傷病手当金を申請しようとした際、会社が「書きません」「対応できません」と協力してくれず、手続きが止まってしまうケースは少なくありません。
しかし、これは会社の判断で勝手に拒否してよいものではなく、健康保険法上も“事業主の協力義務”が定められています。
本記事では、会社が事業主記入欄を拒否・放置したときにどう動くべきかを、制度の根拠と正しい手順に基づいてわかりやすく解説します。
傷病手当金の仕組みや全体像を先に把握したい方は、こちらの記事もあわせてご覧ください。
※本記事は、雇用保険や健康保険などの社会保険制度に詳しい編集チームが、厚生労働省・協会けんぽ・健康保険組合などの公的資料を確認のうえ作成しています。
目次
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傷病手当金の申請で会社の協力が必要な理由
傷病手当金の申請書には、「事業主記入欄」が存在します。
今回は、協会けんぽの申請書3ページ目、「事業主記入用」のページを見ていきましょう。
このページでは、以下のような情報が求められます。
- 出勤状況
- 最終出勤日
- 給与の支給状況(有給休暇の取得など)
- 勤務先情報
これらは被保険者本人が証明できる内容ではなく、事業主が記入・証明する必要があります。
このため、会社の協力が不可欠なのです。
退職後は事業主欄が不要なケースも
協会けんぽの記入マニュアルでは、退職後(資格喪失後)に申請する場合でも、
申請対象期間の中に在職中の期間が含まれていない場合に限り、事業主欄が不要になるケースがあります。
ただし、今回の申請期間に 在職中の勤務日・給与支給期間が含まれている場合は、退職後であっても会社に事業主記入欄を依頼する必要があります。
勤務実績や給与の事実は会社にしか証明できないためです。
また、健康保険組合(組合健保)は協会けんぽと取り扱いが異なることが多いため、
加入している保険者へ事前確認することが確実です。
会社が書類を拒否・放置するケースと背景
会社が書類作成に協力してくれない理由は、必ずしも悪意とは限りません。
よくある理由
- 書き方がわからない(制度への理解不足)
- 担当者が多忙・不在で後回しになっている
- 「退職者だから対応しない」と誤解している
- 会社として対応したくないという運用方針
- ハラスメントの一環として故意に対応しない場合
多くは制度の理解不足から生じるもので、丁寧な説明により解決する可能性があります。
会社が拒否するのは違法?健康保険法の「協力義務」
会社が傷病手当金の事業主記入欄を一方的に拒否することは、法律上問題となる可能性があります。
健康保険法第104条では、事業主は
「保険給付に関する事務に協力しなければならない」
と定められており、申請書の記入もこの協力義務に含まれます。
そのため、
- 「退職者だから書かない」
- 「会社の方針で対応しない」
といった理由での拒否は、協力義務違反となる可能性があります。
ただし、法律に罰則はないため、実際には行政指導にとどまるケースが多い点は理解しておきましょう。
また、退職後であっても、在職中の勤務実績は会社にしか証明できないため、記入義務がなくなるわけではありません。
会社への正式依頼文(メール・書面テンプレート)
まずは感情的にならず、正式な依頼文を送りましょう。
メール・書面は証拠として残るため効果的です。
①在職中に依頼するメール文例
お疲れ様です。傷病手当金の申請に必要な「事業主記入欄」へのご対応をお願いしたくご連絡いたしました。
申請には会社のご記入が必要であり、健康保険法でも事業主の協力義務が定められております。
大変お手数ですが、◯月◯日までにご対応いただけますと幸いです。
必要な記入箇所が不明な場合は、こちらで記入例をご用意いたしますのでお申し付けください。
よろしくお願いいたします。
②退職後に依頼する文例
お世話になっております。
〇〇と申します。傷病手当金の申請に必要な事業主記入欄へのご協力をお願い申し上げます。
在職中の勤務状況や給与情報は会社にしか証明できないため、
退職後であってもご記入いただく必要がございます。お忙しいところ恐縮ですが、◯月◯日までにご対応をお願いできますでしょうか。
必要書類は添付いたします。
③書面用(期日を明記した正式依頼書)
依頼書この度、傷病手当金申請に伴い、申請書の事業主記入欄へのご記入をお願い申し上げます。
健康保険法第104条では、事業主が保険給付に関する事務への協力義務を負う旨が定められております。
つきましては、◯年◯月◯日までにご記入のうえご返送いただけますようお願い申し上げます。
令和◯年◯月◯日
氏名:
住所:
連絡先:
会社→健保→労基署→専門家の“正しい行動フローチャート”
会社が書類をなかなか記入してくれない場合は、次の順番で動くとスムーズです。
① まずは会社へ正式に依頼する
メールや書面で依頼し、期日を明記して伝えます。
記入例をこちらから添えると対応されやすくなります。
返信がない場合は再度依頼し、やり取りの記録は必ず保存しましょう。
参照:全国健康保険協会「傷病手当金支給申請書の記入の注意点(令和7年6月作成版)」
② 健康保険組合・協会けんぽへ相談
会社が協力してくれない状況を説明し、申立書で対応できるか確認します。
給与明細・離職票・勤怠記録など、代わりに提出できる書類が認められることもあります。
③ 労働基準監督署へ相談
「事業主の協力義務」に反している可能性があるため、労基署が会社へ是正を促してくれる場合があります。
強制力はありませんが、これをきっかけに会社が応じるケースは少なくありません。
④ 社労士・弁護士への相談
会社が悪意的に拒否している、長期間放置されているなど深刻な場合は、専門家に相談するのが安全です。
特殊ケース別の対処法
会社が協力してくれないケースでも、状況によって適切な対応方法があります。
代表的なパターンを紹介します。
① 会社が倒産・廃業している場合
会社と連絡が取れなくても、傷病手当金の申請が完全に不可能になるわけではありません。
給与明細・シフト表・雇用契約書・勤怠記録 など、「勤務していた事実を示す資料」があれば、健康保険組合や協会けんぽに対して申立書という形で手続きを進められることがあります。
② 退職後に「もう関係ない」と言われた場合
退職を理由に書類を拒否されることがありますが、これは誤りです。
在職中の勤務実績や給与の情報は会社にしか証明できないため、退職後でも会社には記載義務があります。
一度断られてもあきらめず、文書で再依頼し、並行して加入している健保にも状況を伝えましょう。
③ 書類の内容に虚偽があった場合
記載された内容に間違いがある、明らかに虚偽だと感じた場合は、
- 給与明細
- 勤怠表
- 離職票
などの証拠を添え、健康保険組合へ訂正申請を行うことができます。
健保側が事実関係を確認し、正しい内容に基づいて審査を進めてくれる場合があります。
拒否されても間に合う?申請期限と時効について
傷病手当金には「支給対象月の翌日から2年」という時効があります(健康保険法第193条)。
この期間を過ぎてしまうと、その月分の給付はどれだけ条件を満たしていても受け取れません。
そのため、会社が書類に協力してくれないまま時間が経つほど、受給できる月が減ってしまうリスクが高くなります。
一方で、裏を返せば、
2年以内であれば、退職後しばらく経っていても申請できる可能性は十分あります。
会社への再依頼や、健康保険組合への相談によって申請が進むケースは多く、諦めて放置してしまうことが最も危険です。
なお、初診日の確認や勤務実績の証明が必要になる場合もあるため、
なるべく早く行動し、会社への依頼と並行して健保にも相談することが重要です。
実際に書類を書いてもらえた成功例
実際には、最初は会社が非協力的でも、適切な手順を踏むことで状況が改善したケースが多数あります。
たとえば、弊社のサポートをご利用いただいた方の中には、
退職後に傷病手当金の申請を進めようとした際、会社から、
- 「退職者の書類には対応できない」
- 「書き方がわからない」
と拒否されてしまったケースがありました。
そこで弊社では、会社が安心して対応できるよう、
- 書類作成の目的
- 健康保険法に基づく協力義務
- 記入方法のサンプル
- 依頼文(メール・書面)のひな形
をわかりやすくまとめて提供し、送付文面の添削も行いました。
その結果、会社側も、
「そういう理由なら対応が必要だと理解した」
と態度を改め、最終的にはスムーズに必要書類を作成。
無事に申請が受理され、給付につながった成功例となりました。
このように、会社の拒否には、
「制度を知らない」
「どう対応してよいかわからない」
という理由が隠れていることも多く、丁寧な説明で状況が改善するケースが少なくありません。
あきらめず、正しいステップを踏んで進めることが何より大切です。
よくある質問(FAQ)
Q. 退職後でも会社に事業主記入欄を書いてもらう必要がありますか?
A. 申請する期間の中に「在職中の期間」が含まれている場合は、会社の記入が必要です。
在職中の勤務状況や給与の情報は会社にしか証明できないため、退職後でも記入義務は残ります。
なお、対象期間がすべて「退職後」である場合は記入が不要となります。
加入している健康保険組合のルールを事前に確認するのが確実です。
関連記事:傷病手当金と失業保険、どっちを先に受給すべき?数百万円変わる「正しい受給順序」を徹底比較
Q. 書類作成を拒否された場合でも、傷病手当金を申請できますか?
A. 健保へ申立書で対応してもらえる可能性があります。
会社が協力してくれない場合でも、給与明細・離職票・勤怠記録などの証拠資料を揃えることで、健保が代替手続きを認めてくれるケースがあります。
早めに加入先の健保へ相談することが大切です。
関連記事:傷病手当金が遅い…生活できない!振込遅延の理由と対処法を徹底解説
Q. 退職後で会社に書類の作成を頼みにくいです。どうすれば?
A. メールや書面で丁寧に依頼するのがおすすめです。
退職後の連絡は心理的に負担がありますが、在職中の事実を証明する義務は会社に残っています。
期日を明記した依頼文をメールまたは書面で送り、記録を残しながら進めるとスムーズです。
Q. 書類を依頼する際に「書き方がわからない」と言われました。どう対処すべき?
A. 記入例や健保の記入マニュアルを渡すと対応してもらいやすくなります。
会社側が制度に不慣れなことは珍しくありません。
必要な箇所だけ書けばよいことを伝えると、負担が軽く感じてもらえます。
関連記事:傷病手当金の申請方法・手順を完全ガイド|必要書類・書き方・提出までの流れを解説
Q. 書面で依頼するときに注意すべきポイントは?
A. 感情的にならず、事実と必要事項だけを簡潔にまとめることです。
期日を明確に記載し、依頼の理由(傷病手当金の申請に必要であること)を丁寧に説明しましょう。
やり取りは必ず保存しておくと後の証明になります。
Q. 会社の記入した書類に誤りがあった場合、どうすればいいですか?
A.まずは会社へ訂正を依頼することが基本です。
勤怠や給与の情報は会社でしか修正できないため、誤りを見つけたら、落ち着いて会社へ訂正をお願いしましょう。
もし会社が対応してくれない場合は、給与明細、勤怠記録、離職票などの証拠を添えて、加入している健保に事情を説明すれば、健保側が会社へ確認し、正しい内容で審査を進めてくれる場合があります。
関連記事:傷病手当金がもらえない!?不支給になる8つの理由と対策を徹底解説
まとめ|会社が書類を書いてくれなくても、申請は諦めなくて大丈夫です
傷病手当金の申請では会社の協力が必要ですが、実際には、
「退職者は対応しない」「書き方がわからない」
と断られてしまうケースもあります。
しかし、健康保険法には事業主の協力義務が定められており、在職期間が含まれる申請であれば、退職後でも会社に記入してもらう必要があります。
拒否された場合でも、
- 正式文書での再依頼
- 健保への相談(申立書・代替資料の利用)
- 労基署への相談
- 専門家のサポート
といった方法で申請を進められる可能性があります。
また、傷病手当金には支給対象月の翌日から2年という時効があるため、早めの行動が大切です。
丁寧に進めれば、会社が最初は非協力的でも、最終的に申請が通ったケースは多くあります。
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