傷病手当金と失業手当、両方もらえるって本当?
退職後の生活費をどう確保するか——。
病気やうつで退職する方にとって、傷病手当金と失業手当(失業保険)は大きな助けとなる制度です。
「両方もらえる?どっちを先に申請するべき?順番を間違えると損をするって聞いたけど……」
そんな不安を持つ方も多いのではないでしょうか。
結論から言うと、両制度は併用可能ですが、同時には受け取れません(併給禁止)。
そして、受給の順番を間違えると、どちらかがもらえなくなる可能性もあるのです。
この記事では、「傷病手当金 失業手当 順番」や「どっちが先」などの検索ニーズに応えつつ、受給額を最大化するための考え方や手続きを解説します。
→傷病手当金がもらえない!?不支給になる8つの理由と対策を徹底解説
目次
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制度の違いを簡単に整理しよう
以下の3つの制度は、名前が似ていたり併用するタイミングが重なったりするため混同されがちですが、まったく別の制度です。
それぞれの支給条件・支給額・期間をしっかり理解しておくことが大切です。
傷病手当金(健康保険)とは
- 管轄:健康保険(協会けんぽ・健保組合など)
- 対象者:会社員・公務員など健康保険加入者(または退職者で要件を満たす場合)
- 支給条件:病気やケガで労務不能/連続する4日以上の休業/医師の証明
- 支給額:標準報酬日額の約2/3
- 支給期間:最長1年6ヶ月
失業手当(雇用保険)とは
- 管轄:ハローワーク(雇用保険)
- 対象者:退職後、働く意思と能力があり求職活動している人
- 支給条件:求職申込済み/就労可能な状態/定期的な認定日への出頭
- 支給額:退職前6ヶ月の平均賃金日額の50〜80%(年齢と賃金により変動)
- 支給期間:90〜330日(年齢・雇用保険の加入期間・退職理由で異なる)
傷病手当金と失業手当は「前提条件」が全く違います
-
傷病手当金 =「働けないこと」が前提
-
失業手当 =「働ける状態で求職活動していること」が前提
つまりこの2つは、同時にもらうことはできないのです。
順番によって受給額・期間はどう変わる?
傷病手当金と失業手当は、それぞれに支給条件があり、受給する“順番”によって手元に入る金額や期間が大きく変わることがあります。
ここでは、代表的な2つのケースを比較しながら、どちらを先に申請すべきかを検討していきましょう。
ケース1|先に傷病手当金→回復後に失業手当の場合
このケースは、「退職後しばらく療養したあと、元気になってから就職活動をする」パターンです。
- まず療養中は傷病手当金を受給(最長1年6ヶ月)
- 回復後、求職活動を開始し、失業手当を申請
- 退職日の翌日から1年以内に「受給期間延長申請」を出しておけばOK
メリット:
- 傷病手当金+失業手当の両方を最大限受給できる王道ルート
- 就労可能になるまで療養に専念でき、焦らず復職準備ができる
-
一番長く受給し続けることができる
ケース2|先に失業手当の場合
このケースでは、体調は一時的に問題なかったものの、失業手当の受給中に体調を崩してしまった場合です。
こちらの場合、失業手当の受給中に「傷病手当金」へ切り替えることはできません。
また、そもそも失業手当の申請時に病気のことを伝えると申請が不可能です。
なぜならハローワークは病気の人に職業を紹介することができないからです。
よくある誤解
傷病手当金と傷病手当は違います。
傷病手当は失業手当申請後ケガや病気で求職活動ができなかった場合でも失業手当相当額がもらえる制度のことを指します。
⚠ 注意点:誤って申請や手続きを進めると、どちらの制度も受けられないリスクがあります
- 「初診日が退職後だった」
- 「受給期間延長をしていなかった」
-
「就労可能かどうかを曖昧にしたまま申請した」
このようなケースでは、傷病手当金も失業手当も受け取れなくなる可能性があります。
申請の順番とタイミングは非常に重要です。
制度をフルに活用したい方は、必ず退職前からの準備・計画が必要になります。
どちらを先にもらった方が「金額的に得」なのか?
傷病手当金と失業手当、どちらを先に受給した方が金額的に得するのか――。
これは退職を控えた多くの方が気になるポイントです。
結論から言うと、体調が優れずすぐに働けない場合は「傷病手当金を先にもらう方が得になる」ケースがほとんどです。
理由1:支給期間が長い(最長1年6ヶ月)
傷病手当金は最大1年6ヶ月間にわたり、月収の約2/3が支給されます。
一方、失業手当の支給期間は90〜330日(=約3〜11ヶ月)と限られています。
仮に両方をフル活用する場合でも、「先に傷病手当金 → 後から失業手当」と順番を組むことで、両方の期間を最大限確保できます。
理由2:支給額が多くなる
傷病手当金の金額は「標準報酬日額の約2/3」が目安です。
一方、失業手当は「退職前6ヶ月の賃金日額の50〜80%」で、若年層や高収入の人ほど割合が低くなりやすいのが特徴です。
例えば、月給30万円の人の場合:
制度名 | 月額の目安 | 支給期間 |
---|---|---|
傷病手当金 | 約20万円/月(2/3) | 最長18ヶ月 |
失業手当 | 約13〜18万円/月(50〜60%) | 3〜11ヶ月 |
このように、金額面でも「傷病手当金の方が有利」になるケースは多く見られます。
どちらを優先すべき?判断ポイントまとめ
傷病手当金と失業手当、どちらを先にもらうべきか悩んだとき、判断の軸は非常にシンプルです。
- 医師に「労務不能」と診断されている=傷病手当金を優先
- 既に回復して求職活動できる=失業手当を申請
順番を間違えると:
- 傷病手当金が通らない(初診日が退職後など)
- 失業手当の延長申請をし忘れて受け取れなくなる
→ 申請の順番やタイミングを間違えると、本来受け取れるはずだった給付が受け取れなくなることがあります。
「どちらの制度を、いつ・どう使えば損しないか」
「自分は傷病手当金の対象になるのか?」
こうした疑問がある方は、制度に詳しい専門家に一度相談しておくことをおすすめします。
弊社では、制度の使い方や順番の設計、医師への伝え方、申請書のチェックまで、トータルでサポートしています。
傷病手当金と失業手当、それぞれいくら受け取れる?
退職後の生活費を考えるときに、
「傷病手当金と失業手当、実際いくらくらいもらえるの?」
「どれくらいで振り込まれるの?」
と気になる方は多いはずです。
今回は、月給30万円の方をモデルケースに、それぞれの支給額と支給タイミングの違いをわかりやすく解説します。
傷病手当金の金額の目安(月給30万円の場合)
傷病手当金は、標準報酬日額の約2/3が支給されます。
ここでの“標準報酬月額”とは、健康保険上の等級に基づく金額であり、
月給30万円の方であれば「標準報酬月額30万円」と想定して問題ありません。
計算式
30万円 ÷ 30日 ≒ 標準報酬日額 10,000円
→ その約2/3 → 1日あたり 約6,667円
これを1ヶ月(30日)分にすると:月あたり 約20万円(6,667円 × 30日)
つまり、給与の約66%が支給されるイメージです。
また、支給期間は最長で1年6ヶ月(18ヶ月)と非常に長く、経済的な安心感があります。
支給までにかかる期間
健康保険への書類提出後、協会けんぽであればおよそ2、3週間で振込されることが多いです。会社の保険組合だと1,2か月かかることが通常です。
失業手当(基本手当)の金額の目安(月給30万円の場合)
失業手当の支給額は、「退職前6ヶ月の平均賃金日額 × 給付率(50〜80%)」で決まります。
月給30万円の場合、給付率は年齢や状況によって変動しますが、一般的には50〜60%前後です。
概算目安(月給30万円 → 日額換算)
30万円 ÷ 30日 ≒ 賃金日額 10,000円
→ 給付率を60%とすると → 1日あたり 約6,000円
これを1ヶ月(30日)分にすると:月あたり 約18万円(6,000円 × 30日)
失業手当の支給期間は、最短90日〜最長330日(約3ヶ月〜11ヶ月)です。
傷病手当金に比べて支給期間が短く、支給率もやや低い傾向があります。
支給までにかかる期間
-
ハローワークで離職票を提出 → 受給資格決定
-
7日間の待期期間+3ヶ月の給付制限(自己都合退職の場合)があるため、実際の振込は退職後3〜4ヶ月後になるケースが多いです。
弊社では、こうした金額シミュレーションや制度選びについて、状況に合わせた個別アドバイスも行っています。
退職後に「傷病手当金→ 失業手当」の順で受給するには?
「まずは体調の回復を優先して、それから就職活動を始めたい」
そんな方にとって最も現実的で安心なルートが、「傷病手当金 → 失業手当」という受給の流れです。
この順番で制度を使えば、傷病手当金で最大18ヶ月、失業手当でさらに最大10ヶ月~12ヶ月の給付を受けられる可能性もあり、トータルで最大28ヶ月~30ヶ月間給付金を確保することができます。
ただし、この制度の恩恵をフルに活かすには、退職前からの「準備」と「タイミング」がカギになります。
ここでは、退職日を見据えた具体的なスケジュールの組み立て方を、ステップごとにわかりやすく解説していきます。
スケジュール例:退職後に傷病手当金 → 失業手当の流れ
【退職前】
-
病院を受診し、在職中に初診を受ける
-
連続3日以上の休業(待期期間)を確保
※有給消化中でもOK -
医師から「労務不能」の証明を得る
-
退職日当日は出勤せず、休むこと
→この時点で「傷病手当金の継続給付」の条件を満たします。
【退職後】
-
傷病手当金の申請を継続(月ごとに支給申請)
-
療養期間中は就労せず、通院を継続
-
💡 この間、ハローワークで“失業手当の受給期間延長”を申請しておく
※退職の翌日から1年以内に申請すればOK
【回復後】
-
医師から「就労可能」の診断をもらう
-
ハローワークで「求職申込」を行い、失業手当の受給スタート
※延長手続き済みであれば傷病手当金が終了してからでも間に合います -
以降は通常通り、認定日ごとに失業手当を受け取る
注意点:
傷病手当金を退職後に受給するには、
-
在職中に初診を受けていること
-
待期3日が退職日前に完了していること
-
退職日当日を「欠勤」にすること
など、細かい条件を1つでも満たせていないと、不支給になる可能性もあります。
また、失業手当の「受給期間延長申請」は、退職の翌日から1年以内にしないと無効になります。
体調がすぐに回復しない場合でも、忘れずに延長手続きだけは済ませておくことが非常に重要です。
弊社では、給付金を最大限に受け取るための設計・書類のチェックなどもサポートしています。
失業手当の受給期間延長申請とは?
「病気やケガで今は働けないけれど、体調が良くなったら失業手当を受け取りたい」
そんな方にとって欠かせないのが、失業手当の受給期間延長申請です。
延長申請をしておけば、今すぐに求職活動ができない方でも、回復後に失業手当をしっかり受け取ることができます。
そもそも「失業手当の受給期間」とは?
通常、失業手当(正式名称:基本手当)は、
-
退職日の翌日から1年間のあいだに
-
決められた日数分(90〜360日)を受け取る
というルールになっています。
つまり失業手当は、1年以内にハローワークで手続きをして、支給日数を使い切らなければ失効してしまうんです。
延長申請とは「その1年間を最大4年まで延ばせる制度」
病気やケガ、出産・育児、介護などの理由で、すぐに求職活動ができない場合、
ハローワークに申請することで、失業手当の受給開始期限(受給期間)を最大4年まで延長することができます。
たとえば:
-
退職直後に病気や怪我で療養中の方
-
傷病手当金を先に受給している方
-
働きたいけど医師から「就労不可」と診断されている方
こうしたケースでは、「働けるようになったら失業手当を受け取れる権利」をあらかじめキープしておくために、この延長申請が必須となります。
延長申請の条件と手続き
内容 | 詳細 |
---|---|
対象者 | 病気・けが・出産・育児・介護などで「すぐに働けない人」 |
申請期限 | 退職日の翌日から1年以内に申請が必要 |
延長できる期間 | 最大で「退職日の翌日から4年間」まで延長可能 |
必要書類 | 延長申請書、医師の診断書(傷病の場合)、離職票など |
申請先 | 最寄りのハローワーク |
⚠ 注意:1年以内に申請しないと、失業手当の権利自体が消滅します。
あとから申請はできません。
延長申請後の流れ
-
退職から療養中 → 傷病手当金を受給
-
延長申請で失業手当の権利を確保
-
回復後、医師から「就労可能」の診断をもらう
-
ハローワークで求職申込 → 失業手当の受給開始
延長していれば、回復後にすぐ失業手当の受給へ移行できるので、生活保障が途切れません。
「まだ失業手当のことは先だし…」と思っていても、
申請のタイミングを逃すと、本来もらえたはずの数十万円〜百万円以上がもらえなくなるリスクもあります。
いま療養中で就職活動ができない方、傷病手当金を優先して受け取りたいという方こそ、
早めの延長申請が“未来の生活費”を守る第一歩です。
弊社では、延長申請のタイミングのご相談から、必要書類の準備、医師への説明サポートまでトータルでサポートしています。
よくある質問(FAQ)
Q. 傷病手当金と失業手当、同時にはもらえますか?
A. いいえ、同時には受け取れません。
傷病手当金は「働けない人」が対象、失業手当は「働ける人」が対象のため、制度の性質が正反対です。
原則として、どちらか一方しか受給できません。
Q. 傷病手当金の後に失業手当はもらえますか?
A. はい、受給できます。
ただし、退職から1年以内に「受給期間延長申請」をしておくことが必要です。
延長しておけば、回復後にハローワークで求職申込を行い、失業手当を受け取ることが可能です。
Q. ハローワークで失業手当の延長申請をするとき、何を言えばいいの?
A. 「今は病気で働けないため、受給期間の延長申請をしたい」と伝えてください。
加えて、医師の診断書や傷病手当金の受給証明などを用意しておくとスムーズです。
Q. 傷病手当金の支給が終わったあと、すぐ失業手当はもらえますか?
A. はい、条件を満たしていればすぐに受給できます。
回復後、医師から就労可能と診断されたうえでハローワークに求職申込をすれば、延長手続き済みであれば問題なく受給スタートできます。
Q. 傷病手当金の支給期間が1年6ヶ月を超えたらどうなりますか?
A. 支給は終了します。
その後に働ける状態になっていれば、延長しておいた失業手当を受け取ることができます。
申請を忘れていた場合、失業手当の権利は失効してしまいます。
Q:退職後に病気が見つかりました。傷病手当金はもらえますか?
A.退職前に初診がない場合は、原則対象外です。
まとめ|制度の切り替えに失敗しないために
傷病手当金と失業手当はどちらも頼れる制度です。
しかし「どちらが先か」を間違えると、そもそも片方が使えなくなったり、もらえるはずの金額を大幅に失うリスクがあります。
傷病手当金と失業手当を最大限に活用するには、
病院の初診日・医師への伝え方・申請書や離職票の内容といった、細かいポイントを事前に押さえておくことが大切です。
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