「失業中でも、家計のために少しだけパートで働きたい」
「でも、失業保険はもらえなくなるの?」
そんな不安を感じている方も多いのではないでしょうか。
実は、失業保険をもらいながらでも、条件を満たせば扶養内でパート勤務をすることは可能です。
この記事では、失業保険のルールや扶養の定義、そして損をせず働くためのポイントを解説していきます。
退職後の生活に不安を感じている方へ。焦らなくても大丈夫です。
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失業保険と「失業状態」の定義

失業保険(基本手当)は、「働く意思があり、求職活動をしている失業者」に対して支給される給付です。
ポイントは、「完全に働いていないこと」ではなく、「就職していないこと」「積極的に求職活動をしていること」。
そのため、就職とはみなされない範囲での短時間労働(たとえばパート勤務や内職)であれば、条件次第で失業保険をもらいながら働くこともできます。
扶養内パートとは?

ここで言う「扶養内」とは、税制上や社会保険上の扶養に入った状態で働くことを指します。
「扶養」には”税金の扶養”と”社会保険の扶養”の2種類があり、年収の基準(壁)が異なります。
税金の扶養(所得税)
- 配偶者控除の対象:年収123万円以下
配偶者の年収が123万円以下なら、扶養する側(配偶者)が配偶者控除(最大38万円)を受けられます。
※2025年の税制改正で、従来の「103万円」から「123万円」に引き上げられました。 - 123万円を超えても、160万円までは配偶者特別控除で同額(38万円)をカバー
123万円を少し超えても、すぐに控除がゼロになるわけではありません。
年収160万円までは配偶者特別控除で満額(38万円)が受けられ、それ以降は段階的に減っていきます。
社会保険の扶養
- 健康保険・年金の扶養:年収130万円未満
年収130万円未満(かつ被保険者の年収の1/2未満などの要件あり)なら、配偶者の健康保険・年金の扶養に入れ、自分で社会保険料を負担しなくて済みます。 - 勤務先によっては「106万円」で社会保険加入の場合も
従業員51人以上の企業などで、週20時間以上・月収8.8万円(年約106万円)以上で働く場合は、年収130万円未満でも勤務先の社会保険に加入し、扶養から外れます(106万円の壁)。
※この月収要件は2026年10月に撤廃予定(2025年時点)。
扶養内で働くことで、配偶者の税金負担が減ったり、自身の社会保険料負担を避けることができます。
扶養内パート+失業保険の併用は可能か?

結論から言うと、「扶養内でパートをしながら失業保険を受け取ることは可能」です。
ただし、これはあくまで一定の条件を満たしている場合に限ります。
ハローワークは「失業状態」であるかどうかを厳密に確認します。
したがって、以下の2つのポイントを必ず押さえておきましょう。
- 1日の労働時間が4時間未満であること
失業保険(=基本手当)は、その日に4時間以上働くと「就労」とみなされ、その日の給付は先送りになります。
これは支給額が減るのではなく、働いた日数分だけ支給日が後ろへずれる仕組みで、総受給額そのものは変わりません。
なお、4時間未満であっても、収入が多い日は減額の対象になることがあります(いくらまでなら減額されないかは後述します)。 - 雇用保険の被保険者にならない範囲で働くこと
週20時間以上の勤務を見込まれると、「就職した(再就職)」と判断され、失業保険の受給資格を失います。
ここでの週20時間は、雇用契約で定められた所定労働時間で判断されます(突発的な残業で一時的に超えても、直ちに就職とはみなされません)。
したがって、週20時間未満の勤務であることが重要です。
また、扶養内の範囲であっても、失業保険上は就労と認定される可能性があるため、必ず認定日に申告する必要があります。
失業保険をもらいながら扶養内パートで働くメリットとデメリット

失業保険を受給しながら扶養内でパート勤務をすることは、「少しでも生活費を補いたい」「ブランクを作りたくない」という方にとって魅力的な選択肢です。
ただし、制度にはさまざまなルールや注意点があるため、正しく理解しておくことが大切です。
ここでは、扶養内パートと失業保険の併用におけるメリットとデメリットをわかりやすく解説します。
扶養内パートで働くメリット
失業保険をもらいながら扶養内パートで働くメリットには、以下のようなものがあります。
- 生活費の補填ができる
失業保険だけでは生活費が足りないというケースでも、パート収入が加われば、家計にゆとりが生まれます。
条件さえ守れば、失業保険とパート収入の“いいとこ取り”も可能です。 - 社会保険料の負担がかからない
パート収入を一定額に抑えて「扶養内」に収まれば、自分で健康保険料や年金保険料を支払う必要がありません。
これにより手取り額を有効に使えます。 - 就職活動の合間に働ける
「すぐにはフルタイム就職が難しい」という方でも、パートであれば柔軟に働けます。
ブランク期間を避けつつ、無理のないペースで求職活動が続けられるのも利点です。 - 就業感覚を維持できる
長期間まったく働かないと、社会との接点がなくなり、再就職へのハードルも高くなりがちです。
短時間でも働くことで生活リズムを整え、就業感覚を維持できます。 -
パート勤務先で再就職につながる可能性も
扶養内パートで働いているうちに、勤務先からの評価が高まり「もっと働いてみないか」と声をかけられることもあります。
実際に、パート先での働きぶりが認められて、そのまま再就職につながるケースは少なくありません。
ブランクを空けず、自然な形で復職のチャンスを広げられるのも大きなメリットです。
一方で注意したいデメリット
制度を正しく理解せずにパートを始めると、思わぬトラブルに発展する可能性があります。
以下はよくある落とし穴です。
- 労働時間・収入に厳しい条件がある
失業手当の受給中は、1日4時間以上の就労があると「失業状態ではない」とみなされ、その日は支給されません。
また、収入が多すぎると減額対象にもなります。 - 申告を怠ると「不正受給」に
「少しの収入だから大丈夫」と思って未申告にすると、不正受給とされる可能性があります。
バレた場合、全額返還+追徴金+最悪は刑事罰という厳しいペナルティが科されることも。 - 週20時間を超えると「雇用保険加入」扱いに
週20時間以上働くと、雇用保険の加入対象になり、「就職した」と見なされて失業手当は打ち切りになります。
時間管理は非常に重要です。 - 「失業状態」と見なされなくなる可能性も
たとえ扶養内であっても、継続的にパートに入っていると、「就職の意思がない」と判断されてしまうこともあります。
求職活動の意思をハローワークに示し続けることが必要です。 - 求職活動実績が必要
パート勤務に関係なく、認定日ごと(原則4週間ごと)に2回以上の求職活動実績を作らないと、失業保険は支給されません。
求職の意思を形で示す必要があります(初回認定日までは1回でよく、雇用保険説明会への参加が1回分としてカウントされるのが一般的です。自己都合退職などで給付制限がある場合は、給付制限明けの認定日までに所定回数が必要です)。
失業保険をもらいながら扶養内パートで働く際の注意点

失業保険を受給しながら、扶養内でパート勤務をすることは可能ですが、いくつかの重要な注意点があります。
条件を守らなければ、手当が支給されなかったり、最悪の場合には不正受給とみなされる可能性もあります。
以下に、特に注意すべきポイントをまとめました。
- 「7日間の待機期間」を経過してから
失業保険を受け取るには、申請後に7日間の「待機期間」が必要です。
この期間中に働いてしまうと、待機が成立せず、給付開始が先延ばしになるため注意しましょう。 - 1日の労働時間が4時間以上になると、その日は不支給となり給付が先送りになる
失業保険では、「1日4時間以上働いた日」は就労日扱いとなり、その日の給付は支給されません。
つまり、4時間以上働く日は「失業状態とは見なされない」ため、その分、支給日数が後ろ倒しになります。 - 4時間未満でも「収入が多い」と減額の可能性がある
「じゃあ3時間だけ働けば大丈夫」と思われがちですが、労働時間だけでなく収入金額もチェックされています。
たとえ4時間未満でも、日額で一定以上稼ぐと、減額の対象になる可能性があります。 - 雇用保険の加入基準に注意(週20時間未満)
失業保険を受けている間に、新たな職場で「週20時間以上」働くと、雇用保険の被保険者となり、就職したと判断されてしまいます。
その結果、失業状態ではない=支給対象外とされるため、扶養内でも週の労働時間は20時間未満に抑える必要があります。 - 必ずハローワークで「申告」する
働いたことを隠して受給を続けると、「不正受給」と判断されるおそれがあります。
パート勤務の内容・時間・収入は、認定日に必ず申告が必要です。
虚偽の申告や未申告が発覚すれば、全額返還+2倍の追徴金+刑事罰という重大なペナルティが科されることもあります。 - 認定日までに「求職活動実績」を作っておく
たとえパートで収入があっても、失業保険の受給資格を維持するためには、「求職活動をしていること」が前提です。
ハローワークへの相談、求人応募、企業面接など、求職活動実績を認定日までに必ず2回以上作っておく必要があります。
1日あたりいくらまでなら稼いでOK?

失業保険を受給しながらアルバイトをする際、「1日あたりいくらまでなら稼いでも減額されないのか」は気になるところです。
これは前職の賃金や年齢によって異なります。
ここでは、以下の条件を例に、実際にどこまでなら稼いでも大丈夫なのかを解説します。
前提となる条件
- 離職時の年齢:40歳
- 前職の月収:30万円
- 賃金日額:10,000円(30万円×6ヶ月÷180日)
- 賃金日額の80%:8,000円(=減額判定の基準)
- 基本手当日額:6,102円 ※金額は一例。実際の額はハローワークで確認できます
- 控除額:1,391円(2025年8月改定。毎年8月1日に見直されます)
1日あたりの収入と失業保険の関係
失業保険とアルバイトを併用する場合、「(アルバイト収入 −控除額)+基本手当日額」が「賃金日額の80%」を超えるかどうかで判断されます。
控除額を引くのはアルバイト収入からで、超えた分だけ基本手当日額から減額される仕組みです。
上記の条件の場合の目安は次のとおりです。
- 1日あたりの収入が 3,289円以下 の場合 → 失業手当は満額支給される
- 1日あたりの収入が 3,289円を超える 場合 → 超えた分だけ減額されて支給される
- 1日あたりの収入が 9,391円以上 の場合 → その日の支給額は0円(給付なし)
減額されても、その日の給付が後ろにずれる(総額は変わらない)4時間以上のケースとは異なり、4時間未満で減額された分は原則そのまま戻りません。
不安がある方は、自分の「賃金日額」や「基本手当日額」をハローワークで確認しながら、安全な範囲で働くことをおすすめします。
損しないためのポイント

以下のポイントを押さえれば、「失業保険+扶養内パート」の併用で損をするリスクを減らせます。
- 1日4時間未満の勤務に抑える
1日4時間以上働くと、その日は「就労」とみなされ、その日の失業保険は支給されません(総額は減らず、後ろにずれます)。 - 収入は「賃金日額の80%」を超えないように調整する
失業手当とパート収入の合計が前職の賃金日額の80%を超えると、超えた分だけ支給が減額されます。 - 週20時間未満の勤務に抑える
週20時間以上働くと、雇用保険の被保険者とみなされ、失業状態とは認められません(=就職扱い)。 - 毎回の認定日に必ず勤務実績を申告する
どんなに短時間・少額でも、働いた事実がある日は認定日に必ず申告が必要です。
未申告は不正受給とみなされるおそれがあります。 - 求職活動の実績は継続して作る
パート勤務をしていても、求職活動実績は認定日ごと(原則4週間ごと)に2回以上必要です(初回認定日までは1回)。
これは退職理由に関わらず共通です。 - 家族の扶養条件とも照らし合わせる
健康保険の扶養に入っている人は、年収130万円未満であることが条件です。
これを超えると、扶養から外れて自分で保険料を負担する必要が出てきます。
なお、週20時間未満(ポイント3)を守っていれば、106万円で社会保険に加入するケースは基本的に当てはまりません。
失業保険がもらえなくなる!注意すべき4つのケース

失業保険と扶養内パートを両立するには、細かなルールを守る必要があります。
以下のようなケースでは、支給そのものが停止される可能性があるため、特に注意しましょう。
- 待期期間中に働いた場合
失業保険の支給には、7日間の「待期期間」が必要です。
この期間中にパートやアルバイトで働くと待期が成立せず、その分だけ支給の開始が先延ばしになります。 - 受給期間を超えてしまった場合
失業保険には「受給期間(原則、離職から1年間)」という制限があります。
パートをしながらゆっくり受給しようと考えていても、この期間を過ぎると、たとえ手当の日数が残っていても受け取れなくなります。 - 賃金日額の80%を超える収入を得た場合
1日あたりの収入(パート収入 −控除額)に基本手当日額を足した額が、前職の賃金日額の80%を超えると、超えた分だけその日の手当が減額されます。
収入がさらに高いと、その日は不支給(0円)になります。 - 「再就職した」と見なされた場合
たとえ扶養内パートでも、週20時間以上働くと「雇用保険の被保険者」となり、ハローワークで「再就職した」と見なされます。
そう判断されると、失業の状態ではないとされ、その時点で失業手当の支給が打ち切られます。
申告しなかった場合のリスク

失業保険を受給しながら、パートで得た収入を申告しなかった場合、非常に重大なリスクを伴います。
それは、法律上の「不正受給」に該当する可能性があるからです。
不正受給と判断された場合、次のような重い処分が下されることになります。
- 以後の失業手当は支給停止(受給資格を失う)
- 不正に受け取った額の全額返還
- さらに、その額の最大2倍の納付命令(=返還と合わせて実質、最大3倍の支払い)
- 悪質と判断されれば、刑事告発(詐欺罪)されるケースもある
少しでも収入があった場合は、必ずハローワークに正直に申告することが大前提です。
ハローワークへの申告方法

失業保険の受給中にパートで収入を得た場合、勤務時間や収入額にかかわらず、ハローワークへの申告は必須です。
申告は「失業認定日」(原則4週間に1回の手続き日)に、「失業認定申告書」を提出して行います。
この申告書には、主に「働いたこと」と「求職活動」の2つを記載します。
働いたことの記載(欄1・2)
- 働いた日をカレンダー欄に記入する
- その仕事が「就労(1日4時間以上)」か「内職・手伝い(短時間)」かを区別して記入する(パート勤務は通常「就労」)
- 収入を受け取った場合は、その日・金額・何日分かを記入する(働いた日は入金前でも記入)
求職活動の記載(欄3)
- 認定対象期間中に行った求職活動(相談・応募・面接など)を記入する(原則2回以上)
記入に迷ったら、認定日当日にハローワークの窓口で確認しながら記載できます。
正直に申告することが、トラブルを防ぐ何よりの近道です。
再就職手当を検討するのも一手

もしパート勤務を一時的なつなぎではなく、継続的に働きたい意思がある場合は、「再就職」としてハローワークに申請し、「再就職手当」を受け取る選択肢もあります。
再就職手当は、失業手当の支給残日数に応じて、一時金として支給されます。
- 所定給付日数を3分の2以上残して就職 → 残日数 × 70%
- 所定給付日数を3分の1以上残して就職 → 残日数 × 60%
早く再就職が決まるほど、支給率も高くなります。
残日数が多く残っているほど金額も大きく、「扶養内パートで減額されながら少しずつもらう」よりトータルで高くなるケースも少なくありません。
ただし注意点があります。
再就職手当を受けるには、原則として雇用保険の被保険者になること(週20時間以上の勤務)など、いくつかの条件を満たす必要があります。
つまり「週20時間未満の扶養内パート」とは両立しません。
継続して働きたいなら再就職手当を活かす道、扶養の範囲で働きたいなら扶養内パートの道、と目的に応じて選ぶのがよいでしょう。
よくある質問(FAQ)
Q. 失業手当をもらいながらパートで働くことは可能ですか?
A. 可能です。
ただし「1日4時間未満」「週20時間未満」など、就労条件を守り、ハローワークへの正確な申告が必要です。
Q. 扶養内のパートなら申告しなくてもバレないのでは?
A. 扶養の有無にかかわらず、失業保険制度では「働いた事実」の申告が義務です。
金額ではなく“働いたこと”自体を隠すと不正受給になります。
Q. 働いたのが1日だけでも申告は必要ですか?
A. はい。
1日でも働いた場合は、失業認定申告書に勤務日・勤務時間・業務内容・収入の有無を正確に記載する必要があります。
Q. パート勤務でも再就職手当の対象になりますか?
A. 条件を満たせば対象になります。
たとえば雇用保険加入が必要になる週20時間以上のパートなど、継続性・安定性がある場合に認められることがあります。
Q. パート先に失業手当をもらっていることは伝える必要がありますか?
A. 法的義務はありませんが、勤務日数や収入を調整するうえで事前に伝えておくと安心です。
報告しないことで勤務条件が増えすぎるとトラブルになる可能性も。
Q. 認定日までに働いた分の報酬がまだ振り込まれていない場合も申告が必要ですか?
A. はい。未払いでも「収入が発生した」事実がある場合は、申告対象です。
支払いの有無ではなく、働いた事実が重視されます。
まとめ:ルールを守れば扶養内パートと失業手当は両立できる
失業保険をもらいながら扶養内でパートをすることは、条件を守れば可能です。
ただし、労働時間や収入、申告の有無によっては減額や支給停止のリスクもあるため、注意が必要です。
もし長く働く予定があるなら、「再就職手当」を申請した方が結果的にお得になる場合もあります。
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