パートやアルバイトとして働いている方にとって、「急にシフトを減らされた」「月に数日しか入れてもらえなくなった」といった状況は、生活に直結する深刻な問題です。
しかし、こうした一方的なシフトカットや勤務日数の削減には、法的な観点から対処できる可能性があります。
場合によっては、ハローワークで「会社都合退職」として認められ、失業保険の給付が有利になるケースもあるのです。
この記事では、勤務シフトを会社側から一方的に減らされた場合の適切な対応方法や、退職時に「会社都合」となるための条件、さらには休業手当や失業手当などの公的給付の活用方法について、詳しくわかりやすく解説します。
目次
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シフトを勝手に減らされるのは違法?
「最近シフトが全然入れてもらえない」「週に1日しか働けない状態が続いている」――
こうしたケースでは、「これは違法なのでは?」と感じる方も少なくありません。
しかし、シフトの削減が違法かどうかは、あなたと会社の間で交わした雇用契約の内容によって判断されます。
たとえば、労働契約書に「週4日勤務」など具体的な勤務日数や労働時間が明記されている場合、その条件を大きく下回るようなシフトカットは契約違反に該当する可能性があります。
この場合、会社側に対して改善を求めたり、労基署へ相談したりといった対応が検討できます。
一方、契約書に「週の勤務日数」や「月間労働時間」などが特に明記されていない場合、会社側には一定のシフト調整の裁量が認められるとされており、シフトを減らされたからといって直ちに違法とは言えません。
会社都合でシフトを減らされた場合、休業手当はもらえる?
突然シフトを減らされ、「生活費が足りない…」と困ってしまう方も多いはず。
そんなときに知っておきたいのが、労働基準法第26条に定められた「休業手当」の制度です。
この法律では、「使用者の責に帰すべき事由によって労働者を休業させた場合」には、平均賃金の60%以上の休業手当を支払わなければならないと定められています。
つまり、会社の都合でシフトを一方的に削減された場合には、パート・アルバイトであっても休業手当の支払い対象となる可能性があるのです。
休業手当が支給される可能性がある条件
以下のような状況に該当する場合、休業手当を請求できる余地があります。
- 出勤予定が確定していたのに、会社の都合でシフトを減らされた
- 労働者本人の責任ではなく、会社の経営難や人員調整が原因だった
たとえば、「週3日勤務で契約していたのに、売上減を理由に1日しかシフトに入れられなくなった」といったケースでは、休業手当の請求が可能です。
注意点:すべての「働けなかった日」が対象ではない
一方で、次のようなケースは休業手当の対象外になる可能性が高いので注意が必要です。
- シフト表の作成前など、勤務予定日がまだ確定していない段階でのシフト削減
- 自分から休みを希望した、または欠勤・遅刻などのペナルティによる調整
つまり、「勤務予定だった日を会社都合で削られた」という事実を証明することがカギになります。
シフト表・LINE履歴・出勤実績を残しておこう
休業手当の請求や労働基準監督署への相談を検討する場合には、次のような証拠が非常に重要です。
- シフト表(紙・アプリ・LINE通知など)
- 勤務希望と実際のシフトとの差分が分かる記録
- 会社とのやり取り(シフト削減の通知・説明など)
これらを日付順に保存しておくことで、労基署やハローワークに相談する際の強力な材料になります。
会社都合退職とは?自己都合退職との違い
退職の種類には大きく分けて、「自己都合退職」と「会社都合退職」の2つがあります。
たとえば、生活に支障をきたすほどシフトを一方的に減らされ、その状態が長期間続いた場合には、退職理由が「会社都合」として認められる可能性があります。
この2つの違いはハローワークでの失業手当の受給条件に大きく影響するため、しっかりと理解しておきましょう。
アルバイト・パートでも失業保険を受け取れる条件
「失業保険=正社員だけのもの」と思われがちですが、パートやアルバイトでも条件を満たしていれば受給が可能です。
受給のための主な要件は以下の通りです。
- 雇用保険に加入していたこと
週20時間以上勤務かつ31日以上の雇用見込みがあると原則加入対象 - 離職前の「過去2年間」において、雇用保険の被保険者期間が通算12ヶ月以上あること
- 就労可能な状態で、求職活動を行っていること
雇用保険に加入していたかどうかは給与明細や離職票で確認できます。
つまり、勤務日数が少なくなって退職した場合でも、「雇用保険に加入していたパート・アルバイト」であれば失業保険の対象となる可能性があるのです。
自己都合退職とは?
自己都合退職とは、労働者自身の判断や事情によって退職するケースを指します。
たとえば、
- 人間関係がうまくいかない
- 家庭の事情や引っ越し
- 他の仕事に転職するため
といった理由が該当します。
この場合、失業手当の受給までに待機期間(7日)+給付制限期間(1ヶ月)があるため、実際に手当が支給されるまでに時間がかかります。
会社都合退職とは?
一方、会社都合退職とは、会社側の事情によって退職を余儀なくされたケースを指します。
たとえば、
- 経営悪化による人員整理(リストラ)
- 長時間労働や賃金未払いなどの労働条件の悪化
- シフトが極端に減らされたことによる実質的な退職
といった事例です。
会社都合退職と認定されると、給付制限がなく、すぐに失業手当が支給開始され、受給期間も長くなるというメリットがあります。
なぜ「自己都合」か「会社都合」かが重要なのか?
離職理由によって、以下のような違いが生じます。
項目 | 自己都合退職 | 会社都合退職 |
---|---|---|
給付制限 | あり(1ヶ月) | なし(すぐに給付開始) |
受給期間 | 通常90日~150日(年齢・勤続による) | 最長330日 |
再就職手当の対象 | 条件複数あり | 条件はあるが緩和される |
そのため、シフトを一方的に削減されたことで退職に追い込まれた場合は、「自己都合」として処理されるのではなく、「会社都合」に該当する可能性をきちんと主張し、正しく取り扱ってもらうことが大切です。
シフトカットが「会社都合」になる条件とは?
パート・アルバイトとして働いていると、シフトの減少はある程度やむを得ないこともあります。
しかし、それが生活に大きな支障をきたすような極端な減少だった場合、ハローワークで「会社都合退職」と認定される可能性があります。
では、どのような状況でシフトカットが「会社都合」として扱われるのでしょうか?
以下に、ハローワークが判断の基準とする主なポイントを解説します。
①雇用契約と実際の勤務の乖離が大きい場合
- 労働契約書に「週3日勤務」などと明記されているのに、実際は月に1~2日しか働けない
- 当初の契約内容と比べて、勤務日数・時間が半分以下に減っている
このように、契約内容と実際のシフトが著しく乖離している場合、「労働条件の著しい変更」として会社側に責任がある退職=会社都合退職と見なされる可能性があります。
②シフトカットの理由が会社都合である場合
以下のような事情でシフトを減らされた場合も、「会社都合」として認められやすくなります。
- お店の売上低下や業績悪化による人件費削減
- 店舗の営業時間短縮や休業による人員調整
- 社内トラブルや管理者の判断による不公平なシフト調整
会社側の経営判断や都合により働けない状況が続いた場合、それは労働者側の都合ではなく、会社都合とされる余地があるのです。
③働く意思があるのに仕事を与えられない
自ら退職を申し出たのではなく、「働きたいのにシフトに入れてもらえない」状態が続いている場合、これは実質的な「雇い止め」とみなされることがあります。
とくに、複数回にわたって出勤希望を伝えているのに一方的にシフトを減らされ続けているような場合は、退職の責任が会社側にある=会社都合と認定される可能性が高くなります。
会社都合退職になることで得られるメリット
- 失業保険の給付制限(1ヶ月)なしで、すぐに支給開始
- 受給日数が自己都合より長くなる可能性がある
- 再就職手当が早期に支給される可能性もアップ
シフトカットで生活に支障が出ている場合、「自己都合退職」として泣き寝入りせず、状況次第では「会社都合」としてハローワークに申し立てることが可能です。
証拠資料や記録をしっかり残しておくことが重要です。
会社都合退職になるケース/ならないケースの例
シフト削減による退職が「会社都合」になるかどうかは、具体的な状況によって判断されます。
ここでは、よくあるケースをもとに、会社都合退職として認められる可能性があるかどうかを解説します。
会社都合退職になる可能性があるケース
- 週5日勤務契約だったのに、週1日以下に減らされた
→ 契約と大きく異なる勤務実態となり、生活維持が困難な状況。 - 会社の経営不振により、全体的にシフトが削減された
→ 経営悪化など、労働者に責任のない理由での労働条件変更。 - 何度相談しても改善されず、シフトが回復する見込みがない
→ 改善の余地がないと判断されれば、やむを得ず退職したとみなされる。 - 実質的に「雇い止め」状態で放置されている
→ 出勤日が0日に近く、勤務実態が消失しているようなケース。
会社都合退職にならないケース
- 本人の希望でシフト日数を減らしてもらった
→ 自己都合とみなされます。 - 一時的な業務量減少で数週間のみシフトが減った
→ 継続的ではない場合、会社都合とは認められにくいです。 - 勤務日数は減ったが、契約書に勤務日数の明記がなかった
→ 会社側に一定の裁量があると判断されることがあります。
このように、「どのくらい減らされたのか」「それが一方的かつ長期間続いているのか」といった要素が、会社都合と認定されるかのカギになります。
証拠として、契約書や過去の勤務実績をしっかり残しておくことが大切です。
給付制限なしで受給するには?
通常、自己都合退職の場合は1ヶ月の給付制限期間があり、失業手当の受給がすぐには始まりません。
しかし、シフトカットなど会社都合に準じた理由での退職であれば、「特定受給資格者」や「特定理由離職者」として認定され、給付制限なしですぐに受給が開始される可能性があります。
そのためには、ハローワークでの手続き時に以下の点をしっかり伝えましょう。
給付制限なしを目指すためのポイント
- シフトが一方的に減らされ、生活が困難になった経緯を説明する
- 労働契約書・シフト表・給与明細などの証拠を提出する
- ハローワークで「申立書」を書き、事実関係を明確にする
- 雇用継続が困難だったことを裏付ける資料(LINE・メールなど)があれば持参する
こうした証拠と説明をもとに、ハローワークが「正当な会社都合に準ずる退職」と判断すれば、給付制限なしで早期に失業手当を受け取ることが可能になります。
よくある質問(Q&A)
Q. シフトを減らされたのは違法なんですか?
A. 雇用契約に「週〇日勤務」などの明記があれば、著しい削減は違法の可能性があります。
ただし、契約に勤務日数の記載がなければ、必ずしも違法とはなりません。
Q. シフトを減らされて生活が厳しいのですが、退職したら自己都合ですか?
A. 状況によっては「会社都合退職」に該当する可能性があります。
特に、著しく勤務日数を減らされた場合はハローワークで申し立てが可能です。
Q. シフトカットされた日の休業手当はもらえますか?
A. 労働契約上勤務予定だった日を一方的に削られた場合、休業手当(平均賃金の60%以上)を請求できる可能性があります。
Q. パートやアルバイトでも休業手当の対象になりますか?
A. はい。雇用形態に関わらず、労働契約に基づいて働く者には休業手当の権利があります。
Q. シフトカットの証拠は何を残せばいいですか?
A. シフト表、LINEやメールのやりとり、給与明細、勤務実績(タイムカード)などが証拠になります。
Q. 休業手当はどこに申請すればいい?
A. 会社に請求します。拒否された場合は、労働基準監督署に相談しましょう。
まとめ
シフトを大幅に削られたことで生活が立ち行かなくなる――
これは多くのパート・アルバイトの方にとって現実的な悩みです。
一見、会社の都合に見えても「自己都合退職」にされてしまうこともあり、知らないまま退職して損をするケースは少なくありません。
ですが、勤務実態や証拠をもとに正しい対応をすれば、「会社都合退職」として認定され、失業手当を早く・長く受け取れる可能性もあります。
さらに、体調を崩してしまった場合には傷病手当金も活用できるかもしれません。
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