のポイント
「任意継続」と「国民健康保険」、どちらが自分に合っているか迷う方も多いはずです。
保険料や保障内容だけでなく、家族構成や退職後の収入見込みによっても、最適な選択肢は変わってきます。
以下のチェックポイントを参考に、どちらが自分に合っているか考えてみましょう。
任意継続が向いている人
- 退職前の収入が高く、国民健康保険料が高額になる人(前年度の年収が500万円以上など)
- 扶養家族(配偶者や子ども)が複数いる人
- 傷病手当金を受給予定で、国民健康保険料の減免制度が受けられない人
国民健康保険が向いている人
- 退職前の収入が高くない人(前年度の年収500万円未満など)
- 国民健康保険料の減免制度に該当する見込みがある人
- 扶養家族がいない、または1人だけなど少ない人
退職前に保険料を比較しよう
退職後の保険料は、加入している健康保険組合やお住まいの自治体(市区町村)に問い合わせれば、見込み額を教えてもらえることがほとんどです。
「任意継続」と「国民健康保険」の両方を見積もってもらい、保険料や保障内容を比較することで、自分にとってどちらが負担が少なく、メリットが大きいかを判断しやすくなります。
退職前のタイミングで一度問い合わせておくと、スムーズに手続きが進められるのでおすすめです。
弊社でもこうしたご相談を受け付けています。
よくある質問(FAQ)
Q. 任意継続と国民健康保険、どっちが安くなる?
A. 前年の年収や扶養家族の有無によって異なります。
扶養が多い方や高収入だった方は任意継続が安くなるケースが多く、収入が減る見込みのある方は国保+減免制度で安くなる可能性があります。
Q. 任意継続に加入するにはどうすればいい?
A. 退職日から20日以内に、所属していた健康保険組合へ申請が必要です。
申請期限を過ぎると加入できません。
Q. 任意継続は途中でやめて国保に切り替えられる?
A. 任意継続を途中でやめて国保へ切り替えることは可能ですが、一度やめると再度任意継続には戻れません。
Q. 傷病手当金や失業手当を受給中でも扶養に入れる?
A. 原則として、これらの手当の収入額が年間130万円未満であることが条件です。
支給額によっては扶養に入れないことがあります。
Q. 任意継続と国保、どちらが保障内容は手厚い?
A. 一般的に、任意継続は会社の健保をそのまま引き継ぐため、付加給付や各種健診補助など手厚い保障が継続される場合があります。
Q. 国保の減免制度の適用期間はどれくらい?
A. 多くの自治体では、退職した年の翌年度末(3月末)までが減免の対象となります。
申請が必要なので早めに市区町村へ相談を。
まとめ
退職後の健康保険は、「なんとなく」で選んでしまうと損をしてしまう可能性があります。
任意継続にするのか、国民健康保険に切り替えるのか。
保険料や保障内容、減免制度の有無などをしっかり比較して、自分にとって最も有利な制度を選ぶことが大切です。
もし「どちらを選べばいいか分からない」「減免制度の対象になるのか不安」といった場合は、ぜひ弊社のサポートへご相談ください。
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