株式投資でもうけが出たら失業保険をもらえない?

 

会社を退職したら、しばらくの間「失業保険」をもらって生活しようと考えている方もいらっしゃるでしょう。

 

失業中に株式やFX投資をして利益を得たら、失業保険をもらえなくなるのでしょうか?

 

実は多くの場合、株式投資やFX投資をしても、失業保険を受け取れます。

 

今回は株式投資でもうけが出た場合の失業保険について解説します。今後退職を考えている方は、ぜひ参考にしてみてください。

 

1.失業保険を受給できる条件

そもそも失業保険とはどういった制度なのか、受給要件とともに確認しましょう。

1-1.失業保険とは

失業保険は、雇用保険から給付される「基本手当」です。雇用保険は、失業した労働者を守るための保険。退職後、就職活動を行う際には活動費や生活費がかかるので、雇用保険が費用を補填してくれます。その際の基本的な給付金を「基本手当」といいます。

 

失業保険を受けとれる期間は人によって異なりますが、90~330日間に及びます。金額は前職の給料や年齢に応じて計算されます。

 

ただし退職したからといって誰でも失業保険を受け取れるわけではありません。以下の受給要件を満たす必要があります。

 

1-2.失業保険の受給要件

労働の意思や能力がある

まずは本人に「労働の意思」と「能力」が必要です。はたらく気がなくてしばらく休みたい人、はたらきたくても病気やけがなどで就労できない人は失業保険をもらえません。

失業中で就職活動を行っている

現に失業していることが必要です。どこかの会社に就職してはたらいていたり自営業を行ったりしていると、失業保険をもらえません。また就職活動を継続する必要もあります。

一定期間以上雇用保険へ加入していた

失業保険を受け取るには、退職前に一定期間以上、雇用保険へ加入していたことが必要です。

  • 自己都合退職の場合

キャリアアップのための転職、会社が気に入らないので転職など、労働者の都合で退職する場合です。

「退職前の2年間に12ヶ月以上」雇用保険へ加入していたことが要件となります。

  • 会社都合退職の場合

会社の倒産や解雇、リストラ、パワハラやセクハラ、退職勧奨など、会社側の都合による退職です。

「退職前の1年間に6ヶ月以上」雇用保険へ加入していたことが要件となります。

 

1-3.「失業状態」でないと判断されるケース

退職後、失業保険を受け取るには「失業状態」でなければなりません。

失業状態とは「労働収入を得ていない状態」です。

以下のような場合には、「失業状態」にはならず、失業保険をもらえません。

  • 退職後、アルバイト等で就職して一定以上はたらいている
  • すでに内定をもらっており、入社日までの期間無職になっている
  • 自営業やフリーランスとしてはたらいている
  • 自営業やフリーランスになるための準備活動をしている
  • 内職をして収入を得ている
  • 実家で家事手伝いをしている

 

2.株式やFXの利益と「失業状態」の関係

退職後、株式やFXによって利益を得た場合、収入があるために「失業状態」と認定してもらえないのでしょうか?

投資の利益と失業保険の関係をみてみましょう。

 

失業状態とは「労働や仕事による収入を得られない状態」を意味します。

収入を得ていても「労働、仕事にもとづくお金」でなければ、基本的に「失業状態」にはなりません。

 

では投資の利益は「労働や仕事にもとづく」といえるでしょうか?

 

株式やFXなどの投資は、基本的に「労働収入」に計上されません。税制においても労働による「給与所得」や「事業所得」とは別のものととらえられています。

 

個人が株式運用をしたりFX、仮想通貨などの投資をしたりして利益を得ても、基本的に失業保険には影響しないと考えましょう。結論として、失業中に株式投資やFX投資をしても、失業保険を受け取れます。

 

3.株式、FX投資と不正受給の関係

株式やFX投資で利益を上げた場合、ハローワークへ報告しないと不正受給になるのでしょうか?

 

3-1.失業保険の受給中に仕事をしたらハローワークへ報告が必要

失業保険の受給中にアルバイトや自営業などで収入を得たら、ハローワークへ申告しなければなりません。

申告をしないと「不正受給」となり、失業保険の給付を停止されますし、受け取った金額の3倍を返さなければならないリスクも発生します。また実際には収入を得ていなくても、自営業の準備をしたり家事手伝いなどの仕事をしたりするだけで報告が必要となります。

不正を疑われないためにも、必ずハローワークへ報告をしましょう。

 

3-2.株式、FXの場合には不正受給にならない

株式やFX投資の場合、ハローワークへ申請しなくても失業保険の不正受給にならないケースが多数です。

失業保険で問題となるのは「労働や仕事による収入」。株式投資やFX投資は「労働、仕事」とは別物と考えられています。

そこで、株式投資やFX投資をするときに、ハローワークへの申請は不要と考えられます。多少の利益が出たとしても、基本的には報告する必要はありませんし、不正受給とみなされる可能性は低いといえます。

 

 

4.注意!投資が「事業」になると失業保険をもらえない

ただし状況によっては株式投資やFX投資をすると失業保険をもらえない、また不正受給となってしまう可能性があるので、注意してください。

 

それは、投資活動が「事業」になるケースです。

個人が趣味、副業として投資を行うのではなく、「投資によって大きな利益を得ている」「投資で生計を立てている」場合には、すでに「投資が1つの事業になっている」と評価されます。つまり「投資家」という職業になっているレベルです。

すると、株式やFX投資が仕事になるので「失業状態」とはみなされません。

 

たとえば以下のような場合には、失業状態にならない可能性が高いといえるでしょう。

  • 投資用の法人を設立して、法人として投資業務を行っている
  • 投資を行うに際し、青色申告の承認申請をしている
  • 多額の資金を運用している
  • 取引回数が多く取引額も高額で、継続的に投資を行っている
  • 投資によって得られた利益で生活している

 

一方、以下のような場合には、事業とみなされる可能性は低くなります。

  • 利益を得られず、損失ばかり出している
  • 信用取引など投機的な性質の強い投資をしている
  • 取引数、取引額が小さい

 

投資が「事業」になる場合には、失業保険を受け取れません。ハローワークへ申告せずに失業保険を受け取ると「不正受給」とみなされるリスクも高まります。

 

大々的に投資を行う方は、必ずハローワークへ報告しましょう。

 

5.失業保険受給中に投資でもうかった場合の対処方法

失業保険の受給中に投資による利益を得ても、個人がちょこちょこ投資をしている程度であれば問題はありません。

ただ大きくもうけが出たために「このまま黙っていても良いのだろうか?」と心配になるケースもあるでしょう。

 

そういった場合には、ハローワークへ報告し、対応を相談してみてください。多くの場合には「特に問題ありません」と言われるはずです。

 

一方で、青色申告の承認申請を出している、法人として運用しているなど特殊事情がある場合には問題が発生する可能性もあります。不正受給とみなされないために、必ずハローワークへ状況を伝えて判断を仰ぐようにしましょう。

 

6.失業保険の給付申請で悩んだら

6-1.失業保険の給付申請方法は複雑でハードルが高い

退職後、失業保険を受け取るにはハローワークでの手続きをしなければなりません。失業保険の申請手続きは複雑で、素人の方は「ハードルが高い」と感じるケースが多々あります。

また退職理由によっても失業保険の受給を開始できる時期が大きく変わります。

自己判断で対応すると、本当はすぐに失業保険を受け取れるはずなのに受け取れなくなってしまうケースが少なくありません。

 

投資で一般の個人より大きな利益を得ている場合、「不正受給」とみなされないか心配になる方もいるでしょう。

 

6-2.社会保険給付金サポート会社を利用する

自分で手続きをするのが難しい方、投資による影響が心配な方は、社会保険給付金サポート会社を利用してみてください。

社会保険給付金サポート会社とは、雇用保険にもとづく失業保険(基本手当)、傷病手当、再就職手当などのさまざまな給付金申請を支援してくれる専門会社です。

専門家が手続き方法や利用できる給付金についてアドバイスしてくれるので、簡単に給付申請を進められます。「不正受給」といわれるリスクもほとんどなくなるでしょう。

 

退職しようかどうか迷っているなら、まずは一度、相談してみてください。