退職後の生活に不安を感じている方にとって、「傷病手当金」と「失業手当」は大きな支えとなる公的制度です。
しかし、それぞれの制度には「同時にはもらえない」「申請の順番が重要」といった注意点があり、間違った手続きをすると給付金を受け取れなくなるリスクもあります。
この記事では、傷病手当金と失業手当の制度の違い、切り替えの条件やタイミング、再就職手当をもらうためのポイントまで、制度を損せず活用する方法をわかりやすく解説していきます。
目次
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傷病手当金をもらいながら求職活動はできる?
結論から言うと、退職後に傷病手当金を受給している間は、原則として求職活動はできません。
なぜなら、傷病手当金は「病気やケガによって労務不能である」ことが支給要件だからです。
労務不能とされる間は「働けない状態」であるため、ハローワークにおいても「求職活動を行える状態」とはみなされず、失業手当の申請や再就職手当の受給条件も満たせません。
ただし、体調が回復し、主治医から「就労可能」と診断されるタイミングで、傷病手当金の受給を終え、失業手当に切り替えることができます。
失業手当の受給期間(原則1年)を延長しておけば、療養後の申請も可能です。
つまり、傷病手当金でしっかり療養 → 回復後に失業手当で求職活動 → 就職決定で再就職手当という流れが最も合理的であり、金銭的にも制度上もリスクが少ない選択肢と言えるでしょう。
傷病手当金と失業手当は同時にはもらえない
まず、大前提として覚えておくべきことは、「傷病手当金」と「失業手当」は同時には受給できないということです。
これは、それぞれの制度がまったく異なる条件で支給されるためです。
- 傷病手当金:病気やケガで「働けない状態」であることが条件
- 失業手当:就職を希望し、「働ける状態」で求職活動していることが条件
つまり、「療養している間は失業手当の対象にならず、就職活動できるようになってから失業手当の申請をする」流れになります。
傷病手当金から失業手当へ切り替えるには?
退職後、体調がすぐれず働けない場合は、無理に求職活動を始めるのではなく、まずは「傷病手当金」でしっかり療養することが基本です。
体調が回復してから「失業手当」へとスムーズに切り替えることで、給付を漏れなく受け取ることができます。
ここでは、その手順をわかりやすく解説します。
1. 退職後の療養期間は「傷病手当金」でつなぐ
退職時点で傷病手当金の要件(在職中に初診・待期完成など)を満たしていれば、退職後も最大1年6ヶ月間は傷病手当金を受給することが可能です。
この期間は「労務不能=働けない状態」にあるため、失業手当したり、求職活動をすることはできませんが、傷病手当金で収入を確保しながら安心して療養することができます。
2. 傷病手当金を受給している間に「受給期間延長申請」を忘れずに!
失業手当には、「退職日の翌日から1年間」という原則的な受給期間があります。
しかし、病気やケガでこの期間中に就職活動ができない場合は、「受給期間の延長申請」をすることで、最長4年間まで失業手当の申請を延ばすことが可能です。
申請期限は「離職日の翌日から1ヶ月以内」です。
療養を理由に申請できるので、必ずハローワークで手続きをしておきましょう。
3. 体調が回復したら「失業手当」へ切り替える
医師から「就労可能」と診断されたら、ハローワークで失業手当の申請を行います。
ここでようやく、失業手当の支給と、求職活動をスタートすることができます。
受給期間の延長手続きを済ませていれば、傷病手当金をもらい終えたあとでも失業手当の申請が可能です。
その後、一定の条件を満たして再就職をすると、「再就職手当」や「就業促進定着手当」などの上乗せ給付を受け取ることもできます。
傷病手当金から失業手当へ切り替えるベストなタイミングとは?
「傷病手当金の受給が続いているけれど、そろそろ働けそう」
「このまま受給を続けるべき?それとも失業手当に切り替えるべき?」
こういった疑問を抱える方は少なくありません。
結論からお伝えすると、傷病手当金から失業手当への切り替えに“絶対的な正解”はありません。
切り替えのタイミングは、「ご自身の体調」と「就労意欲」が大きな判断基準になります。
タイミングの見極め方
次のような状態になったら、失業手当への切り替えを検討する目安になります。
- 医師から「就労可能」と判断された
- 日常生活や通勤に支障がない程度まで体調が回復している
- 就職活動を積極的に行える状態になった
- 収入確保を優先し、早期に再就職を目指したいと考えている
このような場合、失業手当へ切り替えることで、早期の再就職を目指し、「再就職手当」や「就業促進定着手当」などの上乗せ給付も視野に入れることができます。
実際の申請スケジュール例でイメージしよう
傷病手当金と失業手当、さらに再就職手当まで活用できれば、退職後に受け取れる給付金は総額500万円超えも可能です。
とはいえ、そのためには正しいスケジュール管理が欠かせません。
ここでは、モデルケースをもとに、損をしないための実際のスケジュール例を解説します。
前提条件(モデルケース)
- 年齢:40歳
- 月給:30万円
- 退職日:2025年4月30日
- 傷病手当金:退職後も継続して18ヶ月受給(=最大期間)
- 就職困難者として認定 → 所定給付日数300日
- 傷病手当金終了後:すぐに失業手当を申請し、90日後に再就職
スケジュール例(時系列)
日付 | 内容 | 解説 |
---|---|---|
2025/4/30 | 退職 | 月末退職で社会保険は4月末まで有効 |
2025/5/1 | 傷病手当金の受給開始 | 健康保険資格喪失後も条件を満たせば受給可能(医師の証明が必要) |
2025/7上旬 | ハローワークで「受給期間延長申請」提出 | 傷病手当金受給中に失業手当を申請できないため、退職後1年以内に申請必須 |
2026/10/31 | 傷病手当金終了(18ヶ月目) | この日まで受給(=総額約360万円) |
2026/11/1 | ハローワークで失業手当の申請 | 受給期間延長済みのため、ここから失業手当の申請が可能 |
2026/11/1〜7 | 待期期間(7日間) | この間は給付なし |
2026/11/8〜 | 失業手当の支給開始 | 所定給付日数300日のカウントが始まる |
2027/2/6 | 失業手当支給中に再就職 | 残日数210日(≧3分の2) → 再就職手当の支給対象 |
2027/2中旬 | 採用証明書・支給申請書を提出 | 就職先の記入・押印が必要 |
2027/3〜4月 | 再就職手当が支給される | 6,000円(日額)×210日×70%=882,000円 |
2027/8以降 | 定着手当の申請(再就職後6ヶ月経過) | 就業促進定着手当も対象なら追加給付(上限あり) |
合計で得られる金額の目安
種別 | 期間 | 支給額の目安 |
---|---|---|
傷病手当金 | 18ヶ月 | 約3,600,000円 |
失業手当(90日分) | 約3ヶ月 | 約540,000円 |
再就職手当 | 残日数210日 | 約882,000円 |
合計 | 約21ヶ月 | 約5,022,000円 |
このように、正しいタイミングと制度理解によって500万円以上の給付が受けられる可能性があります。
弊社のサポートでは、こうしたスケジュール設計や書類準備のアドバイスも行っています。
傷病手当金→失業手当へ切り替える際の注意点
傷病手当金を受給しながら療養を続け、体調が回復したら次は「失業手当(基本手当)」への切り替えを検討することになります。
ですが、切り替えの際にはいくつか重要な注意点があります。
1. 退職後1年以内に「受給期間延長申請」をしておくこと
失業手当は、原則として退職日の翌日から1年以内に申請・受給を完了しなければなりません。
ただし、病気やケガで就職活動ができない期間については「受給期間の延長申請」を行うことで、最長4年間まで延長することが可能です。
傷病手当金を受け取っている間に、忘れず延長手続きを済ませておきましょう。
2. 切り替えには「就労可能」の診断が必要
失業手当は「就職する意思と能力がある」ことが条件です。
したがって、医師による『就労可能』という診断がないと、失業手当を受給することはできません
体調が回復し、働ける状態になったタイミングで、医師にその旨を診断してもらいましょう。
3. 申請期間の重複に注意
傷病手当金と失業手当は同時には受給できません。
そのため、「傷病手当金の申請期間」と「失業手当の申請開始日」が重ならないようにする必要があります。
たとえば、傷病手当金が3月31日までとなっている場合は、失業手当の申請はその翌日以降に行いましょう。
4. 失業手当を受給するには「求職活動」が必須
失業手当の受給には、ハローワークでの「求職申込」や「認定日への出頭」など、実際に就職活動をしていることの証明が必要です。
「ただ申請しただけ」ではもらえませんので、しっかり求職活動を行いましょう。
このようなポイントを押さえておくことで、傷病手当金から失業手当へのスムーズな切り替えが可能になります。
なお、弊社では、傷病手当金から失業手当に切り替える際の手続きやタイミングのご相談も行っております。
よくある失敗例
傷病手当金から失業手当への切り替えを考えている方にとって、タイミングや手続きの順番は非常に重要です。
以下のような「よくある失敗」をしてしまうと、せっかくの給付金を受け取れなくなる可能性もあります。
①受給期間延長申請をしていなかった
失業手当は「退職日の翌日から1年以内」に受給しなければなりません。
療養中にこの期間を過ぎてしまうと、失業手当の権利自体が失効してしまいます。
→ 療養で求職活動ができない場合は、必ず退職後1年以内に「受給期間延長申請」を行いましょう。
②失業手当に切り替える前に内定が決まった
「体調が回復したからすぐ働こう」と動き出し、ハローワークで失業手当の手続きを済ませる前に内定を得てしまうと、失業手当も再就職手当も受給できないことがあります。
→ 必ず就職先が決まる前に、求職申込みと失業手当の手続きを行うのが原則です。
③医師から就労可能の診断をもらう前に申請に行った
傷病手当金の支給が終わっても、医師から「就労可能」と診断されていない状態では、ハローワークで失業手当の申請ができません。
→ 必ず、医師から「労働可能」と診断を受けてから申請しましょう。
こうした手続きの順番や申請タイミングを間違えると、大きな損につながることもあります。
弊社では、こうしたトラブルを防ぐために、事前に必要な注意点や手続きの流れを丁寧にご案内しています。
傷病手当金から失業手当に切り替えた後は、再就職手当も活用しよう
無事に体調が回復し、ハローワークで「求職申込み」を行って失業手当の支給が始まった後、もし早期に就職が決まった場合は、「再就職手当」という制度も利用できる可能性があります。
再就職手当とは、失業手当をすべて受け取る前に就職した人に対して、残りの支給日数の最大70%相当額が一括で支給される制度です。
たとえばこんなケース
- 傷病手当金を1年6ヶ月受給
- 回復後、失業手当(就職困難者扱い・給付日数300日)に切り替え
- 失業手当を90日間受け取ってから就職
→ この場合、残り210日分 × 70% が再就職手当として支給されます。
月収30万円程度であれば、再就職手当だけで80万円以上を受け取れる可能性もあり、非常に大きな支援制度です。
体調が回復して求職できるようになったら、受給プランは「傷病手当金 → 失業手当 → 再就職手当」というステップで最大化を狙うのが理想的です。
弊社では、この流れに沿ったベストな申請タイミングや書類準備のサポートも行っています。
補足:就業促進定着手当という“上乗せ制度”もある
再就職手当を受け取ってから、再就職先で6ヶ月以上継続して働いた場合、追加でもらえる給付金制度があります。
それが 「就業促進定着手当」 です。
- 対象者:再就職手当を受給し、かつ再就職先で6ヶ月以上継続して働いた方
- 支給額:前職の賃金と再就職後の賃金の差などに応じて計算されます
- 支給時期:再就職後6ヶ月経過時点で申請 → 審査後に指定口座へ振込
支給額は、前職と再就職後の賃金差や勤務期間などをもとに算出され、数万円〜十数万円になるケースもあります。
なお、弊社では再就職手当の申請だけでなく、忘れがちな再就職後の就業促進定着手当の申請まで一貫してサポートしております。
よくある質問(FAQ)
Q. 傷病手当金の受給中に就職活動をしても大丈夫ですか?
A. 原則として、傷病手当金の受給中は「働けない状態」が前提です。
就職活動やアルバイトは控えるべきです。
Q. 傷病手当金を受給していたら、失業手当の所定日数が減ることはありますか?
A. いいえ。傷病手当金の受給と失業手当の所定給付日数には直接的な相殺関係はありません。
ただし、受給期間を延長しておかないと、申請できないことがあります。
Q. 傷病手当金から失業手当へ切り替えるにはどうすればいいですか?
A. 医師から「就労可能」と診断された後に、ハローワークへ行き失業手当の申請を行います。
療養期間中は失業手当の受給はできません。
Q. 傷病手当金の申請と失業手当の申請期間がかぶっていたらどうなりますか?
A. 原則としてどちらか一方しか受給できません。
重複しないよう申請期間を調整しましょう。
Q. 傷病手当金を受け取りきってから切り替えた方が良いのですか?
A. 必ずしもそうとは限りません。
就労可能な状態になった時点で失業手当に切り替えるのが基本です。
Q. 就業促進定着手当ってなんですか?
A. 再就職手当を受け取って就職し、6ヶ月以上継続勤務した場合に追加で受け取れる給付金です。
前職との賃金差がある場合に支給されます。
まとめ
退職後の生活を安定させるためには、「傷病手当金」「失業手当」「再就職手当」など、それぞれの制度を正しい順番で、確実に申請することが何より重要です。
特に、「傷病手当金 → 失業手当 → 再就職手当」という流れは、最大限の給付を得られる可能性がある非常に有効なルートです。
しかし一方で、申請タイミングのずれや書類の不備、制度の誤解により、せっかくの給付金を受け取れないケースも少なくありません。
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