「教育訓練休暇給付金」と「教育訓練給付金」、この2つの違いを正確に説明できる人は多くありません。
名前は似ていますが、対象者も支給内容もまったく別の制度です。
誤って申請すると、せっかく貯めた雇用保険の期間がリセットされることもあります。
この記事では、2025年10月にスタートした「教育訓練休暇給付金」の仕組みを中心に、
対象資格・もらえる金額・申請条件・注意点をわかりやすく解説します。
また、退職してから学ぶことでより長期間サポートを受けられるケースについても紹介します。
目次
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・ゆっくりしたいけどお金がない
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教育訓練休暇給付金とは?
教育訓練休暇給付金とは、2025年10月から新たに始まった在職者向けの支援制度です。
目的は、社会全体でリスキリング(学び直し)を促進し、働きながら新しいスキルを身につけたい人が無給の休暇を取りやすくすることにあります。
具体的には、在職中の労働者が教育訓練を受けるために休暇を取得した際、その期間中の賃金の一部を国(雇用保険)から支給してもらえるという仕組みです。
教育訓練給付金(離職者・転職希望者向け)とは異なり、教育訓練休暇給付金は完全に「在職者専用」の制度です。
たとえば、会社員が介護職の資格取得やITスキル習得のために無給休暇を取って講座を受けた場合、
その休暇期間に対して一定額がハローワーク経由で支給されます。
制度の運営はハローワークを通じて行われ、雇用保険の被保険者であることが前提条件となります。
教育訓練休暇給付金の対象者と受給条件
教育訓練休暇給付金を受け取るには、次の条件を満たす必要があります。
① 雇用保険の被保険者であること
雇用保険に加入しており、継続して3年以上勤務していることが原則です。
ただし、中小企業に勤めている場合は1年以上でも対象となる場合があります。
② 会社に「教育訓練休暇制度」があること
会社の就業規則に教育訓練休暇制度が定められている必要があります。
制度がない場合は利用できないため、まずは人事部などに確認しておきましょう。
③ 受講する講座が厚生労働大臣の指定講座であること
指定された講座のみが対象です。
簿記・介護・ITなど、スキルアップにつながる資格講座が多く含まれています。
対象講座は厚労省の公式サイトで検索できます。
厚生労働省の公式サイト:教育訓練講座検索システム
④ 本人が申請し、会社を通じて手続きすること
教育訓練休暇給付金は個人で直接申請できません。
まず本人が会社に休暇を申請し、終了後に会社がハローワークへ申請する流れです。
教育訓練休暇給付金の申請方法
教育訓練休暇給付金の申請は以下の流れで行われます。
- 会社に教育訓練休暇を申請
自分が学びたい講座を決め、まずは会社に教育訓練休暇を申請します。
会社が規定の休暇を承認する必要があります。 - 訓練を受ける
休暇が承認されたら、指定の講座を受講します。
受講期間中に休暇給付金が支給されます。 - 会社がハローワークに申請
訓練を終了した後、会社が申請書類をハローワークに提出します。
この際、受講した証明や必要な書類を提出することが求められます。
個人で申請できない点が特徴的ですが、手続きが会社を通じて行われるため、会社のサポートを受けながら進めることができます。
対象資格・講座の例
教育訓練休暇給付金の対象となる講座は、厚生労働大臣が指定した「一般教育訓練」または「専門実践教育訓練」に該当するものです。
仕事に直結するスキルアップや、国家資格の取得を目的とした講座が多く選ばれています。
代表的な対象講座・資格には次のようなものがあります。
- MOS(マイクロソフト オフィス スペシャリスト)
- 日商簿記検定
- 医療事務講座
- 介護福祉士実務者研修
- ITパスポート試験
- 基本情報技術者試験
- キャリアコンサルタント養成講座
これらはあくまで一例であり、対象となる講座は年ごとに更新されています。
最新の指定講座は、厚生労働省の公式サイト「教育訓練講座検索システム」から確認できます。
また、企業によっては社内で推奨している資格や研修を優先的に対象としているケースもあります。
そのため、申請前に勤務先の人事担当者へ確認しておくことが大切です。
いくらもらえる?支給金額の目安
教育訓練休暇給付金の支給額は、教育訓練休暇中に受け取る賃金の40%(上限あり)です。
1回の申請につき、最大20日分まで支給されます。
たとえば、日給1万円の人が5日間教育訓練を受けた場合、
10,000円 × 5日 × 40% = 20,000円支給
このように、訓練中に受け取る給与の一部を国が補助してくれる仕組みです。
中小企業の場合、企業側にも助成金が支給されるため、会社が積極的に制度を導入しているケースもあります。
教育訓練休暇給付金のデメリット・注意点
教育訓練休暇給付金は便利な制度ですが、利用前に必ず理解しておくべきポイントがあります。
① 失業保険(雇用保険の通算期間)がリセットされる
教育訓練休暇給付金を利用すると、休暇前の雇用保険加入期間が失業手当の通算対象から外れる点に注意が必要です。
つまり、今後退職して失業手当を申請する際には、1年以上の被保険期間を改めて積み上げる必要があります。
雇用保険の加入自体が消えるわけではありませんが、
失業手当の受給資格を再取得しなければならなくなるため、実質的には“リセット”と同じ扱いになります。
せっかくの受給資格を無駄にしないよう、利用前に慎重に検討しましょう。
② 対象講座が限定されている
厚労省指定講座以外では申請が通りません。
独自の通信講座や民間資格などは対象外のことが多いため、事前に確認が必要です。
③ 企業によって制度が導入されていない場合もある
教育訓練休暇給付金は、会社が「教育訓練休暇制度」を就業規則に定めている必要があります。
そのため、制度が整備されていない中小企業では利用できないこともあります。
退職して学ぶという選択肢もある
教育訓練休暇給付金は在職中でも利用できますが、本気で学びながら支援を受けたい人は、退職して勉強する方が結果的にお得なケースがあります。
離職後に「教育訓練給付金」や「職業訓練受講給付金」を活用すれば、失業手当と並行して受給できるため、支給期間が長くなるのが大きなメリットです。
たとえば、職業訓練を受けている間は、
- 失業手当の支給が延長される
- 受講手当・交通費が支給される
- 条件によっては訓練期間中も給付金を受け続けられる
といった形で、生活費を確保しながら学習に集中できる環境が整います。
在職中に少額の給付を受けるよりも、退職して失業手当を活用しながら資格取得を目指す方が、実質的に「失業保険を増やす」ことにつながるケースもあるのです。
残った失業保険は「再就職手当」として受け取れる
さらに、退職後の制度活用にはもうひとつのメリットがあります。
それが、残っている失業保険分を「再就職手当」として一括でもらえるという仕組みです。
「再就職手当」は、失業手当の受給資格がある人が、給付日数を残したまま早期に再就職した場合に支給される制度です。
つまり、退職後に訓練や求職活動を経て早めに仕事が決まれば、残りの失業給付を“ボーナス”としてまとめて受け取ることが可能です。
教育訓練休暇給付金ではこうした支給はありませんが、失業保険を活用すれば「もらいながら学ぶ」→「再就職で一括ボーナスを受け取る」という流れが作れます。
結果的に、在職中の給付金よりも退職後の制度の方が、支給額・期間・自由度のすべてで有利です。
本格的にスキルアップしたい人は、教育訓練休暇給付金にこだわらず、一度退職して「失業保険ルート」を検討してみるのも選択肢のひとつです。
まとめ:制度を正しく使って「学び」と「給付」を最大化しよう
教育訓練休暇給付金は、在職中でもスキルアップを支援してくれる便利な制度です。
ただし、支給額や対象は限られており、「もっと長く支援を受けたい」「生活を安定させながら勉強したい」という人には少し物足りない面もあります。
そんなときは、退職後に失業保険を活用する方法を検討してみてください。
「社会保険給付金アシスト」では、自己都合退職の方でも失業保険を最大限に受け取れるようサポートしています。
たとえば、うつ病やメンタル不調など正当な理由があれば、「特定理由離職者」や「就職困難者」として認定され、最大で1年近くの給付延長が可能です。
その分、学び直しや資格取得に使える時間も増やせるうえ、早く再就職が決まれば、残りの失業保険分を再就職手当として一括受給することもできます。
つまり、
「退職 → 失業保険 → 職業訓練 → 再就職手当」
という流れで、学びながら収入も確保できるのがアシストのサポートの強みです。
制度をうまく使い分ければ、キャリアアップも生活の安定もどちらも実現できます。
まずは自分の状況を整理し、最適な制度を選ぶところから始めましょう。