退職後の生活を支える失業保険(基本手当)。
「税金はかかるのか」「確定申告は必要なのか」「扶養から外れてしまわないか」など、受給前後に多くの方が不安を感じるポイントです。
結論から言うと、失業保険は非課税です。
しかし、非課税だからといってすべての制度に影響が出ないわけではありません。
特に扶養や住民税非課税世帯の判定については、誤解しやすい点が多く注意が必要です。
本記事では、失業保険が非課税である根拠から、扶養・住民税・確定申告への影響までを整理し、制度全体を俯瞰できる「入口記事」として分かりやすく解説します。
失業保険の仕組みや受給までの全体像を先に整理したい方は、以下の記事で基本から確認しておくと安心です。
※本記事は、雇用保険・税務・社会保険制度に関する実務情報を継続的に確認している編集チームが、国税庁・厚生労働省・協会けんぽ等の公的資料をもとに作成しています。
目次
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失業保険は非課税?確定申告は必要?
結論から言うと、失業保険(雇用保険の基本手当)は非課税です。
失業保険は、所得税・住民税ともに課税されません。
これは、所得税法第9条において「雇用保険法による失業等給付」は非課税所得と明確に定められているためです。
そのため、失業保険をどれだけ受給しても、失業保険そのものに税金がかかることはありません。
それでも確定申告が必要になるケース
失業保険が非課税であっても、すべての人が確定申告不要になるわけではありません。
次のような場合は、別途確定申告が必要になることがあります。
- 年の途中で退職し、年末調整を受けていない場合
- 退職前の給与所得があり、源泉徴収された税金の還付を受けたい場合
- 副業やアルバイトなど、失業保険以外の課税所得がある場合
つまり重要なのは、
「失業保険が非課税かどうか」ではなく、「他に課税される所得があるかどうか」です。
「失業保険=確定申告が一切不要」と思い込まず、
給与や副業など、他の所得状況をあわせて確認することが大切です。
非課税でも影響する「扶養」|2種類の扶養制度に注意
失業保険は非課税と聞くと、「扶養にも影響しない」と思ってしまいがちです。
しかし実際には、扶養制度には2種類あり、それぞれ判定基準が異なります。
税法上の扶養(所得税)
- 管轄:税務署
- 判定基準:年間所得48万円以下
税法上の扶養は、「所得」を基準に判断されます。
失業保険は非課税所得のため、税法上は所得に含まれません。
そのため、失業保険以外に収入がなければ、配偶者控除や扶養控除の対象になる可能性があります。
健康保険上の扶養
- 管轄:健康保険組合・協会けんぽ
- 判定基準:年間収入130万円未満(60歳未満の場合)
ここで注意すべきなのが、健康保険では失業保険も「収入」として扱われるという点です。
たとえ税法上の扶養に入れていても、
失業保険の受給額によっては、健康保険の扶養から外れてしまうケースがあります。
このように、
「税法上の扶養に入れるか」と「健康保険の扶養に入れるか」は別物です。
失業保険を受給している場合は、必ず両方の基準を分けて確認することが重要です。
失業保険の日額はいくらまでなら扶養に入れる?
健康保険の扶養判定では、原則として年間収入130万円未満(60歳未満)という基準が用いられます。
ただし、失業保険を受給している場合は、年収換算ではなく「日額ベース」で判定される点が大きな特徴です。
扶養に入れる失業保険の日額の目安
全国健康保険協会(協会けんぽ)では、
失業保険(基本手当)の日額が3,612円未満であれば、
健康保険の扶養に入れる目安とされています。
この金額は、月額換算で約108,000円、年収換算で130万円未満となる水準です。
一方、失業保険の日額が3,612円以上となる場合は、原則として健康保険の扶養には入れず、
国民健康保険へ切り替える必要が生じるケースが多くなります。
「確定申告しなければバレない?」という誤解に注意
「失業保険は非課税だから、申告しなければ扶養に入っても分からないのでは?」
と考える方もいますが、この認識は危険です。
健康保険の扶養認定では、
失業給付の受給状況や日額が確認されることがあります。
後から扶養条件を満たしていないことが判明すると、
- 扶養認定の取消し
- 国民健康保険への切替え
- 保険料の遡及請求
といった対応が取られる可能性もあります。
「非課税=何をしても問題ない」と考えず、
事前に日額を確認し、正しく手続きを進めることが大切です。
失業保険と住民税・住民税非課税世帯の関係
失業保険(基本手当)は、住民税の課税対象にはなりません。
そのため、失業保険を受給していること自体で、住民税額が増えることはありません。
住民税は、前年の所得をもとに計算される仕組みのため、
失業中であっても、前年に給与所得があれば住民税が課税されるケースはありますが、
これは失業保険が原因ではありません。
住民税非課税世帯の判定
よくある誤解として、
「失業中だから住民税非課税世帯になる」と思われがちですが、
失業中=自動的に非課税世帯になるわけではありません。
住民税非課税世帯かどうかは、主に以下の要素をもとに判断されます。
- 前年の所得状況
- 世帯全体の所得(同一世帯の家族の収入)
- 扶養関係や世帯構成
たとえば、
- 本人は失業中でも、同一世帯に一定以上の所得がある家族がいる
- 前年の所得が基準額を超えている
といった場合は、失業中であっても非課税世帯に該当しないケースがあります。
住民税非課税世帯かどうかは、
各種給付金や減免制度、支援制度の利用可否に直結する重要なポイントです。
判断基準や取扱いは自治体ごとに異なるため、
制度を利用する際は、必ずお住まいの市区町村に確認するようにしましょう。
失業保険以外にもある「非課税」の雇用保険給付
雇用保険の給付は、失業保険(基本手当)だけではありません。
実は、基本手当以外にも「非課税」として扱われる給付が複数存在します。
代表的なものは、次のとおりです。
- 再就職手当
早期に再就職した場合に、失業保険の残日数に応じて一時金として支給される給付です。 - 就業促進定着手当
再就職後、一定期間働いたものの、賃金が前職より下がった場合に差額の一部を補填する制度です。 - 常用就職支度手当
失業手当の残日数が少ない状態で再就職した場合に支給される給付で、
再就職手当の代替的な位置づけとなる制度です。 - 雇用保険の傷病手当
失業中に病気やケガで求職活動ができなくなった場合に支給される給付です。 - 育児休業給付金・介護休業給付金
育児休業や介護休業中の所得補償として支給される給付金です。 - 教育訓練給付金・職業訓練受講給付金
再就職やスキルアップを目的とした訓練を受講した場合に支給される給付です。
このように、雇用保険の給付は多くが非課税として扱われます。
ただし、非課税であっても扶養判定や各種制度の対象可否に影響するケースがあるため、
「税金がかからない=何も影響しない」と考えず、制度ごとの扱いを確認することが重要です。
よくある質問(Q&A)
Q. 失業保険を受け取ると確定申告は必要ですか?
A. 原則として、失業保険(基本手当)だけであれば確定申告は不要です。
失業保険は非課税所得のため、受給そのものが申告義務を生じさせることはありません。
ただし、退職前の給与で年末調整を受けていない場合や、副業など他の課税所得がある場合は、確定申告が必要になることがあります。
関連記事:途中退職した年は確定申告が必要?年末調整との違いもわかりやすく解説
Q. 健康保険の扶養に入れますか?
A. 失業保険の受給額によっては、扶養に入れない場合があります。
健康保険上の扶養は年収130万円未満が基準で、失業保険は日額換算で判断されます。
一般的に、基本手当の日額が3,612円未満であれば扶養に入れる可能性があります。
関連記事:失業保険と扶養、どっちが得?両立できる条件と損しないタイミングを解説
Q. 配偶者控除は受けられますか?
A. 条件を満たせば受けられる可能性があります。
配偶者控除は所得ベースで判定され、失業保険は非課税のため所得に含まれません。
他に所得がなければ、控除の対象となることがあります。
Q. 非課税世帯になりますか?
A. 失業中であっても、必ず非課税世帯になるとは限りません。
住民税非課税世帯の判定は、前年の所得や世帯全体の状況をもとに行われます。
詳細は市区町村での確認が必要です。
関連記事:退職して住民税が払えないときはどうする?減免・分割・放置リスクまで徹底解説
Q. 再就職手当も非課税ですか?
A. はい、非課税です。
再就職手当は雇用保険法に基づく給付で、所得税・住民税はかかりません。
関連記事:再就職手当(就職祝い金)とは? 受給条件と申請手続きの全て|早く働いた方が得?
Q. 失業保険をもらいながらアルバイトをしても問題ないですか?
A. 条件を守れば可能ですが、必ず申告が必要です。
短時間のアルバイト自体は禁止されていませんが、働いた日は必ずハローワークに申告する必要があります。
無申告で働くと、不正受給と判断されるリスクがあります。
関連記事:失業保険(失業手当)受給中のバイトはOK?おすすめのバイトもあわせて紹介!
まとめ|非課税でも制度の影響はゼロではない
失業保険(基本手当)は、所得税・住民税ともに非課税です。
そのため、「税金がかかるのかどうか」という点だけを見ると、安心できる制度といえます。
一方で、
健康保険の扶養判定や住民税非課税世帯の扱いなど、
税金とは別の制度では、失業保険が「収入」として影響する場面があることも事実です。
「非課税だから大丈夫」と自己判断してしまうと、
後から扶養を外されたり、想定外の保険料が発生したりするケースもあります。
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